2022年11月28日月曜日

ボルシチの味 中編

 





ところが、現役ママの友達からメッセージが入ったこともあり、急遽予定を変更し、トンカには家でお留守番をしてもらうことにし、毎年恒例のノエルのお菓子、シュトーレンとスペキュロスを買いに繰り出すことになった。


シュトーレンはドイツのお菓子だが、昔の職場の同僚だったドイツ人のヴェルナールが毎年お客様からの戴き物の大きなシュトーレンを恭しくスライスし、皆に一切れずつふるまったことを思い出す。非常に懇意にしているお客様からの一年間の感謝の気持ちを込めた贈り物だと聞いて、ドイツにも日本のようなお歳暮を贈り合う習慣があるのかと、感心したものだった。


それ以来、なんだか特別な思いが込められている気がして、大きなシュトーレンを見ると買うようになってしまった。ひょっとしたら偶々ヴェルナールのお客様がお歳暮にシュトーレンを選んだのかもしれない。しかし、あの時の誇らしげで嬉しそうなヴェルナールの顔からは、大きくて真っ白な粉砂糖がたっぷりと振りかけかれた美しいシュトーレンこそが、特別であると思わしめる何かがあった。


それと、スペキュロス。学校のバザールで出会った、3センチはありそうな、たっぷりとした厚みのスパイスが効いたB5サイズはありそうな大型ビスケット。一かけ口にしただけで、深みのあるシナモンの豊かな香りがビスケットの甘みと一緒に襲ってきて、得も言われぬ程の幸せ感に包まれる。


ところが、ここ数年は何故かバザールで見つからず、手にすることが出来ていない。夢のスペキュロスの味になってしまう前に、是非とも見つけて、味わいたいと切に願ってしまう。


今年はバザールの開始時間が遅いのか、皆がゆっくりとしているのか、朝の10時頃に行ったにも関わらず、これまでだったら既に出店の前では押せよ押せよの大混乱なのだが、意外に閑散としていて、担当者がのんびりと商品を陳列しているところだったり、通りでは段ボール箱を抱えている人や、両手に大きな袋を持っている人などが慌てた様子で行き交っていた。


👇 拍手機能を加えました。出来ましたら、拍手やクリックで応援いただけますと、とても嬉しいです。コメントを残していただけますと、飛び上がって喜び、お返事いたします。
 

にほんブログ村 その他日記ブログ つれづれへ
にほんブログ村

↑ クリックして応援していただけると嬉しいです
皆さんからのコメント楽しみにしています

0 件のコメント:

コメントを投稿