2022年11月20日日曜日

TO DO LIST

 






気が重いながらも、いつかは必ずやらねばならないリスト、というものが誰にでもあると思う。時には、何故それを実行することがそんなに気が重いのか、などと思えることがあるかもしれないが、ゆめゆめそんな野暮なことを考えてはいけない。人にはそれぞれ、他人には分からない事情というものがあるものなのだから。


二週間前までは、私にとってのそのリストの筆頭がガス給湯器の不具合調整だった。


その後、トンカのワクチン接種のアポ取得、それから眼科検診となり、それがいつの間にか玄関のドアの取っ手の修理に入れ替わり、最終的に車検証の探索、となった。これが一番気が重かった。


車検証がいつもの場所にないことに気が付いたのは、週末にボルドーに仲間たちと車で行く予定になっていた末娘バッタに手渡したいと思った時のこと。いつもなら、ハンドバックのファスナー付き内ポケットに入れている筈だった。ひょっとしたら、トートバッグかもしれない。


二つのトートバッグの中を見てみたが、何も見つからなかった。まさか、とは思うものの隣に片付けてあったリュックの中も調べてみたが、やはりなかった。


車検が今年の暮れに切れることは分かっていた。それまでには探さねばならないが、いつもの場所にないのであれば、一体どこにあるというのだろうか。それよりも、これまで運転していながら、運転免許証だけはちゃんと携帯していたが、車検証を持っていなかったのか、とため息が出てしまった。


海外で住んでいると、お役所関連の書類、特に滞在許可書を始めとした免許証、保険証などの取得がいかに大変か、そしてそれを保持していることが如何に重要か、身に染みて分かっているだけに、車検証が見当たらないことに、大いに狼狽えてしまった。


二年前に家を空けた時は、長女バッタに車、車のキー、車検証、すべてを託して留守にした。あの時は長女バッタが車検の手続きをしてくれ、フランスに戻った時に手渡されて確認したことを覚えている。


その後、夏に家を空けた時、息子バッタに同じように車、車のキー、車検証全てを託して留守にした。その後、秋にバッタ達がパークアステリクスに行くというので、長女バッタに車を貸している。あの時に車検証を渡していないだろうか。


とにかくも、バッタ達にSOSメッセージを送る。車検証紛失にあたり、場所に心当たりのあるものは是非申し出て欲しい、と。


息子バッタと末娘バッタが、車のダッシュボードに入れてないか、と言ってきた。おいおいおい。それは一番してはいけないことではないか。ダッシュボードに車検証など入れておいて、車を盗まれでおたら、もう目も当てられない。まあ、新車当時はともかくも、今のクリオを盗もうとする酔狂な者はいはしまいか。


それでも一応探してみるが、ダッシュボードにもなかった。


なんとなく、長女バッタの鞄の中に息をひそめて大人しくしているのではないか、との疑念が胸に膨らんでしまった。そう。あの時、確かに、アステリクスに行く彼女に手渡した筈だ、と。


長女バッタは、幾つかの引き出しや戸棚、化粧箱など、彼女が大切な書類を仕舞っておきそうな場所を伝えてきたので、一つ一つ当たってみたが、何も見つからなかった。何かが違うと思った。彼女は車検証は大切にしまうものとして、しまいそうな場所を考えているのであった。いやいやいや、そうではなく、君の数ある鞄の中に違いないよ。どの鞄でパークアステリクスに行ったの?


とりあえず今度家に帰った時に、ちゃんと探してみるとの返事しかもらえず、それではちっとも解決にならずに、悶々としてしまった。


ここは無心になるしかないのではあるまいか。長女バッタの鞄の中とか、他人のせいにしているから見つかるものも見つからないのではあるまいか。


車検証を紛失した場合、再発行の可能性があるのか調べてみた結果、どうやら車検証明と居住地証明など必要な書類さえ揃えれば、再発行してもらえることが分かり、少しは安堵することが出来た。しかし、車の登録番号のシリーズの種類に最近変更があり、新たな番号が同時に発行されるので、新番号でのナンバープレートを新たに購入し、取り付ける必要があるとの但し書きを読み、改めて意気消沈してしまった。


これは、何が何でも車検証を探さねばなるまい。大体、なくなる筈がないのだから。


改めてハンドバッグ、トートバッグ、リュックサックの中身を点検するが、出てこない。ため息をついている時に息子バッタから電話が入る。パークアステリクス以外に、誰かがどこかに車で行っていないか。その時に、車検証を手渡していないか、と聞いてみる。


人のせいにするのは良くないよね、という冷たい返事が返ってきて、大体ちゃんと自分の持ち物を見たの、と聞いてくる。そして、「僕は夏は階段の上か、ママの部屋の戸棚に入れておいたんだよ。戸棚、見てみた?」と言う。


階段にはないことは確かだし、戸棚も、小切手の置いてある場所には何もなかった。ふと、息子バッタが日本のパスポートを何故かそこの戸棚に仕舞っていることを思い出した。バッタ達と私の4人分の期限切れのパスポートが数冊あって、そこも一度探してはいたが、もう一度見てみようか、と言う気になった。


大体、誰が期限切れのパスポートと一緒に車検証を保管するのだろうか、と思いながら、それでもあのグレーのナイロンケースの手触りを思い出しながら、戸棚で眠っているパスポートを一冊ずつ出して確認してみたところ、どうだろう。奥の方で、グレーの一冊が出て来たではないか!そうか、車検証はパスポートと同じ大きさだったのか!


思い込みとは恐ろしいもので、長女バッタがパークアステリクスに車で行った時には、車検証を手渡すどころか、その存在さえ念頭になかったということである。そして、夏に帰宅した際に、恐らく息子バッタに車検証はどこにあるのか、などと聞きもしなかったということである。


とにもかくにも、車検証は無事に見つかり、これで再発行の面倒くさい手続きをしないで済み、新しいナンバープレートを作る必要もなくなった。かくして、めでたく車検証の探索はTo Do Listから二重線で削除された。しかし、今度は車検アポ取得がじわじわと優先順位の上位に引き上げられることになるのも、時間の問題か。


とりあえずは、のんびりと美味しい珈琲でも飲もうか。いや、先ずはバッタ達にお詫びを兼ねた報告が先だろう。やれやれ、お騒がせママに成り下がってしまったか。深呼吸をし、背筋を伸ばす。



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