それは何の兆候もなくやってきた。
駅から自転車に乗って帰って来たと思ったら、お土産のエクレアのお菓子をテーブルに置いた途端、カタツムリの様にうずくまってしまった長女バッタ。
真っ白な顔にほんのりとピンク色の頬が可愛らしいのに、苦しそうに顔面蒼白となっている。
吐き気がし、寒気がし、腹痛がひどく、とにかくうずくまらずにはいられないらしい。
生理痛ではないかと疑った。そうなると早めに痛み止めを飲み、とにかく嵐が過ぎ去るのを待つしかない。
ティーンになると生理が始まり、気分もホルモンに大いに左右され、身体も丸みを帯び、次第に生理痛に悩まされる回数も増えてゆく。やはり男女とはそれぞれ全く違った個体であるとしかいいようがない。お互いに違いを尊重し合う、そんな関係が大切であって、決して女性が男性と同じことをしたり、逆に男性が女性と同じことをすることが、人権の尊重の基本とは思わない。
そんな思いに囚われながら夕食を終え、寝込んでいる長女バッタの様子を見にいくと、どうもよろしくない。じっくり話を聞いてみると、どうやら生理は既に終わりに近い段階で、今頃これほど苦しむのはおかしいことが判明する。
吐き気がひどいらしく、なんだか産気づいたお腹の大きな女性のような呼吸をし始める。
素人判断はどうもよくない。熱も出てきている。
どうしたものか。まあ、とにかく寝ているしかあるまい。
二階でお風呂に入っていると、どうも階下が騒がしい。かなり派手に下痢と嘔吐を繰り返した模様。食あたりか!聞けば、ランチに近くのパン屋でフムスのサンドイッチを買って食べたらしい。フムスのサンドイッチ?香辛料が効いていて、味が濃いであろう、ひよこ豆のペーストが悪くなっていたとは考えにくいが、他には考えられようがない。本人はフムスがどんな味付けだったかを思い出す余裕もない程に苦しんでいる。
しかしまあ、一体なんでこんな時に。
この週末は一緒に末娘バッタの見送りの準備をすることにしていたのに。
かくして、二人で楽しもうと予約したエルミタージュで、今は一人で明日の算段をしている。明日は朝から買い物をして、ラタトゥイユ、チリコンカン、チャーハンなど、6人分程度作る予定にしている。長女バッタからは、先ほど漸くおかゆを食べたとの連絡があり、ほっとしてはいる。
さあ、そろそろ俄かシェフは明日に備え眠るとしようか。
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