この間の月曜日のことは悪かった、ごめん。かなり言い過ぎてしまったと反省している。
数十分は末娘バッタの試験にまつわる話をしていたので、突然そう言われて戸惑ってしまった。一体何のことだろう、と。
末娘バッタも息子バッタも、それぞれに違う理由ときっかけにしろ、ほぼ同じ時期に父親との連絡をシャットアウトしていた。没交渉。
これまでも、そして今も彼は彼なりに誠実に子供たちを愛していたし、いつだって子供たちのことを考えてくれていた。ちょっとしたすれ違いが、こんなに大きな断絶に繋がるとは、考えていなかったに違いない。私にとっても大きな衝撃であった。
家庭崩壊。
父親から、二人の子供たちが電話にも出ないし、連絡も寄越さない、コールバックもしない、と辛そうに伝えてきた時には、仰天してしまった。どうも私が何か子供たちに言ったことが要因になっていると思っているらしく、慌ててそれぞれに連絡してみたところ、どうも話はそう簡単ではなかった。
辛うじて長女バッタが父親との関係を密にしてはいたが、だからといって、弟や妹に父親との関係改善を促す役目を彼女が担うことは荷が重いに決まっていた。
これまでも、何度も危うい時はあったが、未成年ということもあってか、あるいは、話を聞いてやる母親が近くにいたからなのか、何とか大ごとにはなってこなかった。
一年前は息子バッタなど、むしろ羨むぐらい父親との関係は良好で、毎日の様に電話で連絡をし、週末は彼が父親のところで過ごしていた程だった。だからこそ、今の状況は父親にとり、非常に辛い展開であることは容易に察しが付く。
実際に会って彼の話を聞いてみたが、最初は冷静に、次第に怒りに変わり、最後は哀しみだけが残るといった、辛い時間であった。子供たちと話ができる私が唯一の解決の鍵を握っていると思っているようで、最後の頼みの綱を託された感じとなってしまった。
息子バッタとは何度か話をしたが、予想以上に彼の傷は深く、たとえそれが本人の思い違いにしても、簡単に癒えそうにはなく、時間だけが頼りなのではと思うしかなかった。
末娘バッタの方は、とにかく試験が終わらないことには、今の彼女の精神的キャパでは対処できない模様であり、今はこの件については何も語ってくれるなと突き放されてしまった。
家庭崩壊。
考えるに、既に両親は離婚しているが、子供たちにとっては、父親との家庭、母親との家庭をそれぞれに持っているのである。父親との関係を遮断となると、父親との家庭のみが関係するようだが、それでも、母親としては、これ程悲しいことはない。それは、愛しい子供にとっての家庭が崩壊していることに等しいからである。
ここは、何としても、時間がかかっても、子供たちと父親との関係を修復するように支援せねばなるまい。
そう思っていた矢先だった。
二年前は父親が息子バッタの試験準備のサポートや試験中のあらゆる対応をしていた。今回、末娘バッタは父親の存在をシャットアウトしており、彼からのサポートは一切受け入れていなかった。
心配をし、何もできないことに苛立ち、焦燥感に追いやられる、そんな心境の父親にとって、末娘バッタの不安定な行動は怒りの対象となってしまう。前回は、私から末娘バッタの試験準備の状況を聞き、呆れ、非常に手ひどい、乱暴な言葉を放っていた。
そんな言い方はないでしょう。状況を受け入れ、それでもプラスの面を見て、前向きに考え、明るく乗り切っていくようにサポートするのが親の務めじゃあないの。そう私は思ってサポートしている。彼女には楽しく、元気にやっていって欲しい。
彼の苛立ちも分かるので、努めて感情を抑えて、なだめるように話をした。
それでも彼の怒りは収まらず、徹底的に末娘バッタを非難し、否定し、批判していた。言葉の刃。
どうぞ私に向かって投げつけて。私が盾になる。末娘バッタは私が守る。
そんな思いだった。そして、本当に辛く哀しく思ってしまった。いつからなのだろう。こんなに人を批判するようになってしまったのは。一体自分を何様だと思っているのだろう。こんな様子では、バッタ達との関係修復は実現しまい。
どうやって会話を終わりにしたのかは覚えていないが、非常に苦い思いが残った。
単純な私はそんな会話をすっかり忘れ、週末の末娘バッタのサポートで頭がいっぱいとなり、息子バッタとの3人での思わぬ至福の時間に酔いしれてしまったので、父親に彼らの順調な様子を伝えることに専念してしまっていた。
もう一度彼の声がする。反応がないので、戸惑っている様子だった。
この間の月曜日の電話でだよ。あれはひどい言い方だった。あんな風に言うつもりはなかったんだけど、悪かった。そして、毎週末のサポート本当にありがとう。彼女はきっとベストを尽くせるよ。ありがとう。とても感謝している。
時間が解決する。そう。いつか、きっと分かってくれる。じんわりと胸が温かくなる。
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