2021年4月16日金曜日

不敵な高笑い







眠れる森の美女のお城とならないように、濃厚な赤紫色の花房をつけるリラに被さるように覆っている蔦を剝がそうと意を決する。

ところがどうだろう。これまでの細っこい茎を這わせて小さな葉をびっちりと鈴なりにつけるタイプとは別に、太い茎をがっしりと幹や枝に這わせ、立派な枝まで伸ばし、大きな緑の葉を生い茂らせ、黒色の実をつけている寄生植物が我が物顔でリラの木を制覇していることを発見。

その名もセイヨウキヅタ。

寄生させてもらっているくせに、キヅタの茎が絡まっている場所には当然リラの枝は成長せず、花もつけない。

渾身の力でひっぺがそうにも、がっちりと食い込んだ茎は簡単には取れない。少しづつ傷をつけ、何とかナイフが食い込める隙間を作り、そこに鉈の刃を入れ込み、エイヤーでひっぺがす。

大ぶりな枝は枝切ばさみで伐採しないことには、どうにも手が付けられない。脚立を離れから持ってきて、梯子に上る。こんなに重かっただろうか。どうも腕の力がなくなっている気がする。

脚立の上で大きな枝切ばさみを掲げながら、一枝、一枝、ばっさり、ばっさりと伐っていく。枝が絡み合っているところは、葉の形状を確認し、えいやーとばっさりといく。と、しまった。上から落ちてきた枝の先に、赤紫の蕾がついているではないか。

不敵なキヅタの高笑いが聞こえる。一人じゃあ倒れないよ。
お前さん、赤紫のリラを連れて行かないでおくれよ。

リラの花は蕾のうちに手折ってしまうと、花瓶に入れてもどうも水揚げが悪く、しんなりとして咲く前に枯れてしまう。ごめんね、と頭を下げる。

大きな植木鉢に水をたっぷり張って、間違って伐ってしまったリラの枝を二本差す。この硬い蕾には、どうにか咲いて甘い香りを周囲にまき散らして欲しい。

奴らのその手には二度と乗らないように気を引き締めていかねば。
舞台に戻る。





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