我々のエンジン音を聞いてか、真っ白な塊が元気よく突進してきた。ゴールデンレトリバー特有の優しい顔の、毛でムクムクとしているウシュカ、トンカのママ。
森で散策している時、トンカを見て犬種を尋ねられ、ママがゴールデンレトリバーというと、いつも怪訝な顔をされてしまう。それほどトンカの外見はゴールデンレトリバーの特徴がない。トンカが赤ちゃんの時、ウシュカのおっぱいを飲んでいた様子を実際に見ていた筈なのに、トンカが成長するにつれ、どうもゴールデンレトリバーの血を引いているとは言いずらくなってしまっている。
そんなつまらない見た目の特徴など全くお構いなしに、ウシュカとトンカは3か月ぶりの邂逅を楽しむかのように、匂いを嗅ぎ合い、ぐるぐると追いかけっこをし、しまいにウシュカがトンカを押さえつけ、頭を大きな口ではむり、と噛んだ。一瞬だけ戸惑う顔を見せたように思えたトンカだったが、写真で見るととろけるような笑顔をしている。
ウシュカの飼い主、末娘バッタの友達のパピーとマミーは、ブルターニュ地方のおやつ、バターをたっぷりと生地に入れたクレープをたくさん焼いて待っていてくれた。広大な庭の芝生は綺麗に刈り取られ、真っ赤なツツジが見事なコントラストをもたらしていた。ウシュカとトンカの追いかけっこは、猛スピードで続き、末娘バッタと友達のマミーの会話は楽しそうに盛り上がり、パピーは手作りビニルハウスの作業をし始め、なんとものどかな時間が過ぎていく。
5時間に渡る車での道中、トンカは後部座席で末娘バッタと豪快に昼寝をし、ちっとも大騒ぎもせず、車酔いもしなかった。それより、朝、海苔巻きを作ったり、リュックを用意している時、そわそわして落ち着かないので、トンカの縫いぐるみ達を洋服と一緒にカバンに入れ、トンカの大好きなシートを紙袋に入れると、戸惑いながらも大騒ぎはしなくなった。そして、首輪を見せると自分からお座りをして、誇らしげにしていた。大喜びで自分から車に乗ったことなんて、これが初めてだろう。
夕陽が芝生を照らし始め、そろそろお暇の時間となってしまう。トンカがママと一緒に残っていたいよ、などと言う前に、さっとトンカを抱き上げて車の後部座席に乗り込み、トンカを膝に乗せると、ウシュカが名残惜しそうに何度もトンカに鼻をくっつけてくる。これには誰もが参ってしまった。
ウシュカ、また来るね。ありがとう。末娘バッタの運転で、その日の宿に向かう。トンカとの初めてのお泊り。さあ、どうなることか。ブルターニュの夕日が優しい。
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