バッタ達と、まるで千と千尋の神隠しに出てくるような情景だよね、と言っている森の入り口にたどり着いた時だった。小川のある散歩道からの小径を、今ちょうど登り詰めたと言わんばかりの様子で、飴色の毛をした大きな塊が佇んでいた。ラブラドールレトリバーに違いない。
トンカがさっと私の後ろにカンガルー跳びをしながら隠れる。警戒しつつも、遊びたい気持ちが溢れている時のポーズだった。
ちょっと息を切らしながら女性の飼い主が坂を上りきり、「この子は優しい子なので、大丈夫ですよ」と声を掛けてくれた。先ずは鼻と鼻でご挨拶。40キロは優にありそうな巨体ながら、未だ10か月という。飼い主さんにジャンプしてしまうトンカを叱ると、一向に構わないし、この年頃の行為としては当然ですよ、と優しく言ってくれてほっとする。
トンカたちが細い山道を猛スピードで駆けっこし始めた。スヌーピーという可愛らしいネーミングがぴったりの愛らしい顔をしているが、かなりの巨体。大声で吠えたり、誰彼構わずジャンプをするので、ほとほと困っていたところ、一か月前からピタリと止めたという。どうやらやんちゃなアド(テーィン)から、立派な青年に成長したということらしい。
これから森に行くのかと思っていたが、スヌーピーが坂を上がりたがるので、初めて訪れたと言うではないか。二匹は出会う運命にあったのかとさえ思えてしまう。聞けば、我々がいつも通る帰り道とドンピシャ。一緒に小川のほとりを歩き、二匹は猛スピードで駆け回りながら、よもやま話に花が咲く。
二匹のじゃれ合いを見ていると、ジャンプ力、瞬発力にかけては、トンカはぴか一。父親は森の精ではなく、カンガルーではないかと思えてしまう。助走なしで高くジャンプできるのは、すごいことではないだろうか。そして、急ブレーキがこれまた凄い。
スヌーピーはスヌーピーで、そんなトンカを優しく包むようにフォローしながら一緒に駆け回っている。これもこれで、素晴らしい能力だと感心してしまう。
気が付くとフランスの教育システムについて二人で熱く語っていた。聞けば、どうやら夫婦で教師らしい。もう少し話をしたいな、と思っているところで、彼らの車が停めてある駐車場についてしまう。
連絡先を交換しようか。ふと思いが過るが、いやいや、きっとまた会える。また、会おう!
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