2022年6月14日火曜日

ほろ苦い大人のデザート

 




一年前に日本に駐在となり、少なくとも三年はいるだろうから、その間に遊びに来てね、と言っていた親友夫婦が、一年もしないでフランスに戻って来た。職場での大抜擢がその背景なので、喜ばしいことではあるのだが、せっかく引っ越して、日本語もなんとなく分かり始め、友達も出来てきたところだったし、まだまだ行きたいところに行けていないとの思いもあり、やや消化不良の模様。それでも、彼らがフランスに戻ってくることは、とても嬉しいことで、うきうきとしていた。


我が家に彼らの車を預かっていることもあり、帰国してすぐの週末に顔を出してくれたのだが、一つだけ計算外のことがあった。トンカの存在。なんと、親友は幼い時に犬に噛まれたとかで、犬が怖くて大の苦手。そんなこと、これまで初めて知らされた思いだった。


トンカは誰にも愛嬌が良いし、こんなに可愛いのだから、と思っていたが、その思いは万人に共通するものではないようだった。怖いので犬を家にいれないでくれ、と言われ、丁度遊びに来ていた息子バッタが庭でトンカを遊ばせてくれることになった。


大丈夫、トンカは噛まないし、一度挨拶をしたいだけで、その後は我が道を行くタイプだから、まとわりつかないよ。そう言っても無駄だった。それでも、二回目に遊びに来てくれた時には、森まで一緒に散歩しようとなった。


森の散策の間、一度もトンカが彼女に悪さをすることはなかったが、森から戻ってくるやいなや、もう帰ると言うではないか。これまでの我々の付き合いで、一度たりとも一緒に食事か、お茶をせずに別れることはなかった。これは大ショックだった。


冷蔵庫にはグレープフルーツ味のプリンが人数分冷えていた。息子バッタが、ママ、本当に犬を怖がっているんだもの、仕方がないよ、と慰めの声を掛けてくる。それは分かってはいるが、なんてことなのだろう。大好きな友達と一緒に時間を過ごすこともできず、愛しいトンカを受け入れてもらえないなんて。


グレープフルーツで作ったキャラメルをかけた、ぷるるんとしたプリンは、今の心持をちょうど反映しているかのように、ほろ苦かった。



👇 拍手機能を加えました。出来ましたら、拍手やクリックで応援いただけますと、とても嬉しいです。コメントを残していただけますと、飛び上がって喜び、お返事いたします。





にほんブログ村 その他日記ブログ つれづれへ
にほんブログ村

にほんブログ村 犬ブログ 犬のいる暮らしへ
にほんブログ村
↑ クリックして応援していただけると嬉しいです
皆さんからのコメント楽しみにしています

0 件のコメント:

コメントを投稿