リラの枝を伐採するのは6月末まで。さもないと翌年の花は咲かない。このところ、どんどん成長して、花房を切ろうにも脚立を使わないことには届かなくなってしまっている枝を、この際ばしっと伐ってしまおう。
孤軍奮闘していると、嬉しそうにお向かいのマダムが声を掛けてくる。そろそろリラを伐らないといけないと思っていたところだけど、さすがに86歳で一人で庭仕事はしんどいと。
マダムの庭はいつでもこざっぱりとしているし、今は薔薇が見事に咲き誇っている。珈琲を飲みに遊びに来てちょうだいと、いつも誘われているが、このところ庭仕事に手一杯で、なかなかご挨拶に行けていない。
そうだ、今日は夏を届けよう。
バニラの香り豊かな、やわらかなババロアの上にぷるぷるとした珈琲ゼリーを乗せ、薄っすらとクリームを掛け、ライムの皮で香りを出す。そこに、今我が家でふっくらと蕾を膨らませているピンクの薔薇の蕾を飾る。
学校を終えて帰る子供たちを所在なげに見ているマダム。微笑みながら近づくと、ぱっと表情が明るくなり、はち切れんばかりの笑顔になる。紙袋を取ってグラスを掲げると、驚きと歓喜の声が上がる。
マダム、どうぞ楽しい夕べを。
夏を贈る。
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