あまりにもあっけない顛末となってしまい、笑うしかなかった。
まさかのまさか。翌朝、いそいそと菜園もどきに駆け寄って、おはようと声を掛けようとした途端、我が目を疑ってしまった。無残にも幾つもの丸く膨らんだ芽はついばまれ、葉はちぎられ、枝は折られてしまっていた。カボチャ君。折られた先があまりに新鮮で、たった今の所業であることが窺われた。双葉にはネバネバとした液がかかっていた。
嗚呼。
脱力感でその場にへなへなと倒れこみそうになってしまった。
そうか。まさかとは思っていたが、あの姦しい可愛いピィ達か。いや、カラスか。鳩の嘴ではないだろう。
そうとなったら。これまで高い枝に実り始めていた黄緑色のレインクロードを、彼らに楽しんでもらっても良いかと思っていたが、取りやめるしかない。梯子を小屋から引っ張り出してきて、長い鍬を右手に一番上まで登り、ふらふらとしながらも、甘い香りを放ち始めた実をもぎとる。
大人げないが、大人げないのはどっちだろう。この甘い実を食べずに、何が面白くてカボチャの芽をついばんだんだろう。しかも、枝をへし折るなんて。怒り心頭。
しかし、まあ、現場を見たわけでもないし、鳥相手に怒っても始まらない。そもそも、起こったところで、カボチャ君は戻ってこない。
それにしても、今年の夏の気候が元を糾せば原因に違いない。今年はサクランボにしろ、スモモにしろ、ネクタリンにしろ、桃にしろ、不作。鳥たちにとっては死活問題。しかも、長雨でナメクジ天国。
最近の無農薬野菜ブームに乗って、家庭菜園でうまくいけば良いビジネスになるのではないか、などと捕らぬ狸の皮算用をしていた自分が恥ずかしい。生半可な覚悟では、野菜を育てるなんて無理。ましてや、商品になる野菜を量産することは至難の業。
こうなったら、室内で大きくなっているアボカドやマンゴに夢を託すしかあるまい。
見上げると松の木の枝に、久しぶりにリスが遊びに来ている。
必死で収穫したレインクロードだったが、丁度食べ頃は一つのみ。これを大切に味わい、あとは、庭に転がしておくことにしようか。鳥たちやナメクジ君たちが大喜びするに違いまい。
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