これまでは最短時間で目的地に着くことを優先するばかりに、高速を使うことが多かった。最近は2、3分程度の違いなら、高速に乗らないようにしている。車が渋滞している時など、むしろ県道が抜け道になる時もある。
その日も、深く考えずに高速を回避した。
車がガードを潜り抜けて地上に上がる左カーブに差し掛かった時、胸に鈍痛が走った。その嫌な感触はじんわりと胸の底に居座り続け、左カーブを抜けた先に急な登りが待っていることを知らせていた。
嗚呼。この道は30年前の留学先であったキャンパスに向かうパリからの道。なんてことだろう。既にあちこちで地雷を踏んで、多くの地雷を撤去したと思っていたのに。こんなところに伏兵が隠れていたとは。
冬の凍てつく中、アイスバーンとなった道を、夜遅く仕事の帰りにキャンパスに立ち寄ってくれた思い出。ノーマルタイヤでの雪道は怖いと知りながらも、会いに来てくれることをどんなに嬉しく、待ち遠しく思ったことだろう。
週末はパリで過ごしても、日曜の夜にはキャンパスに戻る。日曜の夜がなんて恨めしかったことか。この坂を通ってキャンパスに向かった。
この道は忘れようとしても忘れるはずがない。
果たして、右方向にキャンパスに向かう出口が見えてくる。今回の目的地は、この先の最近大々的に開発されている官民連携の教育機関や研究センターが犇めく地区。
ここで息子バッタが9月から一年間学ぶことになる。そして、末娘バッタの二次試験の会場でもあり、今回は彼女を迎えに来ていた。
地雷を踏んだ割には、不思議なことにバッタ達の父親への感謝の気持ちだけが爽やかに残った。末娘バッタの待つ建物へと緑の風に乗って向かう。
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