夕暮れ時に東の空に円く大きな月が昇る。
何かに誘われたかのように、ふらふらと外に出てみると、初夏のような暖かさの日中とは打って変わり、ひんやりとした、いや、もっとぶるりとする寒さが押し寄せてきた。
梅が一斉に月を見上げている。
桜ではないし、ここは京都の丸山公園でもないが、僭越にも東山魁夷になってしまう。
花は今、月を見上げる。月も花を見る。この瞬間、ぼんぼりの灯も、人々の雑踏も、跡形もなく消え去って、ただ月と花だけの清麗な天地となった。
ひっそりと春の夜を後にし、家路につく。
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