さて、関東風、関西風、どちらから先にとりかかるか。
ちゃきっちゃきの江戸っ子の母を持ち、東北の田舎で育った私にとって、桜餅といえば一つしかなかった。祖父は信州の出身なので、問題もなかったのだろう。唯一、京都出身の曾祖母が異議を唱えていたかもしれないが、今となっては知る由もない。うっすらと桃色の生地が二つ折りになっていて、中には漉し餡が入っている。塩味のする桜の葉で巻いてあって、口にすると、上品な桜の香りがぱっと広がった。
関西風の桜餅の存在を知ったのはいつだろうか。ひょっとしたら道明寺粉の存在を料理本か何かで先ず知ったのかもしれない。そして、良く考えると、一度も関西風桜餅を食べたことがないかもしれない。
桜餅を作るのであれば、両方作ってみないことには、なんだか手落ちではないか。漉し餡もたっぷりと出来ている。そんな思いで、今回は両方、初挑戦。潤かしておいた糯米は水切りをしなければならない。その時間に関東風桜餅を仕上げてしまおう。
幾つかレシピを比較検討してみたが、漉し餡を作成したレシピのサイトだけ、若干粉と水、砂糖の分量が違う。なんだか、こちらの方がプロらしく感じられてしまい、採用。恐らく生地が薄くて、扱いにくいのではないかと思われたが、ハードルは高いほど生きがいを感じるタイプにはうってつけ。
最初こそ鍋に落とす生地の分量や、鍋の温度が分からずに、あたふたしたが、3枚目からは要領良く焼くことができた。師とも勝手に仰ぐようになった餡子専門店のレシピでは円筒形にしている。その方がお上品なのかもしれない。漉し餡は一つ25グラムずつとし、8個分、200グラムを確保。8等分し、一つずつ予め丸めておく。
即席一夜漬けの桜の葉、もとい大葉は、水でさっと洗い、丁寧に葉の先を伸ばしておく。
くるくると丸めて作成。思った以上に緑の大葉がアクセントとなり、悪くない。生地のピンク色がやや薄すぎはしまいか。いや、この方が上品なのかな。桜の香りが舞い立つことはないが、なかなかどうして、柔らかな薄桃色の生地から、優しい艶のある漉し餡がちょっとのぞいたところなど、うっとりとしてしまう。まるで、我が子の晴れ舞台に、いそいそと付き添う母の思い。そう、だから料理はやめられない。
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