桜餅を作ろう!
思いついたらまっしぐら。
手元に糯米、白玉粉があることを確認し、小豆を買いに走りでる。桜餅に欠かせない、うっすらと塩味のする、甘い桜の香りが奥ゆかしい、桜の葉の塩漬けは、先日目にした大葉で代用しよう。紫蘇の香りと桜の葉の香りでは、全く別物ではあるが、背に腹は代えられぬ。この喩は当てはまらないか。とにかく、何かで包まぬわけにはいくまい。それも、うっすらとした桃色に映える色合いで、ちょっぴりと塩味を添える、なくてはならない引き立て役として、塩漬け大葉ほどぴったりとしたものはあるまい。
やや小ぶりな感は否めないが、丁寧に洗い、綺麗に葉を隅々まで広げ、一枚一枚重ね、静かにたっぷりの塩水に浸す。塩漬けにしてしまうと、見た目の菜っ葉感が拭えないが、塩味は餡子の甘みを上品に際立たせる上でも外せまい。
漉し餡はこれまでにも作ったことはあったが、数あるレシピを見ているうちに、どうしても本格派に目が行く傾向があり、最終的に餡子専門店のレシピを参考にすることに決定。シャカシャカシャカと小豆を研ぎながら、「小豆研ぎましょか、それとも、人取って食いましょか」と思わず口ずさんでいた。幼少時代に見たテレビの日本昔話シリーズの一場面。小豆を研ぐ度に思い出すのだから、不思議なもの。プルーストにとってのマドレーヌが、私の場合は小豆研ぎとは。子供時代、我が家は健康志向で玄米に小豆や黒豆を入れて炊いていた。お米や豆を研ぐ度に、一つ上の兄が私をからかって、「小豆研ぎましょか、それとも、人取って食いましょか」と歌っていたことを思い出す。さすがに、番組を一度見たからといって、その記憶が鮮明に残っていたというわけではなく、兄がからかう度に、小豆研ぎの妖怪を思い出していたことで、記憶が定着したのであろう。
渋切りをしてから、鍋に付きっ切りで小豆をことこと煮る。小豆が水面から顔を出さないように、時々静かに水を足す。プロは、何グラムだから、何分煮る、なんてことは言わない。火力・鍋・仕込み量・豆の種類・等級・年度産・保存法によって違うので、残念ながらお答えしかねる、と書いてある。ごもっとも。それでも、凡その時間を教えてくれても良いものなのに。仕方がないので、別のレシピで検索。まあ、小一時間程度か。
芯がなくなったところで火を止める。そのまま放置して蒸らした後、生餡の製造となる。その間に道明寺粉を作るために、糯米を洗って水につけておく。
さあ、生餡を作ろう。先ずは、煮汁を切って豆を潰す作業。その後水を入れて裏ごし。たくさん水を新たに入れて濾すように指示されているが、なんだか二度手間のように思い、既に裏ごしした水分を再利用してしまう。恐らく、水分が既にこってりしてしまっているからだろう、裏ごし作業に時間がかかってしまう。そして、その後の沈殿させて上澄みだけ捨てる作業も、予想以上に時間がかかってしまう。それでも、餡汁が形なりにもボールに残った。布巾に入れて、水分をしっかりと絞り切る。生餡の出来上がり!
夕食後に始めた作業だったので、既にシンデレラタイムが迫っており慌ててしまう。恐らく、水切りがプロに比べ不十分なのだろう。生餡の重さが予定より多めになる。さて、それに合わせて、水分と砂糖の量も増やすべきなのか。朦朧とした頭でぼんやりと考える。今なら、簡単にその答えは分かる。水分が絞り切れていないだけなので、砂糖の量は変えず、むしろ水分をやや控えめにすれば良いのだろう。そんな論理的思考は残念ながらできずに、水分も砂糖の量も気持ち増やしてしまう。
加熱した餡は熱くなり、飛び跳ねると脅され、ゴム手袋を着用し、大鍋でシロップを作り、生餡を入れ、強火で一気に炊き上げる。といっても、上述のごとく、水分が多めだったので、一気にというよりは、かなり時間を掛けてしまう。
桜餅の餡はやや固めにするとあるので、鍋底が見えるまで、しっかりと炊き上げる。
さあ、どうだろう。なかなかどうして、うっとりするほどの艶じゃあないか。
レシピの最後に「和菓子作りの第一歩があんこ作りですが、そのハードルが極めて高いのです。こし餡を豆煮から作るには、是非、粒餡を何回も作って十分に慣れてから挑んでください。豆煮からこし餡を作れる方は自信を持ってくださって結構だと思います。」と記されていた。
なんと!そうなのか。いや、確かに、手間暇は大いに掛かった。
お味の方はどうだろう。自信を持っていいのだろうか。
粗熱を取るのもそこそこに、タッパーに入れてしまう。桜餅は、明朝とりかかる予定。その前に英気を養わないと。
妖怪小豆研ぎは、寝室にまっしぐら。
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