2021年5月18日火曜日

香煙

 




そろそろお線香がなくなってきたので、どうしようかと思いあぐねていたが、ググってみればなんのことはない、ネットで販売されている。ただフランス語の説明を読んでも、あまりピンとこないので、同様の商品を日本語のサイトで見てみるが、実にこれも分かりにくい。


そもそも、日本でお線香など買ったことがないことに気が付いた。いつも我が家にはあったし、お墓参りの時には、選ぶも何も、近くのお店で調達したこともあるし、お寺のご住職から頂いたこともあったが、選ぶことはなかった。コンビニでも、たいてい一種類しか置いていなかった。


ネットではインド、中国、ヨガ、マッサージ、など随分と沢山の種類のお線香が提供されていた。一度BIOのお店でお線香と思しきものを購入したことがあったが、太目で香りもきつく、また使おうと思わずにしまってしまった。ここは日本製に限ろう。


一箱300本入りがあったが、そうなるとほぼ一年分。せっかくなら、時々香りを変えてみても楽しいかもしれない。薔薇、桜、梅、そんな香りがあるらしい。ただ、ここはオーソドックスに白檀とか沈香とかがいいだろうか。


取り敢えずは40本入りで、無難そうな白檀、檜、そして、ちょっとお試しで金木犀にしてみた。値段は高いのか安いのか、正直分からなかった。注文すると、ほぼ翌営業日に配達の素早さで品物は届いた。


開けて、先ず、その香りの強いことに驚いた。小さな箱を開けると、5か国語で記された15種類の香りの説明書入っていた。日本語、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語。使用上の注意については、日本語、英語、フランス語しか読めないが、驚いたことに、ちゃんと各国語で適宜うまく対応して書かれている。日本語をこなれた文章で翻訳したという水準ではなく、更にその上をいく。これには感嘆。感服してしまった。


そして、15種類の香りの説明だが、これがまた、それぞれ微妙に違っていて、何とも素晴らしい。さすが言葉の重複を避ける文化を熟知している。ワインの味や香りの説明を読んだ時のちょっとした驚きと似ている。こんな風に微細に変化させて表現したいものだと思ってしまう。


さて。では、今回購入した白檀、檜、金木犀のうち、この説明の香りはどれでしょうか。お分かりになりますか。


甘く華やかなフルーティフローラルの香り


因みに、今回は購入しなかった藤の香りは「つややかで品のあるパウダリックフローラルの香り」。ここで英語では、パウダリックフローラルの香りとしか書いておらず、パウダリーな香りイコールつややかで品のある香り。こういった訳し方、書き方は本当に参考になる。


これは大変楽しい買い物をしたと一人ほくそ笑む。そして、こうなったら15種類すべて買って香りを楽しみたくなってしまう。みすみすマーケティング戦術の罠に嵌ってしまうが、まあ、それもたまにはいいか。


甘く華やかな香りがゆっくりと広がり、優しく包んでくれる。




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