今度の連休に長女バッタがパパと一緒に車でボルドーのパピーに会いに行くという。マミーが亡くなってから、一人で寂しいのではとの周りの心配を他所に、仲間たちと森林の散策を楽しんでいたパピーだったが、三年前に心臓弁膜症の手術をしてから、術後の回復は順調だったようだが、今度は脚の関節を悪くしてしまっていた。簡単な手術で前の様に問題なく歩けるとの医師の説明だったが、バッタ達の父親の妹、つまり、パピーにとっての娘が、全身麻酔に真っ向から反対。彼女がパピーの近所に住んでいることから、日常生活や病院関係など、常にサポートしていたこともあり、パピーは彼女の意見に賛成し、結果、手術はせずに歩行困難に陥ってしまった。この件でバッタ達の父親と妹は、これまで以上に関係が悪化してしまっていた。
以前はよく新聞や雑誌の切り抜きをバッタ達の関心事に合わせ、それぞれに送ってくれていた。そんな手紙が途絶えたのはいつの頃だったろうか。歩行困難ということは、常に誰かのサポートが必要となる。サービス付き高齢者住宅に引っ越しする筈だったが、介護施設に入居することになったと聞いていた。
昨年、長女バッタがパピーに会いに行った際、とても喜んでくれて長時間話が弾んだものの、彼女がトイレに席を立った後、立ち寄った看護師に、是非また遊びに来てくれと声を掛けていたと、後で父親が悲しそうに話してくれた。どうやら、時々シナプスに障害が出てしまうようだった。
それでも、バッタ達は何かあるとパピーに電話しなくちゃと、連絡したり、手紙を書いたりしているようだった。幼い時から、夏のバカンスはもちろん、二か月半に一回の割合で訪れる学校のバカンスの際には、いつでも喜んでバッタ達を歓迎してくれていた。息子バッタなんて、特に夏のバカンスでは、パパと折り合いが悪くなると、すぐにパピーとマミーの家に遊びに行っていた。バッタ達のことを本当に可愛がってくれていたし、今でも大切に思ってくれている。
もしかしたら、息子バッタも、ボルドーのパピーに会いに行く目的なら、父親と一緒に行動するかもしれない。そう思って声を掛けてみたが、暫し逡巡した後、年度末の試験期間であることからも、今回は見送るとの答えだった。
バッタ達が大変お世話になったし、感謝の気持ちで一杯ながらも、私が出ていく幕ではない。さすがに、20年近く前に分かれた旦那の父親に会いに、別れた旦那と、彼の子供と、長女バッタと一緒に行くわけにはいくまい。
遊びに行けば、いつもお土産にブルターニュ地方の銘菓、ガトーブルトンをもらったものだった。そうだ。今度は私がボルドーにいるパピーにガトーブルトンを贈ろう。
何かを作る時は必ず複数のレシピを見て検討する。ある、ある、ある。これこそが元祖ガトーブルトンのレシピと謳ったものが続々と出てくる。おばあちゃんがいつも作ってくれた、とか、我が家にいつもあった味だとか、皆それぞれに、ストーリーがある。そして、驚くなかれ、材料こそ似通っているものの、量や作り方、オーブンでの温度や焼き時間が皆それぞれに違うのである。ちょこっとどころではなく、本当に全然違う。と、いうことは、意外に適当に作っても大丈夫ということなのだろう。
動画を幾つか見たが、そのうちの一つに、卵を7つ用意するが、実際は3つしか使わず、生地を捏ねながら、あら足りないと、どんどん粉を入れる場面があって、大笑いしてしまった。
まあ、適当に肩の力を抜き、フィーリングで、パピーのお母さん、メメさんになったつもりで、作ってみよう。
キビ砂糖 165グラム
有塩バター(もちろん、ブルターニュ産) 165グラム
小麦粉 200グラム
ベーキングパウダー 一つまみ
卵 5個(卵黄4つ分)
室温に戻したバターと砂糖を混ぜポマード状にし、そこに卵黄3個分を入れ、念入りに混ぜる。その後、別に撹拌した卵一個を入れ、更に混ぜる。そこに篩った粉を入れて生地を作る。バターを塗った型に生地を入れ、フォークで模様をつける。卵黄一個分を刷毛で丁寧に塗って完成。150℃に熱したオーブンに1時間弱。
甘く、優しく、豊かな香りがキッチンに漂い、幸せ感たっぷりとなった頃に焼きあがってくる。
冷めたところを、パラフィン紙とプレゼント用の包装紙で包む。
キッチンにはガトーブルトンの香りがゆっくりと残っている。
パピー、喜んでくれるかしら。
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