黄色い薔薇を見ると、母を想う。幼い頃、ママのお墓には菊ではなく、薔薇、それも黄色い薔薇をお供えしてね、と言われていたからだ。薔薇の絵柄のTシャツを着ていた頃で、「薔薇が咲いた」の歌を良く歌ってくれ、とても嬉しかったことを覚えている。
きっと本人に言えば、「あら、そんなこと言っていたかしらね。」で済まされてしまうだろう。若い時の母は大都会東京から田舎に嫁いでいて、前衛的であることをある意味求められていただろうし、当時立て続けに祖父や曾祖母を看取り、お葬式をしていたことも影響しての発言だったのだろうか。
ママが死ぬなんて、とても考えられず、そんな話題は嫌だと泣くような子供だったが、不思議と黄色い薔薇の話はしっかりと胸に留めていた。
母は黄色い薔薇が好きなんだろうと、ずっと思っていた。
父が亡くなって、馴染の花屋さんが父が好きな花だからと、折々にスイートピーの花束を贈ってくれる。そう、父が好きな花と言えば、私もスイートピーだと思っていた。淡い色で優しいメルヘンチックな花。丁度、いわさきちひろの絵のような花。
ある時、母が花屋さんから戴いたスイートピーをお仏壇に供えながら、母が好きな花だから父がしょっちゅう花屋さんで買っていたので、花屋さんが父が好きな花だと思ってしまったのよね、と、しんみりと独り言のようにいうので、びっくりしてしまった。真実なんて、本当に分からないもの。そして、誰にとっての真実なのか。
それでもやっぱり、黄色い薔薇を見ると母を想う。
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