似て非なるもの。
大体、なぜ同じ枠で括れるのか理解しがたい。
形状からして、片や丸い球型、片や瓢箪型。
歯応えといったら、片やパリッパリ、シャキッシャキと瑞々しく、片やとろん、とろんとなめっこい。
片や爽やかでジューシーなところが売りだとすれば、片や甘美でトロっとしたところが売り。
そう、梨。似て非なるもの。日本の梨と西洋梨。
確かに日本の梨でも長十郎と二十世紀は皮質、色、香り、全く違うが、それでも同じ仲間。冷蔵庫でしっかりと冷やした実は瑞々しさが一段と高まり、歯応えも良く、爽やかな甘いジュースが口いっぱいに広がる美味しさは何とも言えない。何度幼いバッタ達に食べさせたいと思ったことか。
一方、西洋梨もコンフェランス、ウィリアムズ、コミスなど色々あり、皮質、色、香り、それぞれに特徴がある。それでも瓢箪型だし、まだ熟していない青い実をサラダのように食するのも悪くはないが、熟して実がとろけんばかりとなり、甘い蜜にうっとりしながら食するのは最高である。
これだけ品物の流通が活発化し、世界の食材がどこでも手に入る世の中になったとは言え、日本の梨は未だフランスの食卓には上がっていない。ひょっとしたら、「梨」と分類しているので、フランスにもある「梨」を、日本から輸入するまでもないと思われているのかもしれない。市場に日本の柿が「kaki」として出回っているのだから、あながち間違ってはいないかもしれない。
日本の梨を食べさせたいと願っていたバッタ達は、今や大きくなり、それぞれに生活圏を広げている。一緒に梨を食べる機会なんて、ありそうで、そうそうないのかもしれない。彼らがいつか日本に行って梨を口にした時、ああ、これがママが言っていた日本の梨ね、と感慨深く味わってくれれば、それで良しとするか。
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