2023年12月12日火曜日

夢のエベレスト街道トレッキング~ Day 2 ナムチェへ(冠雪のクスムカンガル峰)

 




標高2800メートルとなるジョルサレでランチ休憩となった。テラスに腰を下ろすと、太陽がぽかぽかと背中を温めてくれて気持ちが良かった。ビスターレ、ビスターレ、ゆっくり、焦らず、マイペースで、とRajさんが呪文のように唱えてくれるので、疲れを感じることもなく問題なくたどり着いたと言えよう。







我々が食事をしている間にも、荷を背負ったゾッキョやロバたちは、歩みを止めずに黙々とナムチェに向かっていた。腹ごしらえをしたところで、我々もナムチェまでの残る道をいざいかん、とばかりに元気に出発した。


実は、ここからが難所が待っていた。その日の最後の吊り橋まで、なだらかながらも上りが続き、吊り橋を渡ると、新たに延々と続くと思われる石の階段を上っていく、そんな繰り返しだった。







すれ違うパーティーの人々と、「ナマステ!」、「ハロー!」、「こんにちは!」と元気に声を掛け合ったが、ナムチェから戻ってくる人々の様子で、エベレストベースキャンプまで行ってきたな、と分かるのだから面白い。また、お国柄も出ていて、特にフランス組はすぐに分かった。





Ammaは階段を数段上っては一休みし、数段上っては一休みをしながら、正にビスターレ、ビスターレで、マイペースながらも、しっかりと歩みを進めて行った。いつしか、先陣切って闊歩していた相棒の姿が見えなくなっていた。






Rajさんによれば、検問所があるので、恐らくそこで待っているだろうとのことだった。しかし、掻いた汗が冷えて震えて待っているかもしれないからと、既にナムチェに到着していたポーターさんに連絡をして、相棒を先に宿に連れて行ってくれるようにお願いしたとのことだった。




Ammaの歩みをしっかりとサポートしているだけでなく、ちゃんと相棒のことにも気を配り、ポーターさんに連絡をして、迎えに行くように手配してくれたことに、ひどく感動していた。しかも、Ammaに対するサポートが、本当に嫌味でなく、必要な時にのみさっと手を貸すスタイルであることにも気が付いていた。





次に何が待ち受けているのか、我々に気負わせることなく、すんなりと受け入れられやすいように、上手に誘導してくれるのだから、Rajさんの話術は大したものだった。この先をちょっと上がると、向こうに目を見張る景観が待っていると言わんばかりに、それなら、ちょっと頑張ろうかしら、と思わせるようにしてくれるのだった。






そうして、それは決して裏切られることなく、本当に固唾を飲む景観が待っているのであった。





その日の最後の吊り橋を渡り切り、その後に続く急勾配の階段を上り出したが、午後も後半に差し掛かり、周囲が靄に包まれ始めてきていた。と、突然背後から雪を戴いた険しい山々が迫ってきているのを目にし、度肝を抜かれた。






嗚呼! 正に鳥肌が立つとは、このことであろう。夢中でカメラのシャッターを切った。階段を上る度に、別の景観が待ち受けていた。思わず、興奮し、母を呼び、叫んでいた。







漸くナムチェに到着したと分かった時には、寒気が酷くて、嬉しそうにポーズをするAmmaこと母の姿をカメラに収めるのがやっとだった。とにかく早く宿に着いて、着替えをしたかった。と、Rajさんが「元気?」とこちらを心配そうに覗いた。「元気よ。」笑顔を作るのがやっとだった。


相棒はお宿で既に2時間は待っていたらしい。Rajさんの機転で、ポーターさんに迎えに行ってもらって本当に良かったと思いながら、お宿の食堂で先ずは飲み物を、となった。とにかく寒気が酷くて一刻も早く部屋に行きたかったのだが、せっかくなので皆でカフェを飲み、ナムチェ到着を祝った。


と、また、Rajさんが心配そうに「ディディ、元気?」と聞いてくる。「元気よ!」と投げやりに返事をしてしまい、彼の質問を煩わしく感じている自分がいた。もう限界だった。とにかく着替えないと寒くて堪らない。到着の感動に酔いしれているAmmaと相棒を急かして、部屋に行った。


まさかのまさかで、私は所謂高山病に罹ってしまったのであった。




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