相棒は高熱は下がったものの、本調子ではなかった。まるで私の体調の悪さをバトンタッチして、引き受けてもらったようなものであった。実際のところ、本当にそうなのかもしれない。私がフランスから風邪のウィルスを持ち込んでしまったに違いなかった。
加えて気になったのが、喉がおかしいと言っていたAmmaの体調だった。それでも取り敢えずは、ビスターレ、ビスターレでパクディンに向かって、歩き始めた我々だった。相棒は携帯の電源を落としているようで、いつものように先陣を切って太陽のもたらす光のシャワーを撮影する姿を見ることはなかった。そして、彼女の体調と反比例の如く、元気になっていく自分を感じていた。
私自身はカメラを所持していたので、最初こそ携帯の電源はオンにしていたが、ルクラ入りしてからはオフにしたままだった。ロッジに入って真っ先にすることは、カメラのバッテリーの充電であり、何かあれば連絡したいAmmaも相棒も目の前にいるとなると、携帯を使う理由は見つからなかった。
水が砕けて、幾つもの岩肌をほとばしりながら流れる滝では、小さな虹が見えた。ナムチェに行く時には、先陣を切って歩いていた相棒が携帯で写真を撮り、興奮しながら奇跡的なシャッターチャンスと景観の美しさとに酔いしれていたことを思い出した。
相棒の代わりに、私が彼女の目となって写真を撮らねば、との思いが、いつもなら狙わないアングルからの写真を私に撮らせたように思う。逆光は基本ご法度であるし、太陽光線を直接撮影することはしてこなかったが、敢えて挑戦した写真が残っている。また、同じ場所であっても、来た時と時間も天候も違うので、驚く程違った印象の写真が撮影されているのも、興味深い。
途中で、鶏の品評会のような場面に出くわした。「あら、立派な鶏ね!」とのAmmaの一言で、鶏の重さを計っていた男性が、「幾ら出します?」と聞いてきたので笑ってしまった。さすがに、こんなところで鶏を買ってぶら下げて下山する強者はおるまいて。
ビスターレ、ビスターレ。上りがあり、下りがあり、ゾッキョやロバの一隊に道を譲るために脇道に避難をしたりしながら、Ammaのペースに皆揃えて、ビスターレ、ビスターレで歩いて行った。見慣れた建物が左手に現われ、入り口で男性が懐かしい笑顔で迎えてくれた。パクディンに到着だった。
前回と同じ部屋ですよ。そうRajさんに言われたのだが、すぐにはピンと来なかった。前回は夕方近くの到着だったが、今回はまだ日も明るい時間帯で、ロッジは誰もいないようで静かだった。階段を上り、ぐるりと回りながら更に階段を上り最上階に着くと、ぽっかりと空いた天井から梯子が下りていた。ああ、ここだわ!苦笑が漏れた。

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