2017年3月5日日曜日

雲丹とラングスティーヌ


ちょっとしたつまらないことで、末娘バッタと喧嘩をしていた。
多感な15歳。
母親の言うことばかりも聞いていられない年頃。
だからと言って、そうですか、と引き下がる親でもない。

当然、がっちんこ、ぶつかり合う。

毎日の夕食は末娘バッタが担当してくれている。
いつもは遅く帰っても食卓に準備が出来ていて、温め直してくれたり、ちょこちょこっとお肉を焼いてくれたりと、かいがいしい。
私が夕食を終えるまで食卓に一緒に座って、ぺちゃくちゃと賑やかに一日の出来事を色々と話してくれる。

ところが、がちんこ、の日にはひっそり。
どこで息をしているのかも分からない程。

あまりに疲れていて、食後も別の仕事が待っている時には、
彼女の存在を確かめることなどせず、
一人寡黙に冷たい夕食を終える。

負のスパイラル。

お互いに手を伸ばすこともせず、
関係が冷え込む。


そんな時、会社で、生きて動いている雲丹とぴちぴちと元気な海老、ラングスティーヌをお土産にもらう。






大きな馬糞雲丹。カタカナでバフンとしないと、申し訳ない程立派な雲丹様。
棘がちらちらと動いている。







ラングスティーヌは立派な鋏を動かして襲い掛かってくる勢い。


転がるように家路を急ぐ。
途中メッセージを入れるが、息子バッタからのんびりと返事がくる。どうやら、もうご飯は食べてしまった様子。雲丹とラングスティーヌの写真を送って、とにかく白米を炊いておくようにお願いする。


大声で帰宅を告げるが、ひっそり閑。
息子バッタは、案の定一人ごろ太をしている。末娘バッタは何処?

サロンは真っ暗。食卓は圧力鍋にご飯が炊いてあるが、誰もいない。書斎にも人影はない。一階と二階のトイレを確認するが、誰もいない。

まさか。
ベッドで蒲団を被っている塊を発見。

おおっ!
雲丹とラングスティーヌを持って帰ったよ!どうした?具合が悪いの?疲れたの?寝てしまったの?

むっくりと起き上がり、何も言わずに抱きしめられる。
すっかりと大きくなった彼女に窒息しそうに抱きしめられると、こちらが子供の様に感じてしまう。

さあ、とにかく見てよ!すごいんだから。

こうして、寝ていた筈の末娘バッタは起き出し、二度目の夕食を母親と一緒に囲む。


雲丹さま、ラングスティーヌさま。感謝いたします。

バッタ達との貴重な時間。感動を分かち合う。
美味しい食材のありがたさをしみじみと思う。
もとい、
家族のありがたさをしみじみと思う。










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