2011年12月29日木曜日

龍山寺



台北から地下鉄の駅を乗り継ぎ二つ目。
ビル街の喧騒の中に突如現れる絢爛豪華な門。

朝早い時間なのに、既に線香の煙と香りが充満し、
数珠を持って唱えながらも、おしゃべりに余念がないお年寄りが、あちこちに佇んでいる。

長い舌を出した神様や観音様、孔子など、道教や儒教など様々な宗教の神々が祀られている。

その主なる神々の前に佇まいを直し、祈願。
それぞれの香炉に、長いお線香を投げ込む仕組みとなっている。

順々に巡りながら、家族の健康、幸せを祈願し、
日本の母や兄一家の幸福と繁栄を祈願し、
台湾の妹一家の幸せを祈願。

それぞれの顔を思い浮かべ、そうして、お線香を香炉に投げ込む。

残るお線香が二つになった時、
恋愛の神様に出会う。

ふむ。
この時だけは、我が身のみを考える。

そして最後の一つは、ご本尊の観世音菩薩様。

その前に進み出たとき、かっと天空の龍が一際色鮮やかに目に入る。
この様々な神々の下で生活を営む妹を思う。

妹一家が台湾にて平和で幸せでありますように。

長いお線香を香炉に勢い良く投げ入れる。



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2011年12月28日水曜日

銀輪



太陽にきらめくメット二つ。

なだらかな海岸線を走りながら、
潮風を体一杯に感じつつ、
こうして、銀輪の連なりを前にし、長距離を走ることが初めてであることに思い至る。

往復34kmの自転車専用道。

時にげんこつ程の木の実がたくさん落ちていて、
その上を走る度に、車輪があらぬ方向を向いてしまったり、
あやうく落ちそうになることもあり、

時に大きな木の橋があって、
その上を走れば、木琴の様にカラン、カラン、コロン、コロンと
小気味良い音がし、

時にアベックが黙って海を見つめていたり、
長い棒切れを担いだおじさんが、のんびりとチャリをこいでいたりするけれど、

とにかく、海岸線を走る道。

17kmの折り返し地点直前で、
息子バッタとスプリント。

負けてたまるか、と、チビチャリを猛烈にこぎ、追い抜き、引き離し、勝ち抜き!と満足感に浸っていると、
左からターボエンジンを駆けたママチャリに追い越される。

まさか。

追い抜くには距離が足りず、
砂丘にぶつかる。

完熟トマトの末娘バッタが、これまた極小チャリで追いつく。

二人の爽やかな笑顔を携帯カメラに収めると、
早速、帰途に。

真っ赤に染まった海を左に、
茜色に萌える空を黙々と走る。

夕陽なんぞを楽しんでいる場合ではなかろう。

まさか、まさか、そのまさか、で、
暫くすると周りが夕闇に包まれ始める。

末娘バッタが背中が痛い、もうこれ以上は無理と、呻き始める。

とにかく、走ろう。
さあ、こぎ続けよう。
脚の動きを弛めるな。
ブレーキは掛けるな。
スピードを落とすな。
泣き言は言うな。

そうして、
とにかく、走ろう。こぎ続けよう。

漸く、村の灯りが見え始める。
いつもは避ける自動車のライトが嬉しい。

美しい夕陽だったね。
ねえ、また明日、行こうか?
今度は、長女バッタも誘って。




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異邦人



教えられた通りに
教えられた道を辿っている筈なのに
どうも様子が違う。

玄関を出て、前の道を左に真っ直ぐ
そして、いつか大通りにぶつかるので、
そこを左に折れて直ぐの建物が目的地の郵便局の筈。

それなのに、大通りに出るどころか、
細く入り組んだ路に迷い込んでしまう。

もう一度、出発点に戻る。

そうして、
さっきと同じように、
でも、今度は注意深く、辿ってみる。

ひょっとしたら、聞き間違いか。

最初の交差点を左折するのだろうか。

道行く人に聞こうと思っても、
すっかり、この地に馴染んだように思われても、
彼らの言葉は私には分からないし、
私の言葉を彼らは解さない。

なんだか、天狗に馬鹿にされたような気がしてきたところで、
トラックが止まっていたとばかり思っていた場所が、
実は道路工事をしていることに気がつく。

そこの道こそ、大通りに出る細い道。

なあんだ、そんなことか。

道路工事にしても、本格的なものではなく、
のんびりとしたものだったので、
脇をなんでもないかの様にすり抜けてみる。

そうして、漸く辿りついた郵便局。

切手を買うだけのことなのに、
なんだか、とっても手間がかかる。

すると、おじさんが寄って来て、フィリピン人かい?と聞いてくる。

返事をするのも疲れてしまい、振り向きもしない。
実際、どう返事をするのかも分からない。

それでも、なんだか可笑しさが込み上げてくる。

そうか、
そうかぁ。
フィリピン人。
異邦人であることに違いはあるまい。





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2011年12月22日木曜日

臺灣に浸る日々

パクチーの香り

バイクの喧騒

ハイビスカスの赤

バナナの太さ

名前も味も知らない
見たこともない青菜の数々

道端で包丁を研ぐ女性

回転焼き、
焼き栗、
饅頭、
焼仙草、
豆腐花、
珍珠ない茶など、
さまざまな色、香り、味を熱く、或いは冷たく、即座に供する屋台


台湾に浸る日々




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2011年12月20日火曜日

A better life



メキシコから移民のCarlos14歳の息子とロスに住む。
移民仲間の一人のトラックに乗って、高級住宅の庭園の庭掃除を生業とする。庭掃除といっても、そびえる椰子の木に登ったり、植木を伐採したりと、力仕事。ところが、仲間は十分貯蓄できたのでトラックを売って別の人生を歩むと宣言。Carlosにもトラックをとにかく入手しろ、と勧める。運転免許がないとするCarlosに、見つからなければ問題なし、と威勢良く告げる。

さて、Carlos、妹に金の無心をする。妹は旦那と子供の為にと積み立ててきたお金を崩して持ってきてくれる。

トラックを入手したCarlosは新たな人生が開けてくることへの予感と喜びに満ち溢れる。ところが、人の良い彼は、椰子の木に登っている間に、仕事仲間にトラックを奪われてしまう。

盗まれたトラックを取り戻そうと、14歳の息子と捜し歩く。うまく盗んだ相手が見つかるが、既にトラックは売り飛ばされ、得た金はすべてメキシコの彼の家族に送られてしまった後。しかも、本人はレストランの下働きをしており、特に生活が変わったわけではない。息子は怒り狂うが、Carlosは耐える。売り飛ばされたとする闇市にトラックを奪いに行く。

息子との絶妙な協力でうまくトラックを盗み出すが、途中パトーカーに無免許運転で捕まってしまう。そうして、刑務所に。本国強制送還が待っていることに。

息子が父親に会いに行くと、受付でCarolsは既に送還されたと伝えられる。息子はまっすぐと受付の目を見て言う。彼はいます。まだいる筈です。だから、彼に会わせてください、と。

果たして親子の面談が叶う。

Carlosは痛恨の面持ちで手錠をかけられた格好で現れる。

お前は以前俺に聞いたよな。なぜ貧しい夫婦が子供を持ったんだって。俺達はメキシコの田舎で知り合って、アメリカに一緒に出てきた。二人は愛し合っていたから、子供が欲しかったんだ。そうして子供に恵まれ、俺達は幸せだった。でもな、人間は変わるもんだ。彼女が望むことを俺は与えてやれなかった。彼女はもっともっと高みを望んだんだ。そうして、俺達を残して去っていったよ。仕事もろくにない俺は、幼いお前を残されて、彼女を憎んだよ。でもな、生きていけたのは、お前がいたからだ。お前の成長が楽しみだった。

悪い親父でごめんな。いつも一緒にいてやれなかったな。

息子が辛い表情で応える。

そんなことないよ。父さんはいつだって一緒にいてくれたよ。ねえ、あの子守唄さ、あれって父さんが歌ってくれていたんだよね。

驚いた顔のCarlos
こんな姿を見せちまって、ごめんな。期待を裏切ってごめんな。

そんなことないよ。父さんは裏切ってなんかないよ。

額に刻まれた皺をいっそう深くして、Carlosはメキシコに戻る。。。


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2011年12月19日月曜日

RERで出会ったマダム



バッタ達とパリに向かうRER(高速電車)で、角のボックスを占領し、賑やかにしているところに、リュックを背負って、大きなカバンを押した女性が、通路向かいのボックスに入り込む。

実は通路まではみ出してバイオリンを置いていたので、彼女を通すために、ちょっと場所移動が必要であった。日曜の朝なので、電車はがら空き状態。角を占領する我々の戦略がよっぽど利口に見えたのか。

女性は肩までのグレイのセミロンググで、お元気そうでかくしゃくとしていながらも、つい、お手伝いをと手が出てしまいそうなお年頃。ところが、しっかりとにこやかに断り、ご自分でカバンをどうにかボックスの隅に収めてしまう。

バッタ達は瞬時おとなしくなるが、すぐにまたもとの賑やかさで、飴やらガムやらを交換し合って騒ぎ始める。末娘バッタが、青と白のべろりと長い飴をとろけんばかりの表情で食べていると、マダムがおいしそうね、と笑いかける。ちょっとしたピクニックの仲間感覚が生まれる。マダムは我々の飴の申し出を優しく微笑んで断ると、あら、バイオリニストなのね、と嬉しそうに話しかける。

穏やかな微笑みにつられ、いつの間にか会話が弾み、マダムがシアトルに住んでいて、これからポワシーに住む息子一家とノエルを過ごす予定であることが分かる。

マダムのフランス語からも、彼女が生粋のフランス人であろうことが推して測れたので、いつからアメリカに住んでいらっしゃるのか、ちょっと聞いてみる。すると、穏やかな笑みを絶やさずに、何十年も前に連れ合いの仕事の関係で渡米した旨、でも、今ではその連れ合いとは別れてしまったこと、それでも、アメリカに住み続けていることを話してくれる。その語り口調が余りに優雅で自然であったので、つい、私自身も似たような境遇である旨伝える。

そうなのよね。一旦住むとそんなものよね。といった感じで話が弾み、バッタ達がいるので、別れた旦那とは今でもしょっちゅう連絡し合っていることや、彼がパリに住んでいるので、ややこしいことなど話始めたところで、息子バッタから日本語でブーイングが入る。

「あら、抗議が入ったわね。」

穏やかな笑みを絶やさずに、マダムが指摘。

「分かるわよ。私も随分娘から言われたわ。ママはプライベートなことを話しすぎるって。」

二人は顔を見合わせ大笑い。

すると、今度は長女バッタが、ママ、静かにしてよ。その笑い声、かなり目立つよ、と。

バッタ達よ。ママはこんな嬉しいことはないのよ。
こうして自分の幸せな人生の一部として語ることができるようになるなんて、思っても見なかったのよ。
そう、ママの人生の特徴の一つにしか過ぎないのよ。それが今実感として分かったのよ。こちらのマダムのように。
だから、許せよバッタ達。ママはあんまり嬉しくて、つい、うきうきとしてしまったのよ。

マダムはエトワールの駅で降りる。
爽やかな笑顔を残して。

ボンフェット、マダム!


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2011年12月15日木曜日

みんな幸せになりたいだけなのに


何が問題なんだよ。
一体全体、良く分からないよ。
iPhoneを買ってあげるって言うのに、半泣きしながら、嫌がっている。
どうしてこんなことになったんだよ。この前、電話で話をして、君が一緒に買いに行って、後で僕が払うってことになっていたよね。


相手がイライラしている時は、努めて冷静に対応することにしている。

パパが約束してくれたiPhoneのプレゼントの為に、ママが毎月の契約料金を支払うことになることが耐えられない、と長女バッタが考えていることを伝える。

私は、彼女に一緒に買いに行こうって誘ったのに、彼女がそれでは筋が通っていないって、嫌がったのよ、と説明する。

なんだ、そうか。。。

沈黙。

でも、じゃあ、それって君が毎月払っているモバイル契約とは別に僕が新たな契約をし、新たな電話番号を得て、彼女にプレゼントしろってことなの?

ねえ、私に話すのではなく、彼女と話すべきなんじゃない?

違うよ。お金の支払いは彼女とは関係ないだろう。君と僕との間での問題だよ。

違和感。
つい、繰り返してしまう。

パパと娘の間で話し合ってよ。

何故私を巻き込もうとするのか。パパとママから一緒に、なんてことができない状態にしたのは、誰?そんな気持ちが支配してしまう。

だいたいさ、君が今払っている契約だって、元を正せば誰が払っているんだよ。

彼は、毎月私の口座に振り込んでいる養育費のことを言っている。
怒り心頭。

じゃあ、そう言って納得させればいいじゃない。

お金の話は子供とはしない。分かったよ。僕がケチだ、なんて思われるのも癪だから、馬鹿馬鹿しいけど、iPhoneを買って新しい番号の新しい契約をするよ。そして、君は君で今の契約を支払い続ければいいんだ。

勝手に電話が切れる。

悲しみだけが残る。




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2011年12月14日水曜日

眠れるならば


気がついたら夜中の3時。
丑三つ時ではないか。
取り掛かったら最後の仕上げまで途中で止めることができない。
何度小説を読み始め、朝を迎えたことがあったか。

今回はある会議の議事録。日本語訳を始めたところ、フランス語の文章自体に問題があると訂正を始め、内容の正確さを確認し始め、昔の会議の議事録にあたり、、、とのめりこんでしまう。

だから、我が家にはDSはない。その手のゲームはしない。
途中で止められない自分が分かっている。
そして、何かに集中した後の爽やかさではなく、ゲームの場合は頭が飽和状態になり、無駄に過ごした時間を悔いる気持ちがでてしまうので、しない。

それでも、今回は充実感よりも疲労感が強い。

睡眠二時間半で会社に行かないと。。。

会社では大幅なリストラのプランが発表となる。

170人。

パリのオフィスの半分。

重い、重過ぎる。
と、SMS。「昨夜は遅くまで楽しんでいたみたいだね。」

まったく意味が分からず、不快感が高まり、即電話。

どうやら、オフィスが終わってから会う約束をしていたらしい。
嘘。
絶対そんな大切なことを忘れるはずがない。

嫌味なんか言わないでよ。こっちはオフィスの人間の半数がリストラされるって発表があったのよ。

寝不足からか、声がかすれてしまう。

「こちらも、同じようなところ。昨日発表があったよ。」

え?どうして?いつも以上に忙しくしていて、繁盛しているじゃない。

「ふむ。そうなんだよね。でも、数字では逆らしいよ。」

そうか。

ま、とりあえず今日はお互い真っ直ぐ帰って早めに寝よう、と提案。
こんな時は、寝るに限る。
眠れるならば。




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2011年12月13日火曜日

青白い涙の粒


その村、町、独自のイルミネーションで
通りは静やかに瞬いている

空が白み始めるまで
たっぷりの時間があるこの地での朝

青白い粒が
つつーっ、つつーっ、
街路樹の枝を伝って流れ落ちている町を通る

小雪散らつくイメージなのか

いや、あれは涙
青白い涙の粒

いつも通る町なのに
いつもは気がつきもしなかったのに
今日は涙
涙の粒が流れている

そう思った瞬間
涙が頬を伝う


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2011年12月12日月曜日

みんな今日はありがとう


フロントガラスにうっすらと、しかしびっちりと張り付いた氷の膜を削りながら、
新鮮な気持ちが心の底から湧いてくる。

誕生日の朝を一人で迎えたことよりも、
朝から晩までの分刻み的な過密スケジュールのことをちらりと思い、
一時、一時を大切に過ごそう、と改めて確認する。

そうして、
夜には3匹のバッタ達に囲まれ、
息子バッタが気を利かせてボージョレを開け、
末娘バッタが沢山の手作りプレゼントを渡してくれ、
長女バッタがパパのところで作ったチョコチップクッキーを出してお祝い。

末娘バッタのプレゼントの一つに『二人のお守り』と手書きされた袋があって、
中味はピンクの学業成就のお守り消しゴム。

ママじゃなくって、貴女が持っていた方がいいんじゃないかな。

そう言うと、二人の思いがこもっているので、ぜひこれはママに持っていて欲しいという。
よく分からないが、まあ、そうしようか。

そして、数年前に皆でバカンスで行ったときの写真のカラーコピーの裏に、メッセージ。

い日元気なママ
っすぐと子供を育てるママ

そして、「ママ以上に最高のママはどこにもいない」なんて、ちょっと仏語を直訳したような文章が続く。

ほろ酔い気分になったところで、息子バッタが社会の宿題を見て欲しいと言ってくる。

いーわよ。いつものようにCでもDでももらっていらっしゃいよ。
ビタミンC、おっしっこC
なんて言い始めたら、心配そうな長女バッタの視線とぶつかる。
おっとっと。

慌ててお湯を沸かし、インスタントコーヒーで気合を入れる。

そうこうしているうちに、保護者会関連のメールが舞い込み、格闘しつつ、夜も更ける。

そう、ママは毎日元気に、まっすぐと君たちのことを育てようと、真剣に自分の人生を歩んでいるよ。

みんな、今日はありがとう。


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2011年12月10日土曜日

ボージョレを味見してトリュフを作ろうか、それとも、たっぷりの睡眠をとろうか

ブラックチョコレートの塊 1キロ
生クリーム 750ml
バター 125グラム
トンガ 5

心魅かれるブログ主のEmiさんから教えて頂いたレシピ
冷えて固めたクリームチョコを手に取り、掌の温かさで丸くし、
ココアをかけてトリュフを作成。

ご近所の方からお声がかかり、マルシェドノエルでの義援金活動の一助にと、
トリュフをお持ちすることに。

50粒は長女バッタが手伝ってくれ、
その後、引き受けて100粒はできたろうか。

金曜夜に、我が家で保護者会の役員による会議をし、
夜中にトリュフを完成させ、
土曜の朝は、息子バッタをサッカーの試合に送り、その後学校で改めて校長先生を迎えての役員会。
そうして、慌ててマルシェドノエルにトリュフを運び、その後、バッタ達とバイオリンの練習にMauleの森まで。
夕方は疲れた頭で一週間分の買い物にスーパーに。

あんまり深く考える時間を持たずに、いたはずなのに。。。
今学期、成績がFelicitationのマンションをもらった長女バッタ。パパとの約束でiPhoneを買ってもらえることになっていた。嬉々としてパパに電話で報告をしたが、彼はママと一緒に買い、その後、料金を請求して欲しいと告げたらしい。そうなると、毎月の契約料金をママが払う仕組みになる、と長女バッタは怒っている。パパは嘘つきだ、と。

そのことは、実は金曜の夕方の電話で知っていた。
彼らしい、と思い、溜息をつきながらも、あんなに喜んでいる長女バッタを裏切ることはできずに、バイオリンが終わったら、一緒に街まで行って購入してあげようと思っていた。

それなのに。
この週末、すぐに使えなくても良い、と長女バッタは言い切る。それじゃあ、ママに悪いよ。ママにひどいよ、と。

実のところ、それは余り大きな問題ではなかった。

彼は電話で、私にとってもっと堪えることを提案していたのだから。

日曜は、1月の全国大会のコンサートの為のオーケストラのリハがパリの北である。先週、パリにいたバッタ達を彼が車で連れてきてくれたが、どうやら酷い渋滞で閉口したらしい。バッタ達はメトロに乗るといっていたので、彼にその旨を伝えると、あんな危険な場所に子供達だけでは行かせられない、という。そして、自分でさえも、あの場所にはメトロで行くなんて考えられない、と。

なら、どうするのか。

沈黙が電話の向こうを支配する。

私に車で迎えに来て欲しいのであろう。
しかし、明日の朝はマルシェドノエルで、喫茶コーナーを担当している。
その旨伝えると、また大きな沈黙が横たわる。

あまり刺激しないようにしている。
ここでオーケストラのリハーサルなど、意味がない、などと言われたら、大喧嘩になり、お互いに言いたくないことまで言い出し、罵り合いになることは日の目を見るより明らか。

でも、この沈黙をどう扱おうか。

慌ててネットで地図を見ると、彼の住まいから、高速電車に乗れば、なんと2駅目。

とても近いので電車で送ってくれないかしら。

そう告げると、
非常に言いにくそうに、しかし、はっきりと、ラファエルを連れて行ったも良いか、と言う。オーケストラの練習も、一緒に見ても良いか、と。

ラファエル。来年の3月には5歳になるのか。いや、6歳か。バッタ達にとってのドミフレール、ステップブラザー。

アンヌがいないんだよ。この週末は僕一人で子供達の面倒を見ることになっているんだ。どうかな。

嵌められた。

別に、その子供に対して、特別な感情があるわけではない。ただ、どう言えば良いのだろう。バイオリン、音楽はバッタ達と私の空間。そこに、パパがくるだけでも、胃がおかしくなるのに、漸く、そんな心の動きがなくなったと、前回のソロのコンサートで密かに思っていたのに。。。ズブロッカで乾杯!

彼とアンヌ、二人の子供、そしてバッタ達。それは、それで、一個のファミリーを形成しているのであろう。それは紛れもない事実。ただ、それを目の当たりにしなくても、良いではないか。

私がその場に行かずに、終了時間に迎えに行くこともできよう。ただ、既に、他のお子さんを連れて行く約束をしていたし、ヴィオラのパートを受け持っている以上、リハーサルは必ず出ないと、私自身が困る。(セロ弾きのゴーシュ
嵌められた。

あまり深く考えないでおこう。
ここは、ヴィヴァルディの世界に没頭しよう。
そう思っていた矢先の、長女バッタの一言。

今宵は一人。
甘やかなチョコの香りを指に感じながら、
ユーディーのCDを掛けまくろう。

あまり深く考えないでおこう。
トリュフを全部持って行ってしまったことをちょっと後悔。
そうだ、ボージョレの味見でもしよう。
そして、板チョコをまた削って、トリュフを作ろう。
幸せの香り豊かなトンガ豆をクリームにたっぷりと含ませよう。

いや、ボージョレを味見して、ゆっくりとお風呂に入って、
久々の長い睡眠をとろうか。

そう、こんなときは寝るのが一番か!


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2011年12月8日木曜日

熱い烏龍茶で乾杯

地下鉄の階段を駆け上がり、駆け下り、
すれ違う人々にウインクまでしたくなってしまいながら、
オフィスから小一時間ほどの場所まで、メトロを乗り継ぎながら辿り着く。

待ち合わせの場所で待っている背中に飛びつく。

通されたテーブルで、
魔術師のように二つの包みをそっと差し出される。

紫色の紙に丁寧に包装された正方形の小箱に、ワインで名高いお店の名前が見て取れる。
ゆっくりと開けてみると、掌にすっぽりと入る小瓶に、グリオット(さくらんぼ)のリキュール漬けがおとなしく収まっている。赤紫のその粒は、ぷっくらとしていて、口に含むと甘く優しく香り高いリキュールがゆっくりと舌を痺らせるのだろうと思わせる。

一緒に味わう時を思い、軽く眩暈さえする。

もう一つの包みを開けるとき、視線が指輪を射た気がして、ちょっと緊張する。

細い銀のネックレス。
そしてペンダントヘッドはアンブル。琥珀。

白いブラウスのボタンをちょっと外して、つけてみる。

お誕生日おめでとう。

ちょっと早い誕生祝い。

お礼をと思い、席を立とうとするも、がっちりとテーブルで押さえられていて身動きが取れない。
首を伸ばすと、向こうの首も伸びてくる。

どうもありがとう。

熱い烏龍茶で乾杯する。


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音のない世界

 

一晩中冷やされた空気が未だ動かずに固まっている、
人通りもまばらな、ほの暗い朝のパリを急ぐ。

予定よりも随分早いが、
住所を確認し建物に入ると、
ふくよかな深緑の香りに迎えられる。

近代的な建物の入り口は3階分程の吹き抜けで、
巨大な闇の空間にひっそりとモミの木がそびえている。
赤、青、黄、金、銀、様々な色のオーナメントボールがたわわに飾られ、
その周りを抑えた光が星のように瞬いている。

ふと目をやると、
ガラス張りのホールの向こう側に、
その有様がくっきりと映し出されている。

間近で仰いだ印象と、
ガラスに反映した様子を眺めた印象が、
全く異なることを
ゆっくりと時間をかけて味わう。

音のない世界。

北欧の森林の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、
ひそやかに瞬き、
しのびやかに聳えるモミの木をガラス向こうに眺め、
その下にひっそりと佇む人影に一瞬戸惑い、
我が身であることに気がつき、
忍び笑い。


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2011年12月7日水曜日

Life is busy and going on and on



かの国にいる彼。

20年ぶりの再会を果たしてからというもの、
毎日の様に電話をし、
メールを書き、
週末はスカイプをして連絡をとっていたのに、
いつ遊びに行こうかとガイドブックを買い、
語学学習教材を買い、
格安チケットを調べ、
手ごろなホテルを選んでいたのに。。。

彼の勤務地が変更になり、週末の連絡が難しくなり、
電話も2回に1回は混線するといった状態で、
加えて、彼の仕事上、実際に私が遊びに行っても、恐らく会えないであろうことが分かり始め、
彼の出張先で落ち合うとの話も、
具体化する前に、ゲストで出席予定のカンファレンスがお流れになり、

それでも毎日SMSでハローメッセージのやり取りをしていたが、
ここのところ、そちらもひっそり。

最近どうしている?

冷たい雨がはじくセーヌを見やりながらSMSを送る。

Life is busy and going on and on.

昔から、長い手紙なんて滅多に書かず、それでいて、ぴしっと心を打つ一言を書く名手。
いや、彼が発した言葉だから、たとえそれがどんな長さであっても、大きな意味合いを私にもたらすのか。受け手である私が、深読みしようとするのか。

しかし、すきっと言い切っている、この潔い一文に、彼の今の状態、心境がしっかりと言い表されているではないか。人生の荒波に果敢に立ち向かっている彼だからこその言葉。

繋がったかに見えた彼との細い糸が、
消えかけていることに改めて呆然とする。

それでもLife is going on and on…

この言葉を抱きしめながら冷たい雨のパリを仕事のアポイント先まで足を速める。



 


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