2023年8月28日月曜日

晩夏

 







一時思い出したかのように暑さがぶり返したが、それも二、三日のこと。すぐに朝は肌寒く、長袖のジャケットを羽織らずにはいられない日に戻ってしまった。通りでは子供たちの声が聞こえ出し、路上駐車の車の数も増えだした。バカンスも最後の週となり、月並みな表現とはなるが、正に光陰矢の如し。


この9月からフランスの理系エコールの最終学年となる末娘バッタ。単位互換制度を利用して、ダブルディグリーを目指すとかで、オランダのデルフトに旅立つ。そこでの大学院のディプロムを得るには二年間の就学が必須なので、留学期間は二年となる。日本での研修を終えて帰って来たばかりなのに、もう旅立つ準備をする彼女は、頼もしくもあり、消化不良にならないかと心配にもなり、親としては不安を抱かずにはいられない。


若さとは、そんなものなのかもしれない。新しいことに向かって突き進む時の高揚感。それが全ての原動力となり、自分の人生を切り拓いていくのである。大いに鼓舞激励せねばなるまい。大した相談もされずに一人で出発の日を決め、電車の切符を手配し、見送って欲しいとも言われてはいなかった。それでも前日になって、ここは盛大に送ってやれねばとの気持ちになり、会社がまだバカンスモードで仕事がフル稼働していないことをいいことに、急遽休みをとり、北駅まで見送ることにした。


オランダでは長女バッタが3年間、学生生活を送っている。北駅で彼女を見送ってから、もう7年になることに、月日の流れの早さを改めて感じてしまう。未だ20歳になっていない長女バッタを見送る時の悲壮感はない。ぱんぱんの大きなスーツケースに、彼女の姿を隠してしまう程のリュックを背負った22歳になった末娘バッタの姿は、頼もしい限り。


テロの関係で、以前はホームには乗客しかアクセスできなかったが、どうやら規制が緩んだのか、誰もが見送れるようになっている。末娘の車両は先頭近くで、プラットフォームのずうっと端だった。そこまで見送ってあげようかとも思ったが、雨が降り出したこともあって、ちょうど屋根が途切れたところで別れの挨拶をした。


いってらっしゃい!元気でね!風邪ひくんじゃないわよ。ちゃんと勉強してね。困ったことがあったら、いつでも連絡するのよ。それじゃあ、またね。びず!



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2023年8月25日金曜日

お詫び

 





拍手機能からコメントを残してくださっていた皆さんへ、


謹啓


拍手機能からコメントを残してくださっていた皆さんへ、慎んでお詫び申し上げます。


確証はないのですが、恐らくお返事が届いていなかったと思います。せっかくコメントを残してくださったのに、それを見ることも出来なかったのではないでしょうか。不安に思っていたのですが、私が閲覧できるように設定することが出来ていないので、当然どなたも見ることができる筈がないとの結論に、今頃ですが達しました。


従いまして、遅ればせながら、コメントを残してくださった記事の、拍手機能ではないブログ本体からのコメント機能にて、皆さんからのコメントと共にお返事を残すことにします。


ややこしくて、申し訳ないです。

引き続き、ご贔屓を賜りますようお願い申し上げます。


残暑厳しき折り、どうぞお身体お大事になさってくださいませ。


                                                                                                            謹白

                                                                                                            クッカバラ





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2023年8月24日木曜日

アルマジロ

 





以前、母とバッタ達とブラジルに遊びに行った時のこと。アマゾンのような奥地で、一人一人が大きなタイヤに乗って川下りをしたことがある。勿論インストラクターの元でであったが、当然小さな滝つぼあり、ごつごつとした岩あり、急斜面あり、とアトラクションに事欠かなかった。何度もタイヤから放り出され、真っ青になりながらも大笑いしたものだった。


確か数十名はいただろうか。皆で揃って集合場所からマイクロバスで川岸に出て、そこで水着に着替え、タイヤを渡されることになっていた。その際にトイレを探したところ、当然ながらそんなものはないことに気が付く。仕方なし、と母と一緒に皆からちょっと離れた小藪に入り、着替えをしていたところ、隣でカサカサと音がする。


ふと見まわしたところ、ぎょっとしてしまった。なんと、アルマジロ君が隣にいたのだから。きっと、彼も私以上に驚いたのだと思う。あの堅い殻をカサカサと動かせて、おい、おい、ここで何しているんだよ、と言わんばかりであった。大慌てで一緒にいた母に知らせたことは言うまでもない。母も仰天してしまった。正にアルマジロと裸の付き合い。


動物園でしか見たことがないアルマジロが目の前にいることに、感動よりも恐怖の感情が勝ってしまって、とにかく早くそこを逃げないと、と慌てたことも今では良い思い出。


なにゆえに今アルマジロのことを思い出しだのかと言えば、どう対応して良いのか分からない知り合いの方のことを考えているうちに、自分がアルマジロのようだな、と連想してしまったからである。


悪い人ではない、それは分かっている。しかし、過去に何度も心が冷え切ってしまう言葉を吐かれ、身体がさっと防御態勢をとってしまうのである。できることならば、素通りして欲しい相手であり、一生言葉を交わすこともないだろうと思っていたのに。


自分で言うのも変な話ながら、お人好しで、頼まれると断れず、おだてられるとその気になってしまう、おめでたい性格な自分が恨めしい。それでも、今のところは身体がアルマジロ化している。硬い殻をカサカサと言わせて。



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2023年8月23日水曜日

何事もほどほどに

 





このところ、森に散歩に行くたびに、ずっしりとした大きなセップに出会う。初めての時はビギナーズラックだろうぐらいに思っていたが、こう連日となると、どうやら今年は当たり年らしいと思われてきた。かつ、8月に収穫なんて時期が前倒し。自然の恵みに大いに感謝し、毎夕食に恭しくいただいていた。


ところが、どうも腕や足に、そして首にと小さな赤い発疹が出てきてしまった。


ひょっとしたら、あのミラベルたっぷりのタルトがいけなかったのかもしれない。ミラベルも、我が家の庭に黄金の粒がなるものだから、数年は毎朝採れたてを食していたのだが、数年後には蕁麻疹が出るようになってしまい、今では加熱しないと食べられないことが分かっている。クエッチにしろ、然り。不思議なことには、お店で売られているミラベルやクエッチを食べても、蕁麻疹は出ないのだから、訳が分からないと言えば分からない。


いやいや、これは摂取する量によるものなのかもしれない。流石に、お店で買う時はほどほどの量で、いただく時もほどほどの量。


セップにしても、同じことが言えるのかもしれない。


トンカのことを言えないではないか。とほほ。


先日ご自身の庭から採れた日本の胡瓜をいただいたご近所さんに、写真入りメッセージで森で採れたてのセップをお届けしたいのですが、お好きですか、と送ったところ、「天然茸は調理したことがないので」と遠慮されてしまった。毒キノコの可能性を危惧したのかしら。


せっかくだから、今度は保存食として調理してみようか。塩漬けになるのかしら。研究せねば。



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2023年8月20日日曜日

パパラッチ






日本での4ヶ月の研修を終えて帰ってくる末娘バッタを迎えに、空港に向かった。さすがにバカンスもそろそろ終盤のフランス。空港はバカンス帰りの人々でごった返している。COVIDで渡航が制限され、閑古鳥が鳴いていた2年前が嘘のよう。あれは、もう3年前になるのだろうか。


喉元過ぎればとは、よく言ったものだが、人間とは忘れることができるから、こうしてしぶとく生きて行けるのだろう。その意味では、お互い許し合って、妥協していくことは、生きていく上で、実に重要なことなのだろう。


最近は携帯の普及およびwifi環境の充実から、空港での出迎えも非常に楽になった。ドゴール空港の第2ターミナルはガラス張りなので、税関検査を終えて出てくる人々が見える仕組みになっている。ターンテーブルに荷物が出てくるのを待つ間、ガラス越しに再会の喜びを伝えることが出来る。


到着ゲートを挟んで、左右両方に同じだけの数と規模のターンテーブルが設置されているので、どちら側から出てくるのか見当を付けねばならない。思い込んで別の場所で待機して、出迎えの相手が既にゲートから出てしまったこともある。荷物を待っている人々の様子を観察し、日本からなのか、成田なのか、羽田なのか、判断しないとならない。


日本からの場合は比較的分かりやすいが、これが他国からの便となると、非常に分かりにくい。それが、最近は携帯で連絡を取り合うことで、間違いを防ぐことができる。


今回は、末娘バッタから、搭乗口がひどく混んでいたので、最後までのんびりと座りながら落ち着くのを待っていたが、待てど暮らせど混雑は収まらず、出発時刻ぎりぎりになってきたので焦ったところ、日本のラグビー代表チームと同じ便で、人込みはパパラッチだったことが分かり、慌てて乗り込んだとの情報を得ていた。どうやら彼女は最後から3番目の搭乗者だったとか。


しかし、パリではパパラッチらしき人々の姿は見られず、それが目印になる様子はなかった。それでも、ガラス越しに眺めていると、すこぶるガタイの良い人々の集団が目に入った。あっ!彼らに違いない。ターンテーブルで荷物が出てくるのを待っている様子だった。末娘バッタは未だ税関検査を終えていないので、彼らの方が先に出てくるであろうと推定した。


そこで、到着ゲートの真ん前に陣取り、いつでも写真撮影できる体制をとった。拍手をして歓迎しようか、とも思い始め、勝手に興奮してしまっていた。しかし、そんな人物は私一人。歓迎クルーも見当たらない。そういうものなのだろうか。ピンクの揃いのTシャツを着ている若者が数名、手持無沙汰気にカフェの前でたむろしていたが、彼らがそうなのだろうか。


そうこうしているうちに、ぱっとゲートが開かれ、満面の笑みを浮かべたグリーンのTシャツを着た末娘バッタが出て来た。思わず写真を撮ってしまう。照れくさそうな彼女。あはは。とんだパパラッチ。お帰り!



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2023年8月17日木曜日

C’est la vie 、どうしようもないこと

 





トンカは三人兄弟で、トンカの他に2匹のオス犬がいる。ゴールデンは大抵8匹ぐらいの赤ちゃんを産むらしいので、3匹は少ないらしいが、そこは父親の影響なのだろうか。


ムクムクとして真っ白なゴールデンレトリバーのママから生れた3匹は、大きさこそ違え、皆同じように全体に栗色をしていて、首から胸にかけてクリーム色で、表情がとても愛らしかった。トンカを迎えに行った時には、既に兄弟の一人は数日前に貰われて行ってしまっていた。トンカが一番小さくて、最後までママのおっぱいを飲んでいた様子だったが、先に貰われていった子は、トンカよりも二回りも大きかったそうだ。


その子の名前はCajou。カジュウと発音し、フランス語でカシュナッツを意味する。毛色がカシュナッツのようだからと名付けたのだろうが、なかなかどうしてお洒落で、気が利いていると思ったものだった。


ところが、そのカジュウの飼い主が、自分の手に負えないと地元のSPA、動物保護団体に引き渡したと、末娘バッタが、友達である、トンカのママ、ウシュカの飼い主のお孫さんから聞いてきた。


信じがたい思いがした。トンカの兄弟のことは、時々思い出しては、元気にしているかと思っていたのだが、まさか飼育放棄されているとは!何とも身勝手な話ではないか。考えようによっては、野良犬として外に放り出すよりは、SPAに連れて行って、専門家の手に委ねることは悪くないのかもしれない。別の飼い主との出会いだって、これからないとは言えない。


しかし、である。


怒りと同時に、何とかできないものかと切なくも思った。トンカと同じ顔をして、恐らくトンカと同じようにカンガルー跳びをし、いたずらをし、やんちゃなカジュウが、さみしい思いをしていると思ったら、居ても立っても居られなかった。


それで、ウシュカの家では引き取ってあげられないのかしら。


末娘バッタが、無理らしいよ、と言う。友達のおばあちゃん、つまりウシュカの飼い主が、「C’est la vie.」と呟いたらしい。それが定め、どうしようもない、といったところか。しょうがないことなのよ、ということだろう。


我が家でカジュウを引き取ることを思う。トンカは大喜びするだろう。でも、我が家で2匹の元気なカンガルーを飼うことは、どうなのだろうか。さて、さて。


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2023年8月15日火曜日

君の虜

 





トンカに出会うまでは、動物が笑った写真を見ても、新生児が笑った写真の様に思っていた。いわゆる天使の笑顔であり、筋肉の動きがなせる業なのだが、ママやパパは我が子が、おじいちゃんやおばあちゃんは我が孫が微笑んだと、大はしゃぎするのである。


でも、トンカとの生活を始めてから、自分の考えがなんと浅はかであったのかと、トンカの様子をつぶさに見ることで、驚き、そして大いに反省したのであった。


トンカは溜息をつく。こんなに晴れているのに、外に遊びに行かないなんて、と、ソファーに寄りかかり、鼻をガラスにくっつける様に窓の外を見ながら、ふーっと鼻から音を出す。


朝の散歩に行こうとドアを開けた時、空から銀の粒がしきりに降っていて地面を濡らしている様子を見て、ドアぎりぎりのところで踏みとどまり、外に出ようとしない。先に出て、「トンカ、来い」と声を掛けても、この雨の中を?と言わんばかりに、空を恨めしそうに見上げて動こうとしない。


バッタ達が週末に帰って来ると、大いにはしゃいで、ソファーにくっついて寝そべり、満足そうな顔をする。長女バッタや末娘バッタが、ヨガをするともなれば、一緒に自分もヨガのポーズを取ろうとする。


PCを前に仕事を開始すると、一挙手一投足を見逃すまいと視覚、嗅覚、聴覚を総動員し見張っており、ふっと携帯でも見ようものなら、休憩なのかとばかりに音もなく駆け寄り、鼻を膝に押し付けてくる。


大好物のさくらんぼやミラベルを好きなだけ食べた後は、恐らく藤原道長公が「この世をば」と詠んだであろう時の、これ以上にない満悦の様子でごろりと横になる。


散歩のときに、友達と追いかけっこをしたり、鹿に出会ったりと、森を好きなだけ駆け回った後は、帰ってくるとひんやりとしたフローリングで熱くなった身体を冷やしながら、目を閉じながら鼻歌でも歌うかのような表情をしている。


例を挙げたらきりがない。時々、熾火のように瞳の奥を煌めかせて、まんじりともせずに見つめられていることに気が付く。嗚呼、そんな瞳で見つめられたら、心臓がばくばくして、正に恋に落ちてしまうよ。


いや、既に、すっかり、君の虜、か。



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2023年8月14日月曜日

森の恵み





 


前日はセップを2つ見つけたのみだったが、本当にセップなのかと疑心暗鬼であったし、その場所で蚋やら蚊やらに刺されてしまったこともあって、すぐに別の場所に移動してしまっていた。


香り良し、味良し、生命を脅かす毒無し、となると、人間は欲が出てくるものである。あの場所にもう一度行って、他にもセップがないか探そうではないか、となるのは人間の性。どの道、トンカとは毎日散歩をする道すがらである。散歩のついでに、ちょっと森の奥深くに足を忍ばせても罰はあたるまい。


欲丸出しでは、森の精も黙ってはいないであろう。ましてや、森には鹿、猪、狐たちが生息している。彼らの貴重な食料を奪ってしまうのは本意ではない。などと、成人君主のようなことを言い連ねてみたところで、所詮俗人は俗人。美味しいセップをちょこっとだけ分けてくださいませね、との控えめながらも、食いしん坊精神満々で森にスキップで入って行った。


枯れ葉がやわらかに積もっていて、森の木立の隙間から太陽の光がさっと差し込んでいる、そんな神々しい場所に、どうやら茸は好んで生育するように思われた。単に、暗がりでは良く見えずに、見落としてしまっているのかもしれなかった。それでも、鬱蒼とした森の中で、落ち葉の絨毯の爽やかな緑の空間を見つけて足を踏み入れると、密集と言うよりは、ぽつりぽつりながらも、茸の生育が認められることが多かった。


果たして。バカンスで誰もいない森に、太っちょの白い軸に焦げ茶色の愛らしい丸い傘をつけたセップが、やわらかな緑の陰でひっそりと、しかし頼もし気に、姿を現してくれた。


嗚呼。森の精よ、ありがとうございます!



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2023年8月13日日曜日

千載一遇

 






夜じゅう雨音が絶え間なかった翌朝、空の壮大さを誇示するかのように頭上でたなびく鱗雲が、朝の光を浴びて薄桃色に染まっていた。こういう時に限って、携帯を持っておらず、心のシャッターを切る。


その日は一日中、晴れ間が出てくるようで、急に薄暗くなったり、雨が静かに降ってきたりと、不安定な空模様だった。それでも、いつものように夕方になると相棒のトンカと一緒に森に繰り出す。真夏とは思えない天候ながら、それでも蒸し暑さが一瞬ぶり返したようで、長袖で歩くと、汗がじっとりと出てきてしまう、そんな日だった。


こんな日は、鹿たちはどうしているのだろうか。ところどころで出現している泥濘に足を取られないように気を付けながら、鹿の姿が見えないかと木々の間に目を走らせて歩いて行った。トンカも蒸し暑さは苦手の様で、時々珍しく地べたに腹ばいになって、ひんやりとした土の感触を楽しんでいるかのように、相棒が来るのを待っていた。


このところの雨で、巨大な白いマッシュルームが道端に出現していたが、さすがのトンカも匂いを一度嗅いだきりで、目もくれなくなっていた。変わった種類の茸を見つけると、ついカメラを向けてしまうのは、昔取った杵柄といえば聞こえは良いが、単なるカメラ小僧の習性。出会いはシャッターチャンス、それが信条なのだから、仕方あるまい。


そんなこんなで、汗をかきながらも、時々立ち止まっては写真を撮り、のんびりと森を歩いていたところ、先日小鹿と出くわした場所に差し掛かった。と、目の前の道のど真ん中に、にょきっと生えている茸が目に飛び込んできた。


むむむ。これは、まさか。


手に取ってみると、身がしっかりとしていて手ごたえがある。鼻に持っていくと、何とも言えない芳しい香りが勢いよく頭脳を直撃し、大いに度肝を抜かれてしまった。こ、これこそが、あのセップ様ではあるまいか。


バカンスの真っ最中で、森には人っ子一人いない。だからなのだろうか。まさか道の真ん中に、幻のセップ様がおわしますとは思いもよらず、これこそ千載一遇の出会い。ありがたし。


素人は無暗に森で採った茸を食すべからず、なんていうことは、百も承知であるが、この香りと、そしてむっちりとした重みは、本物でせう。間違う筈はあるまい。本能がそう伝えている。ふっふっふ。



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2023年8月11日金曜日

森での駆け引き

 





もともと森は人気がないのだが、週末には時々マウンテンバイクに乗った集団や、ノルディックウォーキングとやらで二本の杖をガンガン鳴らして早歩きで駆け抜ける集団や、木の枝を背負ったスカウトの子供達と出会うことがある。ところが、今は何せ国中バカンス一色。一体皆どこに行ってしまったのだろうと思う程、誰もいない。


だからだろうか。このところ、夕方の散歩の折には頻繁に鹿と出会う。出会うという表現が正しいのか、トンカが見つけ出すといった表現が正しいのか。トンカと同じ柔らかい栗色の体躯なので、トンカかと思ってしまうことがある。大腿部の大きさに何か違和感を覚えていると、その傍をトンカが走り抜けることで、鹿だったのか、と分かることもある。


その日は、既に大柄の鹿が軽やかに森の中を横切って走っていく姿を見ていた。トンカは急いで追い駆けていったが、すぐに戻って来た。その辺の判断は、どうやっているのだろうか。トンカが深追いをしたことは、一度もない。いつまで経っても戻ってこない時は、どこかでトンカにとって美味しいものを見つけて、貪っている時である。


そこは森の中でもちょっとした坂になっていて、立派な大木が小径に沿って並んでいる、大いに絵になる場所であった。数メートル先を歩いていたトンカが、右方向を見つめたまま、ぴたっと立ち止まり、その後暫く微動だにしなかった。これはシャッターチャンス到来、とばかりに、数枚撮った。大抵携帯と言えど、カメラを向けるとぷいと歩き始めたり、別方向に飛んで行ってしまうトンカなので、もう少し近距離で撮影したいと、そろそろと近くに寄っていったが、それでも動かない。こんなこともあるのか。近距離で数枚、トンカの横向きの姿を撮影する。


トンカの緊張した姿に、近寄りがたさを覚えたが、どうした、とばかりに歩みを進め、トンカが見つめる方角を見た途端、仰天してしまった。2メートルもしない近距離に、トンカと同じ大きさの、トンカと同じ淡い栗色をした小鹿が可愛らしい顔をのぞかせていたのだから。その小鹿とトンカは、暫くの間じっと見つめ合っていた、ということなのだ。


緊張の糸が張り詰めたような二匹の動物同士の駆け引きは、人間の出現によりぷつりと中断され、一瞬のうちに小鹿は姿を消してしまった。


知らなかったとはいえ、トンカ、ごめんよ。


トンカはそんなことを一向に恨むでもなく、何でもないかのように、いつものように歩き出した。森は思いもよらない出会いに満ち溢れている。



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2023年8月9日水曜日

口どけ甘やかな夏の宝石箱

 





先日、餡玉を入れた水饅頭なるものを作ってみたのだが、ゼリーがいかにせん堅過ぎ。細切りにして、葛切りのように食する上には適する硬さになってしまった。敗因はアガーの分量。ついつい、日本のレシピを検索してしまったのだが、どれも「アガー」という名称で記載されており、フランスで手に入る「アガ アガー」とは違うのかしらと訝りはしたものの、商品名の違いだろう程度に思ってしまっていた。原料は寒天と一緒の海藻ぐらいの知識しか有していなかったし、それでよいと思っていた。


ゼラチンにしろ、寒天にしろ、何を作りたいかで分量はそれぞれに違う。ババロアなのか、トコロテンなのか、ジュレなのか。レシピを忠実に守らないことには、似ても似つかぬものになってしまう。


当たり前のことなのだが、そこが落とし穴。




さてさて、今回は、水饅頭といえど、いわばぷるるんとした、口にとろける仕上がりが欲しいのだから、「アガ アガー」使った似たようなレシピを探してみた。するとどうだろう。0.2%の濃度で、ゆるいながらも型から外せる程の硬さに固まるとあるではないか。2グラムで1ℓ!おっと!


リベンジもとい、再挑戦。


餡子を作っている余裕はないので、ここはぷっつりと粒が大きいマスカット、とイメージを膨らませスーパーに行くも、イタリアの粒が細長い葡萄しかおいていない。まあ、取り敢えずは良しとしよう。丁寧に皮を剥き、種を出したいところだが、実が潰れてしまいそうなので断念。ゼリーに入れる際に冷たい方が良かろうと、冷凍にしておく。


型は、この際サランラップで作ってみたらどうだろうか。ついつい、いつもの悪い癖が出て、色々とアレンジをしてみたくなる。しかし、フランスのサランラップの能力を過大評価してしまったと、これは後にしまったと反省することになる。


しかし、まあ、どうでしょう。結果オーライ、ではあるまいか。つるりと型から外れ、お皿に涼し気にのり、透明できらきらとして、中心にぷっつりと葡萄の粒が隠れている様子に、大いに満足。


銘打って、口どけ甘やかな夏の宝石箱。謹んで献上申し上げまする。





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2023年8月8日火曜日

幻影






その朝は、外に出た時からいつもと様子が違った。いつもなら威勢よく歩き出すのに、珍しく我が家の門の匂いを嗅ぎ、見る度に刈り取らねばと思っている雑草に鼻を押し付けるようにして一つ一つ匂いを嗅ぎ、歩道のあちこちで臭いを嗅ぎ、遅々として歩みが進まなかった。


漸くいつもの運動場の駐車場に差し掛かるところで、遠くに誰か無法者が置きっ放しにしたらしいスーパーのカートを発見し、威嚇の姿勢を取り始めた。「トンちゃん、ただのカートよ。大丈夫だよ。」そんな言葉が耳に入る筈もなく、カンガルー跳びをして近づき、ちょっと吠えた。


匂いに敏感な君なら、あれが生命体ではないことは十分分かることじゃないか。そうは思ってみるものの、ああいった物体を怖がる習性があることは、これまでのトンカの反応からも分かっていた。


それでも、そのカートのお陰で探偵ごっこは一旦終了したのか、いつもの歩調に戻って草原を小走りに進み始めた。と、突然、今度は後ろを振り返り、立ち止まってしまった。見ると、先ほど通って来た道の後方に、白い毛に茶色の斑点模様のフレンチスパニエルの姿が確認できた。老犬なのか、ちょっと足元が覚束ない様子で草むらにゆっくりと入っていくところだった。


トンカはスパニエル爺さんの存在が気になるのか、びくとも動かない。近寄るには距離があるし、スパニエル爺さんがこちらに来るのを待つには、随分と時間がかかることだろう。ここ数日見掛けなかったが、時々出会う、犬を連れてランニングをしている無愛想な男性の犬だろうと思い当たった。


その男性は、すれ違う時に「ボンジュール」と言っても、返事すらしないし、こちらを見ることさえもしない。連れているスパニエルは、トンカが挨拶をしようと近寄っても、さっと避けて通る。いかにも、他の犬と戯れることを禁じられているかのように。そして、ちらりとトンカを見て、申し訳なさそうに、ちょっとよろよろとした感じで男性の後を付いて行く。


男性は、自分が連れている犬が用を足そうが、一切お構いなしに自分のペースを崩さない。車で来ていて、ランニングが終わると、さっとドアを開け、それが何年もの習慣なのだろう、犬も飛び乗り、ぱっと去って行ってしまう。


トンちゃん。待っていてもしょうがないよ。先に行っていようよ。特に会って挨拶をする相手でもないので、トンカに先を促す。意外にトンカは頑固で、じっとスパニエル爺さんを見つめて動かない。が、ここはえいっとリードを引っ張り、トンカを引きずるように前進させた。それでも、何度か後ろを振り返り、スパニエル爺さんが付いてこないか見ていたが、流石に道の曲がり具合で姿が見えなくなると、諦めて、ぱっと頭を切り替え、足早に草むらを歩き始めた。


どちらにしろ、もうすぐ森の手前の広場に差し掛かる。そこで朝は戻ることにしているのだから、スパニエル爺さんとすれ違うことになるだろう、そう思っていた。ふと、無愛想な男性の姿が近くになかったな、と思った。いつもは男性の後を、スパニエルがやっとのことで付いてきている様子だったのだから。


なんとなく気になって、スパニエル爺さんの姿を探しながら今来た道を戻ってみたが、爺さんとは遂にすれ違うことなく、駐車場の脇の道まで来てしまった。いつも男性が停めていた場所に、車はない。というよりも、広い駐車場のどこにも、停めている車は一台もなく、がらんとしている。


一体、スパニエル爺さんはどこに行ってしまったのだろうか。それとも、あれはスパニエル爺さんではなかったのだろうか。だとしても、一緒に散歩をしている人の姿はなかったのではないか。では、迷い犬だったのだろうか。バカンスで飼い主がいなくなってしまったのだろうか。あの犬のSOSをトンカは察知して、じっと見つめていたのだろうか。


見知ったスパニエル爺さんではなかったのかもしれない。それでも、どこかのスパニエル爺さんであって、そして、ひょっとしたら、いつも散歩をしていたあそこの草むらの香りを嗅ぎに、思いが立ち寄ったのかもしれない。そう思うと、それは確信に満ちた思いになり、朝の空に舞い上がった。



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2023年8月7日月曜日

8月7日に思う





 


今年の夏、末娘バッタは念願の日本留学とはならずも、4ヶ月という短期間ながら大学院の研究室でインターンシップをすることができている。学部こそ違え、我が母校ともなると、非常に晴れがましい思いを禁じ得ない。


入学した当時を思い出さずにはいられない。九段下にある武道館での入学式に来てくれたが、帰る道すがら母と立ち寄った北の丸公園で、歩くのがやっとだったと後から母から聞いて、入学に有頂天でちっとも気付いていなかった自分に愕然とした。しばらくして、再入院となってしまった。入院先では、私の入学式のことを随分と看護婦さんや他の患者さんに自慢げに話していたらしい。当時はそれが恥ずかしかった。


父には、三人のバッタ達の父親を紹介することができなかった。当時、知り合ってもいなかったのだから無理もないこと。だから三人のバッタ達は、日本のパピーには会っていない。彼らの胸にある日本のパピーの存在はどんな風なのか、いや、果たして存在自体あるのだろうか、知る由もない。そう、思っていた。


ところが、ところが、である。


コロナ禍や色々他にも要因があって数年日本に行けていなかった長女バッタが、この夏に東京で開催される統計とエコノメトリックスの国際フォーラムに参加することになり、バカンスも併せて3週間日本に滞在することになった。加えて、息子バッタが、高校時代の友人3人と一緒に日本にバカンスに遊びに行くことになった。


末娘バッタがインターンシップを終えてフランスに帰る前日の早朝に、息子バッタが羽田に降り立つ。バッタ達3人が日本で一緒にいる期間は1日だけ。その日に、信州にあるお墓参りに皆で行きたいとなったのである。バッタ達の自発的な願いであり、若者らしい無謀とも思われる計画であった。


それでも、母は喜んで一緒に連れて行ってくれることになった。お寺さんでご住職にお会いし、読経をあげていただき、お墓に行って、皆で拝む。そして夕方には東京に戻り、末娘バッタは東京で最後の夜を過ごし、翌朝早くに羽田からフランスに向けて発つ。


日本の母のことは大好きなバッタ達だが、どうしても3人一緒になればフランス語で話をして盛り上がってしまい、勝手にあっちこっちに行きかねず、母に面白くない思いをさせないかと、ハラハラしてしまう。気を付けるように十分と言っておかねばなるまい、と思っていたのだが、なんと、なんとなんと!


ここにきて、台湾に住む妹が急に東京に用事が出来て、台湾からジョインすることになったのだから、驚き、嬉しく、飛び跳ねてしまった。これは、ひとえにご先祖様のお力添えに他あるまい。ありがとうございます。


先日、息子バッタからは、一日だけでも皆と一緒になるようなフライトにしたので、非常に割高になったことを伝えられ、そうしてでも皆で一緒にお墓参りに行ってくれるのかと、胸が熱くなった。


人は死により肉体は滅びても、魂はしっかりとこうして我々の心の中で存在し続けている!


8月7日、父の祥月命日。

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏



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2023年8月6日日曜日

マダムとミラベル

 





トンカと競争して籠一杯に採ったミラベルを、新鮮なうちにお向かいのマダムに届けようと思った。マダムの庭では無花果、さくらんぼ、キーウィ―、パッションフルーツといった果物が採れ、いつもたくさん分けてもらっていた。


ミラベルを持っていくと大喜びで歓迎してくれて、丁度無花果をあげようと準備をしていたと鍋にたっぷりの無花果を手渡された。どうやら前日に採ったものらしく、大きくてぽってりとしている完熟状態で、とにかくジュースがたっぷりと出ていた。マダムは無花果が大好物だったが、ある時から無花果の実の小さな粒々が歯に詰まるので、もう食べなくなったとかで、いつだって申し訳ない程に多くの無花果をもらっていた。


ちょっと見に来て欲しいと言われ、無花果のことかと思いつつ、促されてキッチンに入ってみると、以前お邪魔した時にはガスコンロだったのが、お洒落なIHにとって代わっていた。恐らく、高齢なマダムにとって、ガス漏れや火の消し忘れによる事故のリスクがあるガスコンロよりも、IHの方が安全で掃除が簡単といったことから、お子さんたちが設置したのであろう。ところがマダムにとっては、そのIHこそが曲者なのであった。


パン、パンと指で何度もあちこちを押しながら、電源が入らなくなってしまったと嘆いている。IHにしても、幾つもの指令を同時期に複数回出され、困ってしまったのではあるまいか。論理的に理解をしようとすることなく、とにかく作動するように、叩きまくるといった原始的な姿勢こそが、マダムの家の電化製品がことごとく壊れてしまうことの大きな要因であることが、マダムのお子さん達には分からないのだろうか。


インターフォンから始まって、電話、掃除機、PC、タブレット、コーヒーメーカー、とにかくあらゆる電化製品が故障してしまう。マダム自身、この家には魔女がいると笑って言っていて、そんな時には、マダムこそが魔女なのですよ、と目で応じることにしている。


マダムの様な方には、ガスコンロが一番ですよね、と言えば、階下にガスコンロを残していると言う。取り敢えず、煮炊きに困ることはないらしい。日曜に息子さんが見に来てくれるらしく、先ずは安心してマダムのところを辞した。


我が家の門では、待ちきれずに、ちょっとした小さな窓の隙間を手を入れて、鼻を入れてこじ開けて外に出たのであろうトンカが、嬉しそうに迎えてくれた。


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2023年8月4日金曜日

トンカとミラベル

 





我が家の庭に二本あるミラベルが、今年は冷夏にも関わらず枝が折れる程に鈴なりに実をつけている。当たり年、ということなのだろうか。


さくらんぼの時には、毎朝トンカが庭に喜び勇んで飛び出して、夢中でたくさん食べて、最初は笑ってみていたものの、当たり前のことながら便がゆるくなり、実の割に大きな種が消化できずに排出され、トンカにとっては分からないが、私にとってはさくらんぼは大いなる悩みの種となってしまった。散歩の途中に何度も排便をしたからといって十分ではなく、寝る前にもう一度夜に外に出したとしても、甘酸っぱいさくらんぼの魅力に負けて、すぐにさくらんぼの木の下に行ってしまい、家に戻ってこないことさえもあった。


トンカが外に出る前に、庭に先に出て目一杯地面に落ちているさくらんぼを拾おうとするものならば、トンカが大騒ぎをして、朝っぱらからご近所さんを起こしてしまいかねない。仕方なしに、用意ドンでさくらんぼ拾いの競争となるが、毎日そんなことをしているわけにもいかない。最終的には、トンカには可哀想だったが、2週間程庭の外出禁止とし、家の中で既にリードをつけて外に出て、裏庭のさくらんぼの木に行けないようにしてしまった。


ミラベルはどうだろう。実際のところ、夏はトンカにとって二度目に迎えるのであって、昨年は一体どうしたのだろうか。丁度留守にしていて、息子バッタがトンカの面倒を見てくれていた時期にあたるのだろう。彼に尋ねてみたが、普段通り外に出していたが、特に困ることもなかったとの返事だった。昨年はミラベルは不作だったのだろうか。


ミラベルの実が未だ小さくて青い時期から、風で吹き飛ばされたり、鳥に落とされたりと、幾つか地面に転がり、太陽に照らされ熟成し、芳醇な香りが漂い始めてくると、トンカはすかさず転がるように走って行くと、無我夢中で味見をしていた。


リメンバー、さくらんぼ。


これはやばい。背に腹は代えられぬ、ということで、トンカには可哀想だが、さくらんぼの時と同様、庭の外出を禁止とし、家の中で既にリードをつけて外に出て、裏庭のミラベルの木に行けないようにしてしまった。丁度いいことに、このところ雨降りの日々が続いているので、特に文句を言うこともなく、とりあえずは問題なく日々が過ぎていた。


それでも、散歩の途中でプラムが落ちている場所など、大喜びで一粒、二粒と夢中で食べているトンカを見て、なんだか可哀想になってきてしまった。トンカの家の庭には、あれほど見事な実がなる木があるのに、その恩恵を享受すること叶わずに、拾い食いをしているトンカ。


そんな気持ちを敏感に察してか、遂に夕方、裏庭に面した大きなガラス窓のところで、悲し気に泣き始めてしまった。おしゃべりなロビンがトンカに、君の家のミラベルは今が丁度甘くて美味しいんだぞ、とても伝えたのだろうか。生意気な隣の猫が、君は最近自分の家の庭さえも自由に歩けないんだね、などと揶揄ったのか。


悲痛な泣き声に負けてしまい、いや、実のところ、ひょっとしたらどうしても用を足したいのかもしれないと、リードを付けて外に出してやると、遠慮をしてか裏庭には行かずに、前庭を確かめるかのように隅々まで嗅ぎまわって、満足そうだった。


そうだよね。そうだよね。せっかく庭のある家に住んでいるのに、庭に行けないなんて、それはあまりに酷い仕打ちじゃないか。丁度良いことに、テレワークが続くので、必要あればいつでもトンカを外に出してやることが出来る。


意を決して、翌朝、いつもの散歩の朝、家に入らずに、玄関の前でリードを外してあげた。そうして、ミラベルを摘むために籠を手に、用意ドン、ミラベルの木まで駆けだした。最初こそ、きょとんとしていたトンカだったが、状況を飲み込むと、飛び上がるように喜び勇んでミラベルの木の下に駆けこんが。そうして、餓鬼の如く、凄まじい音を立てながら、ミラベルを食べ始めた。負けてはいられまい。大急ぎでこちらも、ぷっくりとした丸い黄金の粒を籠に入れていく。


無我夢中だったのは、私の方だったかもしれない。籠一杯に摘んで、ひと段落した頃には、トンカの姿はなく、どうしたものかと見渡せば、ちょっと小高くなっているところに寝そべって、太陽の光を浴びて満足そうに日向ぼっこをしていた。


トンちゃん、満足したのかしら。予想だにしていなかった、不思議な光景だった。満腹、満足、そんな言葉は動物界ではありえず、出来るだけ食べることができる時に食べる、というものだとばかり思っていた。


幸せに満ち足りたトンカが、その日一日中騒ぐこともなく、お利口さんであったことは言うまでもない。過大評価は禁物ながら、さすがに過小評価していたな、とトンカの顔をじっと見つめてしまった。いやはや。学びは尽きない。



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2023年8月1日火曜日

瞬発力と跳躍力の王者






先日のこと。週末に帰って来た息子バッタにご馳走をと

桂剥きの胡瓜でサーモンの砧巻き

剥き海老のサラダ

茄子の煮浸し

オリーブオイルでからりと揚げた海老のお頭(カイエンヌペッパーたっぷりのピリ辛)

芳醇な香りの庭の黄金の粒、ミラベルの実

を食卓に並べ、「ご飯よ!」と軽快に二階にいる息子バッタに声を掛けて、お味噌汁をよそおうとした一瞬のうちに、一皿忽然と消えてしまった。


椅子はきちんとテーブルの下に収まっていたし、一体、どうやって?それも謎ながら、消えた一品とは。


お分かりになりますか?私は、正直、驚きました。一番アクセスが良かったのかしら。



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