2021年11月29日月曜日

二人だけの饗宴

 






寒くなった来たので、お鍋はどうかしら。


二つ返事でお誘いに応じ、最近腕を上げたと自画自賛しているお造りをアントレに持っていくことにする。魚屋さんでは、鯛がきらきらと鱗を輝かせて待っていてくれた。忘れずに雲丹もいただく。


丁寧に丁寧に包丁を研ぎ、すっと脇腹に刃を当てる。手際よく三枚卸しが完了。鯛の昆布締めが無性に作りたくなるが、それはお正月の時にとっておくことにして、今回も洗いにすることに。


それとは別に、美味しそうなチーズケーキを塩の華さんがブログに載せていたので、柚子ではなくレモンで、スペキュロスの香りとタイムの爽やかさがポイントとなるチーズケーキを作っていた。


前回ブランマンジェが苦手と知らずに作って持っていき失敗していたので、予めお伺いを立てる。乳酸類が苦手なのであれば、ひょっとしたらレアチーズケーキも苦手かしらと心配したが、大好きとのこと。にんまりしてしまう。


夕方、鯛の中骨つきお頭とお刺身用の柵、雲丹、チーズケーキを持って参上。ぴかぴかに輝くフローリングに思わず感嘆の声を上げてしまう。モダンなキッチンでは既に鍋で鶏の骨付き肉がコトコトと煮立っている。


彼女に会うのは夏以来か。おしゃべりに夢中になりつつも、お互いに料理の準備をする。彼女は鍋の具として、白菜、ニラ、糸コン、お豆腐、椎茸、エノキを手際よく洗って、切って、お皿に盛っている。その間、私は雲丹の殻に切込みを入れ、身を掬いだし、鯛のお頭をお皿に飾り、柵をそぎ切りにし、流水で洗い、氷水で〆る。


さあさあ、準備完了!


冷蔵庫からきりりと冷えたお刺身に合う白ワインと、とっておきのお醤油を出してきてくれる。なんて贅沢なんだろう。


先ずは乾杯。好きなことを好きなだけ話して、美味しいものを好きなだけいただいて、大いに盛り上がる。時には、二人だけの饗宴も悪くない。いや、最高!



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2021年11月27日土曜日

身から出た錆

 




またやらかしてしまった。


最近知り合った仲間たち。

全員で15人程度だが、このコロナ禍で一堂に会する機会がなかなか持てていない。それなのに5波到来とかで、集会の規則は更に強まっている。そこで、何曜日に誰が集まることができるのか、アンケート調査があった。


真っ先にクリストフが月曜と火曜ならOKと返事。ファイルを皆とシェアできる設定にし、全員がそれぞれアップデートする仕組みを簡単ながら作ってくれた。意外に手際が良いのだなと感心すると共に、月曜と火曜なら私と一緒だわ、と思う。


そこで設定ありがとう、私も月曜と火曜がOKなので今度会えるね、と書き添える。


それに対する返事はなかったが、特段に気にしていなかった。クリストフとは何度か会っていたが、彼はいつものんびりとしていて皆に何かとからかわれる対象だが、それを楽しんでいる様子でとても好感が持てる。


すっかり忘れていた頃に、彼自身に会う機会があり、彼の口から木曜と金曜になったと知らされた。どうやら月曜と火曜の希望者が多いので、一番遅く返事をした彼が未だ希望者が少なかった曜日にしたと言うではないか。あれれ?一番乗りだったのではなかったのかしら?その時、ふと疑問が湧いたが大した話ではない。確かに、のんびり屋の彼が一番遅く返事をしたのも、頷けるではないか。簡単にスルーしてしまっていた。


ところが、である。皆で集まる機会が一度あり、そこで皆でワイワイと話をしている時に、ふと疑惑が頭を擡げ、ひょっとしたらと思い始め、嗚呼、まさかのまさか、人違いをしてしまっていたことに気が付く。例ののんびり屋さんはクリストフではなく、ステファン。じゃあ、クリストフって誰?その時、皆で撮った集合写真を見直すと、ぴったりと私の隣にくっついている人物がいる。まさしく、彼こそがクリストフ!


まあ、いいか。まさかクリストフに、先日のメールは間違って送ってしまったと言うのも変だし、彼はむしろ喜んで親しみを感じてくれているみたいだし、放置するしかないだろう。


またやらかしてしまった。以前にも一度同じようなことをしたことがある。それがきっかけでその人物とは親しくなったので、結果オーライだが、気をつけねば。


集合写真を見直し、変な風にメッセージが受け取られていないといいなと、若干嫌な予感。まあそれはそれでなんとかするか。身から出た錆とは正しくこのこと。友人が増えることにこしたことはないか!苦笑。



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2021年11月25日木曜日

悔恨

 





今年のショパンコンクールで大活躍した日本の若者たちの演奏に、心底感嘆してしまっている。YouTubeで彼らの演奏を簡単に検索し、無料で楽しめるのだから、こんなに素晴らしいことはない。数名のピアニストに対しては、追っかけよろしく、彼らのこれまでの様々な演奏も次々に検索し、聴き入り、俄かファンになってしまう。


ふと、ショパンコンクールと言えば、マルタ アルゲリッチがいたことに思いを馳せる。彼女の情熱的な演奏に、それこそ魂が揺さぶられる思いを何度もしている。彼女が弾くショパンを聞こうと検索し、とても情緒的な旋律が流れてきて、驚いてしまう。ショパンのサンドへの想いが静かながらもどんどん流れてきて、部屋中に溢れてしまう。


その時、閃光のように、あの時の友人の声が蘇り、彼が謂わんとしていることが明瞭になった。


車のステレオから流れてくる音、特にCDからダビングしたコピー版の音の質が良いわけがない。その曲への思い入れがあればあるほど、聞けたものではないと思っても当然ではないか。


あの時、精神的な余裕がなかった私は、私の選曲にケチが付けられたと解釈した。とても楽しい気分で聞いていたのに、その気持ちを台無しにされたと思った。楽しい時を共有できないことに、非常に悲しい思いをしたものだった。


なんて勘違いをしてしまっていたのだろう。


マルタ アルゲリッチをこよなく愛して、自らもピアノを弾いて、ラグビーが好きで、一度訪れた場所は何年経ってもたどり着ける特殊能力を持っていて、散歩が好きで、ライムストーンの小洒落たコッテージを持っていて、お酒が強いようで実は泣き上戸になってしまう。


今まで誤解していて、ごめんなさい。



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2021年11月24日水曜日

ノルマンディーの牡蠣

 





駐在で夏から日本に赴任している友人が、重要な戦略会議があるとかで一週間フランスに戻ってきている。フランスから船便で送った荷物が届くので、引っ越しを予定していた日にフランス出張が重なることになり、一人で引っ越しを担当することになった彼の奥さんからのプレッシャーが凄いことになるので、彼にとって幸か不幸かは分からない。



夕方着の便でフランスに戻り、空港から真っすぐ我が家に来て一泊し、我が家で預かっている彼らの車に乗って早朝7時に北フランスに向かう。仕事とは言え、凄まじいスケジュールに恐れ入る。とはいえ、彼が去った後の玄関に、忘れられてちょこんと置かれた彼の靴に、学生時代から知っている彼を見た思いがして、にんまりとしてしまう。



一週間精力的に仕事をし、合間を縫って母親や妹家族と会い、同僚と気炎を上げる。週末は、日本に戻る前にノルマンディーにある家に書類を取りに行くので、ノルマンディーの牡蠣を食べに一緒に行かないか、と誘われる。



冷たい風が吹き荒れるノルマンディーの海を想像する。



声を掛けたら、長女バッタも末娘バッタも一緒に行きたいと大喜び。かくして、11時半にオンフラーの港で集合、といった厳密なのかアバウトなのか分かりにくい約束をし、ノルマンディーの牡蠣を堪能するデイトリップににぎやかに出発。



冬支度が始まった海は暗い空に覆われていたが、いつの間にか晴れ間が見え始めてくる。



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2021年11月22日月曜日

深まる秋の森散策

 





どちらが誘うでもなく散歩をしようと、太陽がちっとも姿を見せない寒空の中森に行く。知色や茶色の落ち葉の上を、がさがさがさと音を立てて歩く様子を見て、歩幅こそ大きくなったけれど、幼い頃とちっとも変わらないなと笑みが漏れる。違うところと言えば、途中で立ち止まって、どんぐりや栗と言った木の実でポケットを膨らませないことだろうか。


暫くしてから、ぽつりぽつりと、今していること、これからしたいと思っていることを、特に尋ねたわけでもないのに、むしろ自分に向けて己の考えを整理するかのように話してくれる。


こんな大きな森の道を全て知っているわけではなかろうのに、別れ道で迷うことなく、特に困った様子もなく、当たり前のように一つの道を選んで歩き続ける。枯れ葉の音を心地よく響かせながら。


随分と歩いただろうか。突然大きな家が現われ、一つの集落にたどり着いたことを知り驚いてしまう。隣村まで歩いてしまったのか。彼はそんなことは当然分かっていたかのように、脇道に入り森に戻っていく。


子供達の集団が走る子と自転車に乗る子のペアで、顔を真っ赤にしながら猛スピードで駆け抜けてゆく。よく見ると、途中で役割を交代している。そんな競技があったことも、そんな訓練の仕方があることも知らなかったので、感心して見入ってしまう。


二時間ばかり歩いただろうか。気が付くといつもの道を歩いていた。


太陽はちっとも顔を見せてはくれなかったが、それでも暮れなずむ前に帰ろうと、足取りも軽く家路を急ぐ。



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2021年11月20日土曜日

一攫千金を夢見て

 





買い物に行こうと通りに出たところで、声を掛けられる。真向いのマダム。80歳のお誕生日をお祝いしたのが数年前。無花果を持っていかないか、と誘ってくれる。


マダムの庭には見事なキーウィ、パッションフルーツ、さくらんぼ、そして無花果がなる。マダムは一人でひょいひょいと梯子に上って果物を収穫するが、他人様が落ちたら申し訳ないとかで、私には梯子を上らせてくれない。健康で元気とは言え、それこそ80歳を超えたマダムを梯子に上らせて、隣で指をくわえて待っているだけの状態は、とてもではないが遠慮している。それこそ、何かあったら大いに後悔してもしきれない。最近はお孫さんが収穫の手伝いに来ているようだが、ここ数日は来ていないのだろうか。


急いでいない時は、声を掛けられれば出来るだけマダムの家に寄ることにしている。マダムの庭は本当に手入れが行き届いていて、きっちりとしていて見事なもの。今年は雨が多く、暑い日も少なかったから、無花果の実が大きくならずに、未熟のまま霜が降りる日を迎えてしまうと、いたく残念そう。確かに大ぶりな無花果の木の枝や幹には何百ものたくさんの実がついているが、これが小さく、色も辛うじて一部紫になっている程度で硬くて青い。


こんなことは初めてだという。そう言っている傍から、どんどん実を摘んでは籠に入れている。ジャムにすれば良いと聞いたので、良かったら持って行って欲しいと言われる。手の届く範囲だけでも大層な量となるが、これを全て廃棄処分にするなんて、とても考えられずに、あまり深く考えずに頂くことにしてしまった。


スーパーに行くはずが、買い物袋にぎっしりと無花果の青い実をもらってきてしまう。


さあ、どうしようか。口にしたが、ちっとも旨味がない。甘みがなくても、ドライフルーツにすれば、美味しいものなのだろうか。ジャムとなると、大量のお砂糖を使うことになるし、何しろ我が家のジャムの消費量は限りなくゼロに近い。


未熟の無花果の実は、しばらく置いておいても追熟しないとか。ピクルスにしたらどうだろうか。意外とさっぱりとサラダに向いているのではないだろうか。勝手に想像を膨らませ、ごろごろと実を洗う。ミルクのような白い液が出ているので、洗った水が白濁している。


必要は発明の母と言うではないか。新たな食べ方がうまい具合に大当たりしないとは言えまい。一攫千金を夢見る、秋の夜長。



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2021年11月19日金曜日

それから

 






お神酒徳利。

我が家の一卵性双生児君たちは、すくすくと育ってくれていて、本当に驚くばかり。もちろん、成長の途中でぱっかんと種が綺麗に二つに割れてしまったアボカド君たちのこと。


既に発芽して育ち始めていたお兄ちゃんと、根っこだけはしっかり生えていて生命の力強さを発信していた弟君。弟君が発芽し始めたので様子を見ていたが、お兄ちゃんと一緒の植木鉢ではお互いに窮屈だろうと思い、それぞれ根を傷めないように弟君のみ救出し、別の植木鉢に入れていた。


そうしたらどうだろう。まだまだ葉の数こそ少ないが、丈はお兄ちゃんと並んでしまった。彼らは同じDNAを持っているので、当たり前といえば当たり前のことなのだけど、目の当たりにすると驚いてしまう。成長は追いつくものなのね。


彼らは一つの栄養を二分したのだから、今後の成長過程でハンディを負っていないか、などと考えてしまうが、我が家は太陽と土と水だけを成長源としているので、肥料は施さない主義。さあ、二人とも、秋のゆるやかな陽射しを大いに吸収して、限りなく大きく成長してくれよ!



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2021年11月18日木曜日

柚子ピールで深まる秋を堪能

 






ママ、おみやげよ。


友達と会うと言ってパリに行って帰って来た長女バッタが、掌にちょうど収まる大きさの、黄色い蜜柑を手渡してくれる。


あら、柚子ね。


ひんやりとした感触が手に心地よく、柔らかい黄色い皮からは、独特の爽やかな香りが放たれている。


柚子のおみやげなんて、なんて粋なことをするのか。



柚子の皮が入った土瓶蒸しや茶わん蒸しを想像し、松茸の季節であることに思いを馳せる。


幼い頃に、この柚子の「柚」の字を私の名前に使おうと一時考えたものの、当時は人名用漢字なるものが存在し、当用漢字として認定されていない漢字は新生児の名に用いることができないと戸籍法に定められていたので、断念したと聞いている。私自身は、私の名前に使われている漢字をいたく気に入ってはいるが、その話を聞いて以来、「柚」には何か親しみを感じている。


そのことを知ってか知らずか、今回の思いもよらない長女バッタのおみやげに、にんまりと悦に入ってしまう。


さて、どう美味しくいただこうか。


柚子の香りをしっかりと味わえる、ピールはどうかしら。


可愛らしい柚子の実を丁寧に水で洗い、皮を四つ割りにして一晩水に浸しておく。翌日、柔らかくなった皮の白い綿の部分をゆっくりと皮を壊さないように削り落とす。薄くなった皮を鍋に入れ、ひたひたの水入れ沸騰させる。綺麗な黄色に染まった湯を流し、新たにひたひたになるぐらいの水を入れ、加熱。これを2回繰り返し、最後は皮の3割程度の砂糖を入れて煮詰める。シロップが飴状になって皮に付くようになって、漸く火を切り、ベーキングペーパーの上で乾燥させる。この時に細く切っておく。十分乾燥したところで、改めて砂糖をまぶして出来上がり。


深まる秋にぴったりの柚子ピールはいかが。

おひとつ、どうぞ。



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2021年11月13日土曜日

深まる秋の冒険譚

 







サロンでメールを書いていると、ガチャガチャガチャと遠くで賑やかな音が聞こえている気がした。何かに集中すると周囲があまり気にならなくなるので、特段の注意を払っていなかったが、そのうちに流石に音が続いており、しかもかなり身近で音がしていることから、視線を周囲に巡らせてみる。


おっ。


いつの間に侵入したのだろうか。こんなに大きなサイズは見たことがない程立派な、恐らく小指の長さはあるだろう蜂が、庭が見える大開口窓ガラスを前に外に出ようともがいていた。


そっと窓を開けてあげるが、いかんせん蜂にしろ蠅にしろ鳥にしろ、何故か空気の流れをつかめない連中なので、現状打開すべく必死のもがきを止めない。悪いことに、蜂君がいる方の左側の窓はいつのころからか開けられなくなってしまっていて、右側の窓を開けているのだが、一向に気付いてくれない。


しかし、どのタイミングでこんな大きな蜂君が我が家に忍びこんだのだろう。午前中に一回外に出た時と、午後に一回、青年が忘れ物を取りに来た時ぐらいしか考えられない。青年は至極恐縮しており、おやつを用意していたのに、一瞬で固辞し、マッハのスピードで帰って行ったのだが、そんなやり取りの瞬時をついて蜂君が入って来たのだろうか。


気にしない時は一向に気にならなかったのに、気にし始めると蜂君の音が大層にぎやかで、兎に角も救出してあげたくなった。一方で、うかつに近づいて刺されたり、齧られたりしたら、大ごとになりそうな獰猛さも感じられ、取り敢えずは様子を遠くから見てみることにする。


照明を落とそうが、窓を大きく開けようが、蜂君は今ある目の前のことにしか考えられない模様。一時、ガラスを這い上がる途中でぽとりと床に落ちてしまう。それから、またぱっと飛んで窓に縋りつく。


そうか。彼が床に落ちた瞬間に、カップを被せて生け捕りしてしまえばいいか。昔、やはり我が家に忍び込んだ蝙蝠を生け捕りして逃がした時の様に。


手ごろなプラスチックの透明のカップを手にし、蜂君が床に落ちてくる瞬間を待つこと暫し。待てば海路の日和あり。ずるずるとガラスをずり落ちてしまった蜂君は、しかし、丁度人参の芽が出始めた苗床に着地してしまう。えい、ままよ。そこにすっぽりとカップを被せる。


それまで賑やかだった羽音が一瞬にして聞こえなくなる。外は既に真っ暗闇。どうしたものか、と真剣に考えるよりも、無事に被害を受けることなく雑音が消えた世界に安堵してしまう。


そのまま情けないことに翌日を迎えてしまう。カップで覆ったままであったことをすっかりと忘れてしまっていた。植木たちに水をやっている時に、プラスチックのカップを目にし、ぎょっとしてしまう。そろそろと水をやると、カップから鈍い羽音がする。おおっ!


ゆっくりと静かに、カップで覆われた苗床を外に出し、慎重にカップを開けてみる。と、どうだろう、カップから昨日の蜂君がひょいひょいひょいっと姿を現した。状況把握に手間取ったのか、最初はカップの中を滑りながらも歩いている。蜂君、君は自由の身になったんだよ、と、カップをゆらしてやると、ふっとカップの外に這い出てくる。それでもまだカップの縁を歩いていたが、やがてぱっと飛び立つと、今度は空高く屋根を超えて大きく飛んで行ってしまった。


この寒空に大きく羽ばたいていった蜂君を見て安堵の思いが過り、あまりの元気さに、ひょっとしたら昨夜は疲れて寝てしまったのではないかと思ってしまう。今頃、仲間たちに羽音勇ましく冒険譚を得意満面に語っているのではないか。


深まる秋。



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2021年11月12日金曜日

鯛と鱸の姿造り

 






ご近所のウォーキング仲間から彼女の家での晩餐会に招待される。丁度烏賊のお刺身がどんなに美味しいか、今度造ったら声を掛けるよ、と言っていた時に招待を受けたので、話の流れで烏賊のお刺身を持っていくことになっていた。ただ、当日は祝日なので、魚屋に新鮮な烏賊が入っていれば、という条件付きで。


いつも行っている隣村の魚屋は、前回のネタのしょぼさを思うと、どうも足を向ける気がしなかった。そこで灯台下暗しではないが、住んでいる街の魚屋に行ってみることにする。開店しているか確認したところ、Facebookにページを設けていて開店している旨記載されていたのでびっくりしてしまう。これはいけるかも。


店頭では威勢の良いお兄さんたちが通りの人々に声を掛けていてにぎにぎしい。お店の中に足を踏み入れると、嬉しいことに新鮮な魚たちがきらきらと輝いて踊っている。先ずは目移りする前に烏賊君を射止めねば。


あにはからんや。イカリング用の既にカットしたものと、ひょろひょろのヤリイカっぽいものは、刺身にするには、どうも皮の艶が新鮮さに欠ける気がした。


ふと隣を見ると立派な鯛と目が合う。確か、友人はお刺身なら白身が好きと言っていた筈。鯛のお刺身なら、洗いか。ふむ。次に鱸とも目が合う。鱸は前回刺身にしているし、3枚卸しの要領なら分かっている。


お兄さんが親切にえらを開けて見せてくれた。新鮮さを危ぶんでいるのではないのだが、その親身な姿勢には好感が持たれた。よし。鱸にしよう。小ぶりの鯛も一つ買ってみようか。


鱗を取るだけで、特に何もしないで欲しい旨伝える。気をよくしたお兄さん、新鮮な鮭の特売をしているので是非見て欲しいとアピール。そうね。お造りに鮭のお刺身を盛るのも豪華だろうと、思い切って鮭を一匹お願いする。一匹丸ごと、頭も落とさないで欲しい旨伝える。


ちょっと頑張り過ぎちゃったかな。そう思いつつも支払いの列に並ぶと、店の右側で海老、蟹、マテガイ、そして雲丹様が鎮座している姿に気が付く。雲丹様!雲丹があるだけで、グレードアップではないか。


確か6人の晩餐会と聞いているので、雲丹を三つ程お願いする。と、一つおまけにして4つ用意してくれる。お兄さんは、エビやマテガイを薦めるけれど、今日のところはここまで。早くお店を出ないと、冷蔵庫を新たに買わなければいけない状態に陥ってしまう。


我が家に帰り、先ずは見事な大きさの鱸様からまな板に上がっていただく。前回と同じように、ふっと腹に刃先を入れて中の脂肪たっぷりの内臓をかき出し、頭を落とし、三枚おろし。手際よく、できるだけ美しく柵を作る。お頭と中骨は飾り用にとっておく。


次に鯛。鯛も基本、鱸と一緒。ただ姿造りにしたかったので、頭を落とさずに三枚おろしにする。柵を作って冷蔵庫で保管。盛り付ける寸前に洗いにしよう。


最後に鮭。産地の確認を怠ってしまったが、恐らくノルウェー産。身はいわゆる薄いサーモンピンク色。さすがにこんなにはいらないか。頑張って三枚に卸し、豚なら肩ロースといった部位になるのか、頭に近く背鰭に近い部分を残して、他は冷凍保存とする。お頭も中骨と尾の部分と一緒に冷凍保存。


とりあえず、鯛と鱸は厚めのそぎ切りにし、流水で脂を洗い流し、氷水で〆る。おお、雲丹様を忘れてはなるまい。ぱっかりと上の部分を丸く開けて、中の濃いオレンジ色のさながら舌の部分を掬い出す。雲丹を綺麗に洗って器として舌を丁寧に並べ直す。小一時間冷凍にしておいた鮭の柵を刺身用に切り分け、準備完了。


大きな器に全て入れて風呂敷に包んで友人宅まで歩いて持っていく。


大きなお皿を出してもらい、お造りを盛りつける。よっしゃ。初の試みとしては、上出来ではあるまいか。友人は串揚げを準備していて、なんだかすごいことになっている。これは、ものすごいご馳走の晩餐会になりそう。別の友人がワインを抱えて登場。さあ、宴はこれから。










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2021年11月9日火曜日

二十歳になった貴女に

 





ぽかぽかの小春日和の日だったよ。のんびりといつもの定期検診に歩いて行ったら、診察してくれた看護婦さんに、通りで産むつもりだったのかと怒られたっけ。そう、貴女はのんびりと、それでいて着実に、ママのお腹から順調に出てきてくれた。


ちっとも手のかからない赤ちゃんで、いつでも良く寝てくれていた。4つ上のお姉ちゃんと、2つ上のお兄ちゃんがにぎやかで、彼らと大騒ぎをしている時は、貴女が大人しく寝てくれていることに、とても感謝していたけど、一歳の誕生日を迎えても一向に歩く様子を見せないので、それはそれで心配もしたもの。


貴女が一歳半の頃、日本からマミーが来てくれて随分と貴女と遊んでくれたっけ。マミーが帰ったその日に、突然サロンをだっと走り出した時には、ママは本当にびっくりしたのよ。


あの頃は二歳になった貴女のお兄ちゃんがやんちゃで、とにかく大変だったの。だから、ママはいつでもお兄ちゃんの名前を呼んで怒ってばかりいたっけ。だからなのか、貴女が初めて発した言葉は、お兄ちゃんの名前だったのよ。驚きよね。


その割には、大好きなミルク、大好きなご飯、大好きなヨーグルトは全て「白いの」で済ませていたのよ。言葉の詳細にこだわるお兄ちゃんとは正反対で、集合体の名称で呼ぶのだから、面白いよね。ちゃんと色を識別し、同じグループにいれていることには、感心してしまうけれど。他にも、集合体の名称を使っていたけど、それが何であったか、もう忘れてしまったわ。


本当に貴女はびっくり玉手箱だった。一人の世界を楽しむタイプで、鏡に向かって何時間でもおしゃべりをしていることがあったり、みんなでおしゃべりをしている時に、一人だけ違う世界にいる様子だったりしたのよ。


フランスで生まれて、フランスで育って、フランスの学校に通うっているのに、何故かフランス語に対して外国人のように接していたよね。敏感にママの様子を察知して、ママと同じになりたかったのかな。貴女はそういう意味では精神面で本当に努力した。


毎年夏に行っていた日本の学校では、いつもたくさんの友達が出来て、お手紙をもらってきてはママをびっくりさせた。我が家では一番のべべだったのに、いつの間にか学校では大勢のお友達が貴女を頼りにし、気が付いたら毎年級長を務めていたよね。フランスの学校の級長はクラスメートの成績会議にも出席するのだから、びっくりしてしまう。成績会議の日には遅くに帰って来て、それから遅くまでクラスメートに電話を掛けたり、相談に乗ってあげていたっけね。


貴女にとって、仲間が重要になってきて、仲間と過ごす時間が増えていった。週末やバカンスになると、勉強している以外は、常に外に飛び出して仲間たちと会う。


ママは本当に二年前には分からなかったけれど、貴女のおかげで今はちゃんと分かることができた。外に飛び出して行く子供たちが、ちょっとした時、帰ることができる場所こそが家庭であり、家族なんだよね。


世界地図を片手に、どこにでも簡単に行ける時代ではなくなってしまった今、ママは貴女たちがいつでも帰ることができる場所にいることにしたよ。それが親の務めだと思うし、そうすることはママの幸せでもある。


そんな大切なことに気が付かせてくれた貴女に、ママは感謝の言葉しかない。これから益々勉強に勤しみ、自分の魅力をどんどん高めていって欲しい。今、そうできる土俵に漸く立った貴女は、自信に溢れて、快活で、眩しい程に輝いているよ。


20歳のお誕生日おめでとう。



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2021年11月8日月曜日

お株を奪われて

 






バッタ達の合同誕生パーティー。それぞれの誕生日には各人が好きなお料理にしていたが、今回は合同となるので、さてどうしたものか。子羊か、鯖寿司か、ちらし寿司か、と皆で喧々諤々言い合って、最後は鰻の蒲焼に落ち着いた。


誕生ケーキはどうしようかと思っていたが、なんとなく長女バッタと末娘バッタが二人で手掛けることになった。スポンジケーキのレシピは私の愛用するオーストラリアのものを採用することにしたらしいので、カップの大きさが250mlサイズであることを伝えておく。


イメージとしては、チョコクリームをサンドし、ブラックチョコでコーティング、ホワイトチョコをくぐらせたベリー系の果物を飾ったデコレーションケーキだったが、なんだ、かんだと二人で楽しそうに相談して決めているので任せることにする。


ケーキ型にバターを塗り始める長女バッタに、バターではなくオイルで十分なことを言うと、オリーブオイルの香りが移るので猛反対される。まあ、いいか。


長女バッタと末娘バッタがお互いのやり方に違いがあって、ちょっとした言い合いとなるが、末娘バッタが上手に引いて長女バッタに花を持たせている様子に、感心してしまう。


果物のデコレーションの段階で、チョコを溶かして塗るやり方に賛同を得られなかったが、まあいいやとばかりに勝手にブラックとホワイトのチョコを湯煎して溶かしていたところ、それまで勉強をしていた息子バッタが参加。末娘バッタと一緒に溶けたチョコに苺と葡萄を潜らせてお化粧をする。


ケーキのモンタージュとデコレーションの総指揮は長女バッタによってなされる。ろうそくの設置場所も数さえも、彼女が決めている様子にこっそりと笑ってしまう。いつだって優しくて、のほほんとしているようで、実は集団のボス的存在ではないか。


こうして、すっかりお株を奪われてしまったが、そのおかげで初挑戦した鱸の洗いのお造りに専念できたし、バッタ達の成長ぶりを楽しく見ることが出来たので、大いに満足、としておこう。


うーむ。お刺身だけは、未だ未だながら、いつかそちらのお株も奪われる日がくるのかもしれない。


ハッピーバースデー、バッタ達よ。






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2021年11月7日日曜日

前菜を厳かに務める鱸の洗い

 





バカンス明けの頃から、いつもの魚屋さんのスタッフが総入れ替えとなり、いつ行っても同じ顔を見たことがなく、スタッフだけでなく品揃えにも手薄感が漂ってきていて、どうしたものかと思っていたところ、遂に風前の灯火の感を呈するようになってしまっていた土曜の夕方。


イカの刺身か鯛の刺身か、はたまた鯖を〆るかと思っていた勢いが失せてしまった。


一体何が起こっているのだろう。


店の労働条件や人員確保といった雇用問題、はたまた最近の漁業環境に思いを馳せる暇もなく、パーティーの前菜を務める大切な素材確保に神経を集中する。小ぶりの鱸と目が合う。鱸の刺身は手掛けたことはないが、彼女に務めてもらおうか。


小ぶりながらピチピチの鱸。鱸の洗いの作り方を検索すると、刺身は活き締めであることが条件、と書かれている箇所を読み焦ってしまう。そんなないものねだりはできない。ここは彼女の新鮮さに掛けるしかない。


丁寧に刺身包丁を研ぐことから始める。しゃかしゃかしゃかと小気味よい音を腕で感じ取りながら、心を平静にする。


スッと腹に刃を入れ、内臓を取り除く。分かってはいるものの、卵がないことに若干落胆するが、脂身が多いことにも驚いてしまう。だから洗いにするのか、と変に納得。思いのほか刃は簡単に入り、三枚おろしが出来上がる。脂身が多いので惜しみなく切り落とし、綺麗な柵にする。切り落とした部分は、頭、中骨、ヒレと一緒に冷凍保存にしてしまう。


一度塩で〆て生臭さを抜くべきなのか迷うが、先ずは流水に晒して脂を洗い流すことにする。柵を丁寧にそぎ切りにし、流水でよく洗い、氷水にしばらく漬けて氷〆。その後水気をきっちりと取る。


さあ、どうだろう。なかなかの出来栄えじゃないか。大根のツマが欲しいところ。真っ白な瑞々しい大根ねえ。今度我が家の菜園でなんとか育ててみるかしら。


丁寧に包丁を洗い、布巾で拭いて次の出番に備えて引き出しの三番目に仕舞う。



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2021年11月4日木曜日

24歳になった貴女に

 




今朝、キッチンには既に身繕いを整えて一日をスタートすべく準備をしている貴女が佇んでいた。そっと抱きしめて「お誕生日おめでとう」と伝える。こうして貴女の誕生日の朝、お祝いの言葉を伝えられるなんて、何年ぶりだろう。


高校を卒業と同時に、バックパック一つで未踏の地に一人で乗り込んでいった貴女。一年間の留学と期限があることにはあるが、知り合いもいない、行ったこともない土地で、これから学ぶ言語と文化の中で、どう過ごしていくのかと、こちらの方が心細く思う別れの空港。辛かったら帰っておいでね、と声を掛けると、大丈夫、どんなことがあっても帰らない、そう言って元気に搭乗ゲートに入っていった背中を今でも覚えている。

生まれた時から、看護婦さんやお医者さんから人気者で、連れて行く先々で「かわいい、かわいい」と言ってもらえ、いつでも誰にでも愛される貴女。とっても愛らしい表情や仕草の貴女が、おしゃべりを始めると、驚くほどギャグのセンスがあって、お茶目で、おっちょこちょいのキャラクターであることが分かり始め、そこがまた可愛くて、驚きと喜びの日々だったよ。


貴女によってママになって、貴女のおかげで、フランスの社会のたくさんのドアが開いたことに、深く感謝しているよ。小さな貴女の為に、どんなことでもしてあげたかった。貴女が月が欲しいといえば、どんなことをしてでも取ってあげたいと思う程だったよ。貴女の幸せの為なら、なんでもできると思ったし、できるだけのことはしてきたつもり。


それがいつのことからだろう。貴女は自分の欲しいものは、自分で手に入れることができるようになっていったね。自分の幸せは自分自身で感じるものだってことも、いつの間にかちゃんと分かっていて、幸せに輝き、自信に満ち溢れている。素晴らしいことだよね。ママは貴女のことを誇りに思う。


高校卒業から一人でポーンと外に飛び出してしまったけど、不思議なことに、今こうして一緒に生活ができていることはとても嬉しいこと。のんびりしているようで、ちゃんと次のプロジェクトを温めているのだから、すごいと思うよ。論文の執筆の際には、必要であれば長時間集中して勉強をしている姿を見て、とても頼もしく思っている。そうだ。貴女が送ってくれた論文、早速読まなくっちゃね。


この週末は皆の誕生パーティーをするから、一緒にお料理を作ろうね。メニューを一緒に考えようよ。


24歳のお誕生日、おめでとう。



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2021年11月3日水曜日

22歳になった君に

 





君がこの世に生を受けて早22年もの月日が経ったね。


君は幼い時から好奇心が強く、非常にユニークな発明、発見をしては大人たちを驚かせてくれた。3歳にして言語感覚が抜群で、見事にフランス語と日本語を取り入れて新しい言語を生み出してしまったのだから、大したものだよ。


小学生の頃はとにかく友達が男の子も女の子も大勢いて、いつでも誕生パーティーに呼ばれていた気がするよ。持っていくプレゼントを買いに、ママはお店を駆けずり回ったし、遠くに住んでいるお友達の家に行くので随分知らない場所に車で行ったもの。


あの頃はサッカーやマラソンの応援に毎週のように行ったけど、中学に行く頃には応援に来ないで欲しいって言われて、びっくりしたっけ。今思えば、とにかく大きな声で応援するママに応えようと、変なところで頑張っちゃうから来て欲しくなかったのかな。マラソンも君の姿が見えたら応援するので、ママの目の前で何十人もごぼう抜きしたよね。ママは大喜びで浮かれたけど、その後まだまだ続きがあってスタミナが続かなくて大変だったって後から聞いたっけ。


中学生になると背も伸びて、一気に大人になり、変声期を経て気が付いたら「沈黙は金」を地で行く男になっていたね。高校では不愛想になって、挨拶もろくにしない所謂ティーンになっちゃった。どんな大人になるんだろうと心配したこともあったよ。


でも、不思議なことにちゃんと上手くできていて、宇宙全体の悩みを抱えていたかのような時代は過ぎ、明るい笑顔で愛想の良い挨拶をする好青年になってママは本当に嬉しいよ。末娘バッタに親身に進学のアドバイスをしたり、ママを励ましたりと、このところの君の成長ぶりが眩しい。


自分の進みたい道が見えていて、しっかりと実現に向けて努力している姿に、感心すると同時に、一人の人間として感嘆の念を禁じ得ない。立派なことだと思う。


今は未だ気持ちの上で精いっぱいなのだろうけど、少し余裕が出てきたら、距離をとりながらでも父親との関係を改めて築き直して欲しいと願っているよ。こればかりは、君自身の心が求めることなのだから、周囲が何を言っても仕方がないことだって分かってはいるつもり。だから、ひたすら願っている。君のために。


これから持ち前の好奇心で新しい分野にどんどん突き進んでいくだろう君。いつでもエネルギー補充に家に帰っておいでね。そして、君が見ている世界の話をしよう。


22歳の誕生日、おめでとう!


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