ここ数日冷え込み方が尋常ではないと感じていたし、久しぶりに乗り込んだ車のフロントガラスが凍結していたので、嫌な予感がした。恐る恐るエンジンを掛けてみると、鈍いスターターの音がして、すぐに止まってしまった。
太陽が昇り始めていたので、取り敢えず買い物を歩いて済ませてしまい、その間に太陽の光で車体が温められるだろうから、その後でもう一度試そう、そう思った。
小一時間ほどして戻ってくると、フロントグラスはすっかり霜がなくなっていた。気を取り直してエンジンを掛けるが、今度はスターターの音さえもしなくなってしまった。寒さでバッテリーが上がってしまったのだろう。近所の友人にSOSメッセージを送る。
バッテリーには随分と泣かされたので、ケーブルも持っているし、手際よく出来るはずだった。それでも一抹の不安が拭えない。先日車検に持って行った際、走行距離も22万キロ、既に15年は乗っているので、エンジンの交換をするように勧められていた。
確か、スターターの部品を交換した筈だったが、ちゃんとしてあったのだろうか。不安材料ばかりが頭をよぎった。
友人はすぐに応援に車で来てくれたが、彼女自身はバッテリーが上がってしまった経験もなく、とりあえずボンネットを開けてくれて、さあどうぞ、となった。メーカーも車種も違うとバッテリーの様子も違うが、プラス、マイナスの色分けは世界共通のようだった。説明書に書いてあった通りに、ケーブルをつないでいったが、正直何ら手ごたえもなく、逆に火花でも散った日には危なくて仕方がないのだが、疑心暗鬼で彼女にエンジンをかけてもらった。
さあ、お願いしますよ。祈る気持ちでエンジンを掛けてみたが、どうもエネルギーを受け取った様子なく、エンジンはかからず終い。そうか、やっぱり車のエンジンかスターターに問題があるのかもしれない。これはケーブルでバッテリーを繋いだところで、解決する問題ではないのかもしれない。暗澹たる気持ちになってしまった。
友人にお礼を言って、さてどうしたものかと思いあぐんだ。ガレージに連絡をして、誰かに来てもらうしかないのだろうか。こんな時日本だったら、と思ってしまう。
覚悟をしてガレージに電話を入れるが、電子メッセージが流れお昼休みであることが判明し、拍子抜けしてしまう。電話がつながるまで、ネットで解決策を模索してみようか、そんな気になった。
スターターを交換する動画を見ながら、これは素人では難しいなと思い、もう一度ケーブルで救援車から充電する方法をぼんやりと眺めていた。眺めながら、だめだと思うから駄目なので、上手くいくと信じないことには上手くいくはずがない、との考えが頭を擡げた。もう一度友人に電話をし、もう一度来てくれないかとお願いしたところ、快諾してくれ、すぐに駆け付けてくれた。
彼女の車のボンネットを開けてもらい、改めてバッテリーを確認。先ほどは気持ちが逸っていたのだろう。じっくりと見てみると、プラス端子と思って繋げていたものが、実は違うものだったと思われた。慎重につなげてみると、ばちばち、と火花が散った。そう!そうこなきゃ。これでいい!
マイナス端子についても、慎重にじっくりと観察し、これしかないと思われるところに接続。エンジンを掛けてもらい、充電開始。祈る気持ちでエンジンを掛けてみると、今回は簡単に快いエンジン音に切り替わった。よっしゃ!
氷点下の外気に数日晒していたことが原因で、特にエンジンやスターターに問題がなさそうなことに、一安心。友人にお礼を言って、小半時間車を走行させる。
何事も自信を持って取り組むことの重要性を改めて突きつけられた思いがした。根拠なき自信をゆめゆめ馬鹿にしてはなるまい。冷たい風が吹きつけていたが、気持ちがあまりに高揚していたので、それがむしろ心地よい。精神論でバッテリー問題が解決してしまったことに、笑いが止まらない。
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