2021年9月29日水曜日

恐美恐美母白須

 





私は聖人君子ではないから、


今日のような日には悪魔の囁きに耳を傾けてしまいそうだから、


だから、どうぞ どうぞ 


掛けまくも畏き伊邪那岐大神 そして 祓戸の大神等


私の心に移りゆく よしなしごとを 祓へ給ひ清め給へと白すことを聞こし召せよと


恐み恐みも白す



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2021年9月28日火曜日

山男

 




いつの間にか息子バッタが山男になっていた。


仲間3人で寝袋とテントを背負って秋の気配が忍び寄る山に旅立っていった。若者達は無謀にスピードが速く、天候にも無頓着なところがある。しかも、連絡一つしてくるでなし。


そわそわと気を揉んでいるところに、リンクが送られてくる。午後には戻ったとの短いコメントとともに。


リンクをクリックすると、彼らの足跡が立体地図となって、ところどころのスポットで写真さえ映し出されて、目の前に現れた。これには本当に驚いてしまう。ある日の記録が歩行距離25キロ、標高2600m、所用時間8時間。そんな数値まで出ている。


その後、さすがにゆっくりと電話で話をしたが、ナッツをたっぷり入れた栄養価の高い全粒粉パンを焼き(しかも自然発酵で!)、キャベツ一個を背負っていったと言うから、また驚いてしまう。最近の山男たちは、自分でパンまで焼いて持って行くのか。


山頂付近は風が冷たく、恐らく今年最後の山登りになっただろうと言う。紅葉の季節はこれからだろうに、彼らの山登りのスタイルでは難しいいということなのか。


いつか一緒にスイスの山を歩きたいと思っていたが、しばらくは仲間たちと登るのだろう。山の魅力に取りつかれてしまったら、もう引き戻せまい。


そうか。


嬉しいような、誇らしいような、ちょっと寂しいような、複雑な思いを抱きながら、それでもじんわりと喜びの感情が押し上げてくる。



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2021年9月27日月曜日

奥深い森の香りジロールのリゾット

 





一雨降るごとに秋に近づく季節になってきた。見上げる空には見事な鱗雲がたなびいている。秋に近づくのではなく、秋はもう来ているのかもしれない。



マルシェに行くと待っていましたかの如く、キノコ売り場がにぎわっている。お馴染の純白のマッシュルームとこげ茶色のマッシュルームの隣に、大ぶりで肉厚のヒラタケがでんとおわしまし、すましたエリンギの脇には大柄のセップはもちろん、茶色のジロール、薄茶のピエドムトン、逐語訳して羊の足、そして黒いトランペットドラモール、これも逐語訳して死のトランペットが山盛りで秋の香りを放っている。


さすがに庶民のマルシェにトリュフはお出ましになっていないが、遂にシーズン到来かとばかりに、興奮してしまう。まんまとお店の戦略に嵌ってしまうが、それも悪くない。


先ずはキノコと言えばリゾットではないか。どこかのレシピで、せめてキノコは3種類以上使って奥深い味わいを出すべし、と読んだ気がする。取り敢えずはジロール、ヒラタケ、こげ茶のマッシュルームを適当に袋に入れる。


我が家に帰って改めてキノコ達を眺める。ジロールは新鮮で袋に鼻を入れると奥深い森の香りがした。枯れ葉も汚れも、そう気にしなくてよさそうなので安心し、3種類のキノコを混ぜてリゾットを作る発想がどこかに飛んで行き、ジロールのみの香りを楽しもうという気になる。


重さを計ってみると200グラム。あれれ。随分と量があるように思うが、レシピが指定している400グラムの半分でしかない。それであれば、ヒラタケを200グラムばかり足そう。ヒラタケも計ってみると200グラム。これでは買ってきたジロールとヒラタケを両方いっぺんに使ってしまうことになる。


なんともけち臭い買い物をしてしまったものだと思うが、むしろこのレシピが超豪華なのではとも思ってしまう。


さあ、つべこべ言わずにせっかくの秋の味覚を楽しもう。


ジロールとヒラタケは細くちぎり、フライパンで弱火で炒めて汁を出す。森の香りがキッチンに満ちてくると、やや強火にし汁を飛ばし、塩コショウ。


中華鍋にオリーブオイルでみじん切りの玉ねぎを透明になるまで炒め、お米も同じように透明になるまで炒める。ここにワインを1カップ程度入れるのだが、フランス人シェフのレシピによれば、赤ワインを使ってリゾットに色を出している。ジロールの茶色に色合いもぴったりかもしれないな。そう思い、赤ワインを使う。


十分にお米がワインを吸収したところで、少しずつコンソメスープを入れて炊いていく。


アルデンテになったところで先に炒めたジロールとヒラタケを入れ、十分熱せられたところに火を止めてパルメザンチーズをふんだんに振り入れ、しばらく放置。


まろやかな色合いとつややかさに秋の森が連想され思わずにんまり。さあ秋を満喫しよう。



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2021年9月26日日曜日

無言の訪問客

 




夕食後、片付けが終わって二階に行こうとしたら、玄関の扉が30㎝程開いていた。家人の誰かが外に出ているということなのだろうか。


それにしてはゴミの収集日ではないし、食後の散策に行くには日も暮れて寒くなっている。



長女バッタは修士課程の論文の締め切りが迫っているので、サロンの大きなテーブルでPC相手に作業をしている。残る一人がシャワーを使っている音がする。


となると、外の人間の仕業としか考えられない。


それって、誰か知らない外の人間が家の中に無断でいるということなのか。


慌ててベースメントに降りる扉の鍵を閉め、恐る恐る一階の部屋をチェックする。「こんにちは。どなたか、いますか。」なんとも間抜けな話。


戦々恐々たる様子が伝わったか、長女バッタも加わり、2階の見回りに抜き足差し足で行く。


抜き足差し足をすべきは、我々ではなく、無断で侵入した人物なのだが、その辺はわけがわからなくなってしまう。寝室に入ると、何故か空気の流れが滞っていて不浄のような気がしてしまう。微かに煙草の匂いがするように思われ、慌ててベッドの下の隙間を見るが、そこには暗闇があるだけ。


お風呂場、トイレ、息子バッタの部屋、物置、そして、末娘バッタの部屋。


それぞれベッドや机の下、クローゼットの中を覗くが、いつもの暗い空間が横たわっているだけで、誰もいない。


「ママが買い物からの帰りにドアをちゃんと閉めなかったから、何かの拍子で開いちゃったんだよ。」そう言って、何事もなかったかのように長女バッタは論文作成に戻った。


そんなはずはない。買い物から帰ってきて何度も玄関の脇を通って二階に行っている。その時に扉が開いていたら気が付く筈ではないか。そうは言うものの、実際に誰かが家に侵入しているのだとしたら、えらいことである。ここは、私が扉をきちんと閉めていなかったとした方が、収まりはいいだろう。


何とも煮え切らないが、もうどこにも家の中には知らない訪問客の気配はない。そういえば、以前によく週末の買い物の帰り、大きな重い買い物袋を両手に下げているので、這う這うの体で鍵を開けて家に入り、買い込んだ食品や日用品を片付けているうちに、ご飯の支度にとりかかり、ドアの鍵穴に鍵が差し込まれたまま翌日を迎えてしまったことがあった。


アパート住まいの時には、荷物を抱えて幼いバッタ達を連れ出すことは本当に大変で、週末出掛けて日曜の夜に帰ってくると、玄関の扉がすっかり開いていたこともあった。あの時はワンフロアに2軒のみで、お隣さんはずっと留守だったので、誰も訪れずに、何事もなかったが、今考えても冷汗もの。


しかし、そうなのかなあ。本当に誰も来なかったのかなあ。


釈然としないが、寝室にシナモンの香を焚き、不浄の空気を清めることで、後は忘れることにする。忘れたほうが良いことはたくさんあるし、戸締りはこれからもちゃんとしよう。


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2021年9月25日土曜日

かっきりとした目覚め

 





今朝目を覚まして窓の外を見ると、霧の中。裸眼で見ているから視界がぼやけているのだろうか。


小学生の頃に読んだ本を思い出す。あれは図書館で借りたのか。しかし、図書館なんてあったのだろうか。中学時代の図書館は思い出せるが、小学校に図書館があったのか記憶が定かではない。クラスの後ろに数冊本が立てかけてあって、いつでも好きに読めたように覚えている。学級文庫、というものか。


なんだか記憶まで霧の中に入ってしまった気がする。


今では毎日の日課となっている植木鉢のマンゴと杏、水栽培のサツマイモ、そしてアボカドの種を庭に出してやる。朝日を体いっぱいにあびると活力が体中に漲るように、きっと彼ら植物にとっても最高のエネルギー源になるだろうと慮ってのことだが、実際のところどうだろう。


朝日にはぎらぎらとする日中の太陽や、やわらかな夕陽とは違った、神聖で生の根源を思わせる何かがある気がする。バッタ達には物好きだと笑われようと、友人たちには変わっているねと言われようと、皆がのんびりとするバカンスや週末であっても、どうしても朝日を拝みたくなってしまうのは日本人としての習性なのだろうか。


日本の戦後の教育はGHQによりゆがめられたものだと最近知るに至ったが、それでも小学一年生の時の国語の教科書は今でも暗誦できる程好きだった。小学生という響きが好きで、一年生という自分が誇らしかったのだと思う。毎日、国語の教科書を大きな声で読んだものだった。その嬉しさは高校までも続き、4月の始業式が毎年待ち遠しくて、新しい教科書は新しい香りがして好きだった。家に帰ると国語の教科書はその日に読んでしまうのも毎年のことだった。中学になると英語の教科書が加わり、毎年4月の始業式には国語と英語の教科書を読んだことを覚えている。


小学一年生の国語の教科書。


あさ あさ あかるいあさ

うみが ひかる

かわが ひかる

やねが ひかる


おはよう おはよう

さあ いこう

みんななかよし さあ いこう


おはようございます



なんてきらきらと希望に輝くメッセージなんだろう。


そして、中学の頃に山村暮鳥に出会う



一日のはじめに於て


みろ

太陽はいま世界のはてから上るところだ

此の朝霧の街と家家

此の朝あけの鋭い光線

まづ木木の梢のてつぺんからして

新鮮な意識をあたへる

みづみづしい空よ

からすがなき

すすめがなき

ひとびとはかつきりと目ざめ

おきいで

そして言ふ

お早う

お早うと

よろこびと力に満ちてはつきりと

おお此の言葉は生きてゐる!

何という美しいことばであらう

此の言葉の中に人間の純さはいまも残つてゐる

此の言葉より人間の一日ははじまる



なんだか霧の中にいたはずなのに、記憶の糸がするするとかっきりとした目覚めに導いてくれた。気が付くと、外の霧もすっかりと晴れ上がり青空がのぞいている。



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2021年9月24日金曜日

ノワゼットのジェイ

 



玄関脇の庭に朝早く、羽の部分が青と黒の華麗なだんだら模様のマグパイ程の大きさの鳥が、ヘーゼルナッツの実を上手に嘴で挟んでひっそりと佇んでいた。

背と腹が上品な薄茶色で、頭部が白く、尾と羽の先が黒くすきっとしている。

こんな美しい鳥がいるのか、と惚れ惚れとしてしまう。

ヘーゼルナッツの木はすぐに周りに小枝が生い茂るし、枝はすこぶる簡単に成長し、いつの間にか庭に陰を作ってしまうので、毎年せっせと刈込をしなければならない。それでも我が家にリスやアオゲラ、こんな美しい鳥たちが遊びに来てくれるのもヘーゼルナッツ様様なのだろう。胡桃や松ぼっくり、杉ぼっくりだって彼らにとっては嬉しいご馳走なのに違いない。

ネットで検索して、朝の美しい鳥がカケスであることが判明する。カケスねえ。カケスという名前とこの美しい鳥が私の中ではどうも一致しない。カケスが出てくる小説かなにかを読んで、勝手に頭の中でカケスの姿を想像して、それを定着させてしまったからだろう。カケスという響きには、カラスに似た騒々しさを引き出してしまう何かがある気がしてならない。

カケス君には申し訳ないけれど、君には似つかわしくない名前だねえ。フランス語だと「geai des chênes」、樫のジェイ。これならどうだろう。英語では「Eurasien jay」、ユーロアジアのジェイ。鳴き声がジェイジェイとしわがれているから、とのことだけど、どうも鳴きまねが得意らしい。

それにしても、平安時代には樫の実を好んで食べることからカケスは樫鳥(かしどり)と呼ばれていて、江戸時代に懸巣(かけす)になったというから、驚いてしまう。日本では鳴き声こそ名前にしなかったが、好物の食べ物が名前の由来になるのは、世界共通なのかと微笑ましくなってしまう。

我が家のジェイはヘーゼルナッツのジェイ。フランス語で言えばノワゼットのジェイだろうか。彼の喉は優秀で、選んだ木の実を5、6個は蓄えることができ、木の割れ目や地中の秘密の隠し場所まで運んでくる。隠し場所は石などの目印で識別するというから驚いてしまう。ただ、目印の石を取り除かれると、分からなくなってしまうらしい。

秋にせっせとお宝を隠しておいて、春先に芽が出た木の実を食するというから、なんて健康コンシャスな鳥なのだろうと感心せざるを得ない。

我が家のノワゼットのジェイは一体どこにお宝を隠しているのだろう。そうなると、むやみに草刈りをしたり、石を払いのけたりできなくなってしまう。秋は始まったばかりで、これからドングリもノワゼットも胡桃もどんどんと実が膨らんでくるだろう。新たな楽しみが増えたことに、にんまりとしてしまう。


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2021年9月22日水曜日

眠れない夜

 




ひょっとしたら。

逸る気持ちを抑え、主がいなくなってがらんとしている末娘バッタの部屋に駆け上がると、東側の窓からちょうどまあるい月が見える。ウサギがちゃんと餅つきをしているではないか。


確か寮に散らばって行った彼らの部屋からも日の出が拝めるのだから、今夜の月もそれぞれ愛でることが出来るに違いない。


夕方にかけて曇り空だったのに、すっかりと広々とした夜空が広がり、お月様の堂々たるお出まし。


夜中に何かに突き動かされて起きてしまう。バッタ達のガラクタや幼い時の本が、半端な片づけ方で所せましに詰め込まれている物置と化した小部屋の扉の下の隙間から、強い光が漏れている。


ふと、扉を開けると、小さな天窓一杯にお月様。


私が月を見上げると、月が私を見る。




満月の夜にドライブをすると、月が追ってくる気がする。見守ってくれている、と言うのだろうか。そんな思いをするのは、私一人ではないだろうことに、月の偉大さを思わずにはいられない。


寝室の窓のシャッターをできるだけ静かに音を立てずに開けると、そこにも煌々と光るお月様。


どうやら今夜は眠れそうにない。




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2021年9月20日月曜日

ナメクジ談話

 




漸く無事にビザが下り、先に単身で日本に乗り込み仕事を開始している旦那のもとに行く算段が立った友人が数日我が家で過ごしている。


手料理で歓待していて、自慢のレパートリーの中から毎回楽しく吟味厳選し、簡単な、それでも見栄えの良いご馳走を作って楽しんでもらっている。息子バッタもそろそろ大学の寮に戻るので、彼女が日本にもうすぐ行くとは言え、ちらし寿司なんかも作ってしまう。


いつもの手順と違ってしまうのは、彼女の存在。おしゃべりしながらの準備になるので、気が付いたらスタートが遅くなり、日の入りが早くなってきた分、外は薄暗くなってしまっている。もちろん、そんな時間の過ごし方を大いに楽しんでいるが、手順が違う分しわ寄せがくる部分もある。


できるだけ直接太陽の陽を浴びせたいと、マンゴ、杏、アボカドの植木鉢は朝から外に出していて、夕方に取り込むことにしている。そして、なんとか土に植えたサツマイモの苗に関しては、紙袋を被せる。やわらかい葉をぺろりと食べてしまう、ずうずうしいナメクジ対策。フランス語では「limace」リマス。そのタイミングが遅くなってしまうと言うこと。


しまったとばかりに外に出ようとする私に友人が訝し気な様子をするので、リマス/ナメクジによるこれまでの被害について話し、編み出した対策について語る。そして、慌てて外に出る。


暗くなってから植木鉢を取り込む作業は問題ないが、サツマイモの苗に紙袋を被せる作業は難航する。目を凝らしながら紙袋を被せ、脇に置いておいた小石を二つ飛ばないように紙袋の端に置くのだが、小石が見つからない。暗いので危うくリマス/ナメクジを触ってしまう危険も孕んでいる。


大騒ぎをしながら4つのサツマイモの苗に紙袋を被せて食卓に戻ってくると、友人がにやにやしながら待っていた。どうやらリマス/ナメクジについてネット検索し学んだらしい。


リマス/ナメクジを退治するには、ビールが最適らしいので早速ペットボトルにビールを入れて試そうと言う。いやいや、待って欲しい。何百ものリマス/ナメクジがペットボトルに入っているブツを翌朝回収するのは勘弁したい。この庭にお住いのリマス/ナメクジの数を知らない彼女の妄言。


それよりも、にんまり笑って彼女は続ける。リマス/ナメクジのリエットが美味しいらしいわよ。


出た、出た、出た。何せ彼女は、椅子以外の4つ脚は食すると自分でも豪語する中国大陸のご出身。嗚呼、まさかリマス/ナメクジ食の話になるなんて。


それからは、リマス/ナメクジのカルパッチョがいい、とか、リマス/ナメクジの佃煮、リマス/ナメクジの燻製とすごい言葉で飛び出てくる。将来的な食糧難を前に、昆虫食は静かなブームだが、今後リマス/ナメクジ食が大いに盛り上がる可能性を秘めているとのこと。一儲けできると目を輝かせてさえいる。


なんと息子バッタが私をからかうために話に乗ってきた。


考えてもみてよ。牡蠣だって最初はこんなの食べられるもんか、との葛藤の末、味見をしてみた強者がこれはイケるってなり、今ではノエルには欠かせない食材になったじゃない。ママが大好きな栄螺だって、最初はきっとすぐには手がでなかったはずだよ。


ちょいちょい、リマス/ナメクジと牡蠣や栄螺様を一緒にしちゃいかん。


まったくもってぞわぞわしてしまう。


長女バッタも乗ってきて、粘液が実は肌に良くて、化粧品としての価値があるかもしれない、なんて言うので卒倒しかけてしまう。


皆の想像は逞しく、思わずリマス/ナメクジ談話が盛り上がってしまう。庭のリマス/ナメクジたちはどんな思いで、その話を聞いているやら。


清貧で結構。リマス/ナメクジ殿のお世話にはなりたくはない。そう思いながらも、餓死の危機に瀕したら手を出さずにはいられまいか、との思いも過る。この話はここまででお預け。今のところはサツマイモの苗に望みを託そう。


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2021年9月16日木曜日

奇襲

 





お客様からのメールには即答。調査が必要な内容であれば、メールを受け取ったこと、いついつまでには調査し連絡する旨伝えるメールを送ることを自分に課していた。


そのスタイルがプライベートでも出てしまい、バッタ達のママ友や学校関係者からは驚かれ、時として煙たがれていたことは百も承知。


自分を追い詰めていたのは外ならぬ自分自身だったのかと呆れる反面、当時は自分自身を肯定しないでは泥沼からは這い出ることは出来なかっただろうと、やや傍観者のように思う。


即答習慣をある時捨てた。捨てざるを得なかった。絶え間なく送られてくるメッセージに押しつぶされそうになり、携帯の着信音にノイローゼになりそうだったので、あらゆるSNSのアプリを携帯から削除した。辛うじてメール機能は残すも、携帯とのシンクロをやめることで容赦なく送られてくるメッセージから逃れることができた。


本当にそんな時があった。


返信をすぐにしないと、確認してくださいと別のアプリで催促された。


今ではほとんど思い出すこともないが、時々、何かの拍子に生々しく過去が姿を現す。そんな時は本当に頭を振り払うことにしている。何も考えずに、ひたすら何かに没頭する時間を持つようにしている。


この記事は全く別のことをテーマに書き始めたのだが、それは別の機会にとっておこう。今はこの記事を唐突ながら終え、書きかけのレポートに専念することにしよう。



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2021年9月15日水曜日

戦場と化して

 




世の中で苦手なものといったら、歯医者ほど苦手なものはない。


健康な歯茎に真っ白で美しい歯並びの歯であれば、きっと見解も違ったものになっていただろう。小学生の頃から学校には歯科医が葉の磨き方研修に何度も訪れたし、その度に丁寧な歯の磨き方というのを学んだ。


昔から歯は丈夫で、歯で糸を切るのは当たり前だが、ビニールテープや紐までも引きちぎるという今思えばおぞましいことをしていた。若いということは、愚かであり、我が身を過信しがちなのだと、失って分かることがある。


本を読む時顎に手を当てて読む癖があった。歯を食いしばって読むので、後で顎も痛くなったし、何より頬の内側が歯型になって痛かった。


学生時代に自転車競技をしていたが、苦しい時は奥歯をかみしめる癖があった。


なにより、歯ぎしりの癖があった。寝ていて自分の歯ぎしりの音の激しさで起きることもあった程。


何がいけなかったのか。今更の話しながら時々思ってしまう。兄も双子の妹も、ピンクの綺麗な歯茎にしっかりとした歯を持っている。


健康な歯茎に真っ白な歯を目指し、歯間ブラシを使って毎日努力を怠らないことにしている。それでもままならないこともある。そして意に反して歯医者に通う日々となる。


嗚呼、医者によるといえばそうなのだろうけど、今回ばかりは当たりか外れか分かりにくい。何かする前に一言説明が欲しいと切に願う。こちらはまな板の鯉状態。口まで開けているのだからどうしようもない。麻酔をするので、ちくりとします、程度の説明があってしかるべきではないか。


看護師にその旨伝えたら、優しく肩に手を置いて丁寧に説明をしてくれた。15分ぐらいで終わること。毎日何度もしている施術なので技術的にも問題がないこと。これからヨードチンキを塗ること。などなど。


そう、そうなのですよ。その程度でいいから、教えて欲しかったのです。


少しだけ緊張が和らいだところで、さあ、とばかりに歯科医がドリル音よろしく我が口を戦場に変える。


マダム、ちょっと珍しい体験となりますよ。


なんて途中で言うものだから、こちらはひやりとしてしまう。肩に優しく手を置いてくれていた看護師が慌てて「大丈夫ですよ。何も感じませんから。」と言えば、歯科医はこともなげに否定する。金槌で打ち付けるのだから、何も感じないわけがないだろう、と。


えっ?


頭蓋骨にヒビが入るのでないかと思う程、脳震盪を起こすのではないかと危ぶまれる程、数回脳天を撃ち抜かれた。


棒のようになっている足を揚げて驚きを表現すると、今度も歯科医はこともなげに言う。マダムの歯の骨は薄いので、こうするしかないんですよ、と。でなければ治療はできませんので、二者択一。やめてもいいんですよ。


さあ、もう一度。


この歯科医が健啖家であったことを感謝しなければ。戦場と化した我が頭をがっしりと自分のお腹で支えて金槌ならぬ器具を振るってくれたのだから。このクッションが非常に安心感を与えてくれて有難かった。

その後のことは、この激しさに比べれば何でもなく耐えられた。確かにきっかり15分のことだったのだろう。あっけなく解放されると、全身が汗びっしょりであることに気が付いた。


麻酔が効いているうちに、急いで運転して帰宅し氷で冷やさないと。いやいや、安全運転にしなければ。たかが歯一本ぐらい、なんて思っていた時期もあったことが恨めしい。すべては繋がっているのだから、一本、一本が大切。これからも歯も歯茎も大切にして、こんな珍体験は一度きりにしたいもの。


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2021年9月13日月曜日

嗚呼、泣け

 





我が家のバッタ達も御多分に漏れず、環境への関心たるや凄いものがある。最近の若者たちは挙ってこの分野での活躍を夢見ている。生物学、エネルギー産業、気候分野、運輸分野など様々な観点から環境問題に取り組もうと、とにかく猫も杓子も環境、環境。


何せ2050年までにカーボンニュートラルを達成することが、エネルギー・環境政策の大きな柱として位置付けられているフランス。子供たちも学校で環境をテーマとした授業がばっちりと組み込まれており、幼い時から環境コンシャスな人間になっていく。


電気自動車やハイブリッド車を新規購入すると環境報奨金がついてくる世の中。同時に、昔はもてはやされたディーゼル車や旧型モデルは嫌われ者に。すべての車両は、車両の種類、登録年、排出ガス量によって、6段階に分けられ、ステッカーを車両のフロントガラスに貼ることが義務化されている。排ガスレベル認定シール、« Certificat qualité de l’air »  縮めて « Crit’Air » 。


これまで大気汚染の状況によってはパリ市内を走行する際に、ナンバープレートの偶数、奇数で交通規制されたものだったが、最近はこの6段階の « Crit’Air » で規制される。


« Crit’Air » シールを貼っていないと罰金を科されると知り、慌てて « Crit’Air » なるものを取得しようと試みる。とはいえ、通常は忘れてしまっているし、思い出す時は車でパリに乗り入れた時。長女バッタが一度手掛けてくれたが、何せ車で移動中だったので、車酔いをするからと半端になってしまっていた。


そこで先日、パリに移動中の友人の車の中で« Crit’Air » なるものを検索。我が愛車のせめてクラス分けでも知ろうとサーフする。


それがいけなかったのだろう。あれよあれよと連れ込まれ、ナンバープレートの番号を書き込まされ、気が付いたらクレジットカードの番号を入れていた。


1時間後に« Crit’Air » 3の承認証がメールで送られてきた。そこに添付されていた請求書を見て愕然。なんだか、手続き費用やら、郵送代やらで50ユーロは軽く越えてしまうらしい。義務化なのだから、こんな高額を取るなんてなんだかおかしいなとは思うものの、罰金が科されるので一刻も早く手続きをするようにとのメッセージを読むと、それはそうだなと思ってしまう。


定期的な車検だってそこそこお金がかかる。そんなもんか、と田舎者の信じてしまった。


それでもなんだかおかしな気がしたので、改めて我が家にもどりpcで « Crit’Air » を検索すると、費用は4€にも満たないので、それ以上を請求するサービスには注意しましょうとのメッセージが目に入り、もんどり打って倒れてしまった。


嗚呼、泣け!!!

arnaquer あーなけ

Je me suis fait arnaquée !!! まんまと騙されてしまった!!!


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2021年9月11日土曜日

まさかのまさか

 




 

急ながらも久しぶりにオフィシャルな電話会議をすることになり、慌ててwifiの調子やマイクの音量、画像の明るさなどを確認する。基本的には先方から詳しい説明を受けることが目的なので、特にこちらで準備することはない。

 

このところ真夏日が珍しく続いていており、Tシャツに半ズボンの格好だったので、流石にこれはまずいだろうとワイシャツを着る。麻のジャケットがないかと探してみるが、そこまですることもないかと思い直す。そして、画面は基本上半身のみ、むしろ顔だけが写ることを考えて髪をとかしつけ、アイラインを入れる。テーブルに座っての会議だから、半ズボンのままで臨むことにした。

 

あまりに陽射しが強く、PCの画面が輝いて見えにくいので、シャッターを8割ほど閉める。

 

準備万端。

 

約束の時間ぴったりに呼び出し音が流れ、スムーズに電話会議の開始となった。

 

と、急に太陽が雲に隠れたのか外が暗くなり、部屋が真っ暗に。PCの画面も暗くてみえない。挨拶も未だしっかりと済んでいないタイミングだったので、照明を点けようと思い、席を一瞬だけ外す失礼を詫び、部屋の入口にあるスイッチをオンにしようと立ち上がる。

 

おっ!しまった!

 

軽くメイクをした顔にワイシャツを着ているものの半ズボン姿である。何も考えずに立ってしまったが、カメラが全身を捕えたのではあるまいか。

 

慌てて中腰になり、照明を点け、中腰のまま机に戻って席に着く。その時間15秒程度か。

 

汗がじっとり。

 

相手を見ると、手元の資料を見ていてくれたのか、特に驚いた反応が見られなかったのでセーフだったのだろうか。まさか本人に半ズボン姿がバレちゃいましたかと確認することはできないし、とにかく気まずいことこの上ない。

 

その後、非常にプロフェッショナルながらも和やかな雰囲気で話は展開し、大変有意義な時間となったが、反省すること頻り。

                              

やはり重要な会議の時には、どんな場合でもそれなりの装いをしなければならない。ゆめゆめ軽んじることなかれ。

 

ニュースキャスターの失敗談など他人ごとのように笑って見ていたが、まさが我が身にも同じようなことが起こるとは!

 

企業研修の採用インタビューで、上下びっしりスーツ姿で決めていた息子バッタは、なんて立派な心掛けなのだろう。ここはひとつ、真摯に見習わねばなるまい。

 

もちろん、この失敗談、バッタ達に伝えて、皆で腹がよじれる程笑った、笑った。

 

 

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2021年9月9日木曜日

水を得た魚

 






水を得た魚

陳腐な表現ながら、正に今の末娘バッタにあてはまる。


夜寝ている間も夢で数学の問題を解いているような問答無用の詰め込み受験勉強の2年間を終え、晴れてグランゼコールの門をくぐると先ずは一週間は続く一連の新入生歓迎会が待っている。


ちょっと前までは新入生いじめの儀式、ビズタージュがあったものだが、今は流石に人権団体も動き告発本も出たので下火になったのだろう。以前テレビで特集を観て、その過激さ、卑劣さ、卑猥さに唖然としたもの。息子バッタは確かふさふさの髪を五分刈りにされていたが、本人の了承を得たものらしく、いじめの範疇にはなっていないがギリギリのところか。


その歓迎会のファイナルを飾る、目的地を知らされずに持ち物リストだけ渡されて、夜中にバスで連れていかれるインテグレーションの週末、略してWEIは健在。水着、寝袋は必須アイテム。夜中の出発だが、それまで学生は羽目を外して飲み食いをしているので、飲み過ぎてへべれけ状態の学生は運転手が乗車拒否。結局晴れて出発できるのは明け方になるケースもあるらしい。


とにかく勉強しかしてこなかった青二才の学生たちにとって、自分のアルコール許容量を確認する機会になるらしい。最近は強制はされないというが、階段の各踊り場にショットが置いてあり、何往復したとか、何分で何階まで行ったとか競争することもあるらしい。


全ては「らしい」としか言いようがない。


パーティー大好きの末娘バッタ。毎夏、パピーの出身の島で一月仲間たちと朝から晩まで過ごしているので、バカ騒ぎにかけては経験豊富。だからこそ、そこまで馬鹿なことはしないだろう、とは思うものの、何せ付き合いの良さは親譲り。心配の種は尽きない。


土曜の早朝7時に到着とのメッセージとともに森の湖のような写真が一枚送られてきた。


そして、月曜にウォータースライドを勢いよくヘッドスライディングしている彼女の写真と、脇腹にすごい痣をつけた写真が送られてきた。


まさか、水なしの魔のウォータースライドをしちゃったのだろうか。やれやれ。


それでも、超楽しい!とのこと。


学生たちは幾つかのグループに分けられるが、彼女はKGBグループ。最初は諜報活動?と訝しんだが、何のことは無いウォッカチームなのだろう。パーティー好きがどこかで発覚し、リクルートされたに違いない。


学生時代の仲間は一生の宝。これからの彼女の人生にとって欠かせない仲間たち。なにやら一年生の自治会選挙に仲間を募って出るらしい。各業界の第一線で働く卒業生によるスピーチにもかなり刺激をうけたらしい。いいぞ!その調子。


まあ、あんまり最初から飛ばす必要はないけれど、何事も最初が肝心。同じ釜の飯を食う仲間たちと大いに学び、悩み、楽しんで欲しい。



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2021年9月8日水曜日

潮騒

 






予期していなかったわけではない。心のどこかで、夏の盛りが過ぎたら連絡があるかもしれないと思っていた。それでも、メッセージが2つのアプリに入ってきたことを知り、胸がざわついた。


一つには「今どこ?」と聞いてきて、もう一つには「まだフランスにいるの?」と聞いてきている。


何食わぬ顔で。


長い夏のバカンスから戻って来たとでも言わんばかり。それなら、こちらも同じように演じようか。バカンスはどうだった?と。


連絡があるとしたら、動かない青空と真っ白な夏雲が過ぎ去って、空がぐんと高くなり頬をなでる風に芯が感じられ、木々には深緑よりも茶色い葉が増える頃、と思っていた。


それが、夏の終わりを名残惜しむような、焦燥にも似た暑い日差しが背を照り付ける真夏日のような日に、連絡がくるとは。


見上げる青空には雲一つなく、頬をなでる風も何も告げてはくれない。



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2021年9月7日火曜日

 






中国大陸で生まれて、幼い頃に家族で香港に渡り、学生時代に留学したアメリカで今のフランス人の旦那と知り合い、彼のフランスの大学に留学し、そこで私と知り合った30年来の友人。


当時は未だ恋人だった彼の駐在先シンガポールに彼女も仕事を見つけ一緒に行き、次の駐在先となった北京で結婚し長女を儲け、その後フランスに戻ってくる。今でも忘れないシャンゼリゼ通りのカフェでランチを一緒にした日。私が息子バッタを身ごもったことを告げると、その足で彼女は薬局に行きテスターを買って懐妊を知ったというから驚き。彼女らしい行動。


子供達を連れて、随分一緒に遊びに行ったもの。その後彼らは上海に駐在が決まり、彼らの子供たちは上海の英国の学校に通う。どうやら現地のフランスの学校とは縁がなかった模様。従い、彼女の子供たちは英国の英語を話す。


子供達が中学生、小学生の頃にフランスに戻ってきて、バッタ達が通う学校の英国セクションに編入。当時は息子君は一緒にレストランに行っても一人ゲームばかりしていて、なんていい加減な躾をしたものか、一体どんな大人になるのだろうと思っていたが、これが驚くほどいい青年になって、幼少時の一時の行動に一喜一憂するものではないなと感慨深い。


長女はイギリスの大学に進学し建築を学び、香港の大学院に進むも香港の情勢もあり、親族が大勢住むインドネシアはバリ島で竹の建築を学びに移住。そこで職を得て、今では朝5時起きで海でサーフィンを楽しんでから仕事に出掛ける日を過ごしている。


息子君は理数系で優秀な成績を修めていたが、ジャズギターのプロの奏者になると音楽の道に進む。イギリスはバーミンガムの大学に進学し、現在4年目。イギリスの閉鎖的社会に辟易していてフランスに戻りたがっているらしいも、音楽の世界での人脈もなく、閉塞感に苛まれているとか。


こうして、娘はバリ、息子はイギリス、旦那は東京。そして、彼女は日本行きのビザ待ちでノルマンディー。週末は家族でテレビ会議をしているが、今年のノエルの予定も立っていない。


グローバリズムの申し子のような我々。一体、この世の中、どうなるのだろう。


彼女と二人、ノルマンディーの砂浜で打ち寄せる波を見続けるが、答えはない。



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2021年9月6日月曜日

ノルマンディー橋

 




ノルマンディー橋を歩かない?


気持ち良く晴れた青空を仰いでいると、唐突に友人が誘ってくる。もちろん!二つ返事で賛成する。


風も雲なく、青空だけが広がっている日にノルマンディー橋のオンフラー側に立つ。2キロ先は北のルアーヴル側の大地につながっている。


もう20年前になるだろうか。オンフラーからの帰り、ノルマンディー橋の上で丁度雪が降って来た。激しい横殴りの雪。


そんな思い出が、明るい太陽の陽射しで雪が溶けていくように、やさしく頬をなでる。


自動車の走行車線は二車線で対向車の分も含めると計4車線。自転車専用道もあり、歩行者専用道も確保されていて、全く危険を感じさせない造りであることに感心してしまう。風がなかったからだろうか、大型トラックが猛スピードで走っていっても、流石に音はすごいが、橋は揺れない。


セーヌ川は霞んでいたが白鳥が一羽優雅に泳いでいる姿を目にする。


高所恐怖症の旦那はちっとも乗り気じゃなくって、と言いながら嬉しそうに歩みを進める友人。最初は途中で引き返すと言っていたのに、思ったほど苦ではないことから、向こうまで行ってしまうことに賛成してくれた。


往復1時間ちょっと。途中で数人のサイクリストとすれ違うが、歩行者は2人の女性が対向車線側を歩いていたのを目にしたのみ。ノルマンディー橋を歩こうなんて酔狂なことは、そうそう皆しないのか。


次は別の橋を制覇しようと、と誘うと、友人は不敵な笑みを浮かべた。





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2021年9月4日土曜日

メデューサ

 





天気予報が夏真っ盛りと思わせる予想を出していたので、ノルマンディーに帰る友人の車に乗ってしまう。


嗚呼、恋焦がれるノルマンディーの海は遠浅で、波も静かに待っていてくれた。


はやる気持ちを抑えてゆっくりと足を入れると、きらめく海水は暖かく足元を包んでくれる。歩けど,歩けど遠浅なのでなかなか海にもぐることができない。漸く腰まで海水が来たところで思い切って体を投げ出す。そうして恐らくこの夏最後の海に抱かれる。まわりは本当に誰もいない。頭上で魚をくわえたカモメがのんびりと飛び去って行った。


砂浜でにゅるりとしたものを踏んでしまう。まさかナメクジ?いやいや、メデューサ、ジェリーフィッシュ、くらげ様!


砂の足跡がついてしまったメデューサさん。ごめんね。


夏の良い思い出。




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2021年9月2日木曜日

有朋自遠方来

 




午前中にしっかりと掃除機をかけ、台所やお風呂の水回りを掃除し、トイレを磨き、午後にはマルシェに食材を求めて出掛ける。


バカンス明けの魚屋のスタッフは見慣れない顔ばかりで、ちょっと寂しく感じるが、魚たちはピカピカに目を光らせてぴちぴちとしている。小ぶりの黒鯛を人数分調達する。


今夜の食事のためだけの買い物と思っていたが、トマト、ほうれん草、ブロッコリー、ネクタリン、桃、といつの間にか買い物籠は重くなっている。バジルの葉が独特の爽やかな香りを放って夏らしさを盛り上げてくれる。


取り敢えずは冷蔵庫に必要なものをしまい、庭に出て熟してジューシーなブラックベリーを籠一杯に摘む。


玄関には咲きこぼれている真っ赤な薔薇、トイレには大ぶりのピンクの紫陽花、サロンには夏の香りのラベンダーをそれぞれに庭から厳選して活ける。


さあ準備万端。


有朋自遠方来。不亦楽乎。


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2021年9月1日水曜日

波のサイクル

 





ひょっとしたら本当は末娘バッタは未だ心が揺らいでいるのではないか。

「ママがいたら違っていたよ。」

そう呟いた彼女の声がいつまでも心の奥底で響いていた。


母親不在の一年間。悔やんでも悔やみきれない一年間。

「分かっているよ。ママは行かなきゃいけなかったんだもの。」


しっかり者の末娘バッタ。一人にしたつもりではなかった。それなのに、彼女が必要としている時にそばにいてあげられなかった。話を聞いてあげることもできなかった。


母親がいたからといって、何も変わらなかったかもしれない。同じように彼女は苦しみ、もがき、辛い思いをしたかもしれない。それでも彼女をしっかりと抱きしめることはできたはず。


だから、もしも彼女がもう一年頑張って再挑戦するというのであれば、大いに応援するつもりでいた。いかに精神的にも肉体的にも過酷であろうとも、彼女が頑張りたいのであれば、反対はしないつもりだった。


それでも、結果を冷静に受け止め、そこから新しい道を切り拓いていくことで、何かが見えてくるかもしれないと思ってもいた。運命に流されるというのとは少し違っていて、肯定的に運命を受け止め、自分のものとしていく、ということ。


最終的に彼女は進学することにし、一人で学生寮を探し出し、新しい出発をすることにしていた。寮に引っ越しする時、新しい仲間や教師との出会いに心弾んでいるのかと思ったが、どうも様子が違うので、考え込んでしまった。本当に良いのだろうか、と。


それを口に出して息子バッタに伝えると、彼が言うではないか。


「そういう波のサイクルがあるんだよ。僕だって時々ふと、なんで僕この学校にいるんだろう、って思う時があるよ。」


彼は今の学校を最高にエンジョイしているのだと思っていたから、とにかく驚いてしまった。そうか。そんなに簡単に皆ページがめくれるわけでもない。


息子バッタがそんな風に感じていたとは思いもよらなかったので、そのことを長女バッタに告げると、今度は彼女が言うではないか。


「みんなそうじゃない。私もあの時オランダに行っていなかったら、って思う時あるよ。ママだってそうじゃない?」


え?


ママは受験は、、、。いや、確かにそうだ。共通一次の結果をみて、急遽第一志望を変えたが、あの時どうしても法学部に行きたいと強く願っていたら、と思ったことは一度だけではない。


大学3年の専門を決める時、就職の時、フランスに留学した時、、。いつだって選択してきた。そうして今がある。その数ある選択を悔やまなかったことなどあるだろうか。


バッタ達のことを子供だとばかり思っていた。確かに彼らは私の子供だが、もう大人で、既にしっかりと自分たちの道を自分たちで選択しながら歩んでいる。その事実に愕然とする。


末娘バッタの心の揺れは、人生を選択しながら進んでいく者にとって、息子バッタが言うように波のように時々訪れる自然なこと。そう思ったら、心のざわめきはすっと収まり、静寂が訪れる。


嗚呼、彼女の新たな学生生活に幸多からんことを!



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