2022年10月30日日曜日

赤い運動靴







最初に気が付いたのは、いつのことだろう。もう二週間も前のことだろうか。


トンカとの散歩で、近所の森に行く時に必ず通る道がある。朝は未だ薄暗いので車道にトンカが飛び出さないことに神経を集中させるため、周囲のことは余り目に入ってこない。しかも、その通りはちょっとした坂になっていて、行きは下り坂、帰りが上り坂となる。下り坂の場合、ひっぱられないように気を張ることもあり、なおさらのこと、歩いている道とトンカ、そして通り過ぎる車しか目に入らない。


更に、そこは森に行くときに通るのであって、帰りは別の道となる。従い、未だ明るい時に、その坂を上ることは非常に低い確立でしかない。だから、一瞬気になっても、忘却の彼方に葬り去られることが常だが、二週間経ても状況が同じで、一週間前に自分の中でアラームが鳴った以上に、これは異常事態とのアラームが高鳴るに至った。


そこはとても整然とした邸宅で、門は南京錠で閉められている。しかし鉄の柵の一本一本の幅は大きく、高さも2メートルもなく、門の中が問題なく見渡せる。楕円のような形をした前庭は中央に円い花壇があり、門に沿った形で花壇が続いている。車が出入りできる大きな玄関アプローチはお洒落な石畳で、この季節には珍しく枯れ葉一つ落ちていない。花壇にはマリーゴールドのような黄色や朱色の花が咲いていて、手入れが行き届いていることが感じられる。


そういえば、随分前に友人が家を探している時に丁度「売物件」との看板が出ていたので、知らせてあげたことがあった。すると、部屋数も多く、しかも地下にプールがある、かなりの豪邸であったらしく、冷やかしで訪問することもしなかったとか言っていたことを思い出した。


そんな落ち葉一つ落ちていない豪勢な前庭に、2、3歳ぐらいの子供の赤い運動靴がぽつんと片方だけ落ちていた。


初めて見た時は、父親に抱っこされた、ぐっすり眠ってしまった男の子の姿が目に浮かび、とても微笑ましく感じられた。家族皆で車で遠出し、帰りが遅くなり男の子は疲れて眠ってしまったのだろう。家に着いたと揺り起こしてても、この年齢の子供たちはちょっとやそっとでは起きない。


しょうがないな、と父親が男の子を抱っこする。そして、駐車場から家に抱っこしながら男の子を運ぶ際に、男の子の足から、運動靴がぽとんと落ちてしまったのだろう。


そんな風に、運動靴はころりと落ちていた。


翌日、きっと男の子は外に出ようとして運動靴がないことに気が付く。父親が笑って、前日の顛末を教えてあげる。男の子は笑いながら、靴を探しに車まで行くときに、玄関アプローチに転がっている運動靴に気が付く。そんな風に思っていた。いや、もしかしたら、母親が笑いながら一緒に探してくれるかもしれない。


ところが、それが一週間たっても運動靴は同じ場所にある。おかしくないか?


一瞬だけ、誘拐された子供の姿を想像した。まさか。


そして、二週間が経った今、未だ運動靴は持ち主に探してもらえずに、同じ場所にある。花壇の花はやや枯れかけている気がするが、それは季節柄なのか。それにしても、門に南京錠とは物々しくはあるまいか。


はてさて。



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2022年10月29日土曜日

錦秋の晩餐会

 




深まる秋の晩、気の置けない友人達と集う。


気軽に、ゆるりと、楽しい時間が過ごせたらいいよね、と声を掛け、ちらし寿司を作っておくので、皆で楽しみたい料理や飲み物を持ってきてね、と伝えていた。


そうしたら、どうだろう。正に錦秋の晩餐会にふさわしい、お料理の品々がテーブルに所狭しと並べられる。


ラオスののどかな田園風景を思い起こす、ついつい箸が止まらない、グレープフルーツがアクセントの春雨サラダ

おせち料理の一品になりそうな、溜息が出る程しっとりと柔らかい牛肉細巻きに、とろりとした味わいの茄子炒め

ポルトガルの明るさを凝縮したような、クリーミーさに何度もお代わりをねだってしまうポテ鱈グラタン

秋茄子は嫁に食わすな、と言われる程のお茄子様の魅力が最大限に引き出されていて、色んな食材がブレンドされた豊かな食感に幸せを感じる、こんがりチーズ茄子ミートグラタン

ぎっしり、みっちりジューシーなお肉がふんわり、むっちりの生地に包まれた、思わずにんまりとしてしまう、特製肉まん

料亭の一品となろう職人技の、材料選びから下ごしらえの過程を愛情と手間暇かけて丁寧に作られたからこその味が心震わせる、柚子の香り豊かなサーモンの南蛮漬け


メルアドを三つも駆使して八面六臂の活躍をするので、休眠中のメルアドに連絡をしてしまっていて、当日の夕方に漸く会の開催を知り、慌てて駆けつけてくれるというので、手ぶらでいいよと何度も念を押したのに、惜しげもなくご提供いただいた、いよっ!これぞ日本の味!の餃子


選ばれた2019年のキリリと冷えたシャブリ。お庭のミントのソーダ。


プルーストではないけれど、一口食べると、あの時のあの時間のあの香りを想起させる、不思議な魅力のショコラマドレーヌ

表面はかりりとしていて、中はしっとり、ふんわりの、思わず姿勢を正してしまう、深まる秋を思わせる、甘さ控えめ、豊かな味わいの、色合いも美しい抹茶ケーキ

小粒のぷちぷち感が新鮮な果実と、削れば山椒の香りがぱっと爽やかに放たれる、お洒落なフィンガーライムを小粋に飾った、正にパーエフェクトなこんがりとした焼き色に、しゅわっと弾力性のある、濃厚な味わいなのに、羽のように軽い、スフレチーズケーキ


皆さん、天才。


犬を飼っていると知って、遠ざかってしまった友達に悲しい思いをしていただけに、心から楽しい時間を持てて、仲間たちに大いに感謝。お陰で、部屋は久しぶりに大掃除をして綺麗になり、サロンにあったラグは頑張ってお風呂場で洗ったことで、気になっていた匂いもなくなり、こざっぱりとし、グラスやお皿、ナイフ、フォークたちも、久しぶりに使ってもらえ、嬉々と輝いていた。


トンカには、私のお皿から肉まんを一瞬にして奪ってしまう事件も起こされたが、心配していた程大騒ぎもなく(と、思っているのは私だけかもしれないが)、お茶目ないたずらをして皆の笑いを取る程度で、意外に大人しくしてくれていた。トンちゃん、協力ありがとう。


友人たちとの尽きないおしゃべりの場は玄関に移り、外に出ると秋にしては穏やかな風がゆるやかに頬をなでた。



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2022年10月28日金曜日

幸せって何だっけ~昆布のお煮しめの巻き

 





日本に行くと、初夏であれば母が庭の山椒の木から枝を取り、ニシンの山椒漬けを作ってくれる。身欠きにしんの昆布巻き、玉こんにゃくの甘辛炒めも、母ならではの味。


友人達を囲んでの食事会のために、ちらし寿司を作る予定で椎茸を戻しておいたので、椎茸の滋味あふれる出汁がある。母の味とは程遠く、身欠きにしんもないけれど、昆布巻きを作ろうと大切にとっておいた円蔵昆布を水に漬けて、塩抜きをする。


ぐるぐるに昆布を巻き、かんぴょうがないので輪ゴムで止め、静かに鍋に入れる。ここはレシピなど見ずに、適当に白ワイン、お醤油、白ワインで作った適当味醂を入れ、ゆっくりと煮立てる。お醤油の香りがキッチンに溢れてきて、ケーキが焼ける時とは違った幸せ感をもたらしてくれる。


せっかくだから、もうちょっと煮て柔らかくしよう。昆布巻きが特大サイズだったので、その分出汁も多めに入れればいけないだろうが、ここは節約。クッキングペーパーを駆使して落し蓋の代わりとする。


ぐつぐつ、ぐつぐつ。いい感じ。


幸せ感で、るんるんと仕事に戻りエクセルでデータ処理に勤しんでいた。昆布とお醤油の香り。トンカが太陽が出ているので外でちょっとだけ日向ぼっこをしようよ、と誘ってくる。そうね、そうね。ちょっと待っててよ。


一段階ついたところで庭に出ようとすると、幸せな香りに、まさかの焦げた香りが薄っすらと重なっている。え?ちょい。えええ?


あわや。危機一髪と言えるのか、鍋底は綺麗に真っ黒に焦げ付き、昆布巻きがじりじりと底が焼けてきていた。しかし、特大昆布巻き本体はさほど被害はない。慌ててお皿に取り出し救出。味を見ると、当然のことながら濃くて佃煮のようになってしまってはいるが、そこは昆布。美味しくないはずがない。


と、トンカが味見をさせてくれと、ひどくせっついてくる。うーむ。確かに、以前海岸に行った際には、砂浜が大好きで、転がっている乾燥した海藻を喜んで齧っていたっけ。


ちょこっとだけだよ、と味見をさせてあげると、嬉しそうに食べてしまう。あらら、トンカも昆布巻きが好きなのね。ふふふ。


その後、水をがぶがぶと飲むトンカの姿に思わず笑みがもれる。昆布巻き、次こそは焦がさずに美味しく作ろう。巻かずに結べば良かったのかもしれないと、反省点を覚えておかねば。



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2022年10月24日月曜日

深まる秋

 





毎日のようにメッセージを送ってきた知り合いから、ぱたりと連絡がなくなった。メッセージをもらうこと自体が唐突だったが、終わり方も唐突だった。時には一日に数回送って来たこともあっただけに、何か気分を害することを書いてしまったのかと変に考え込んでしまった。


それこそが相手の思う壺なのではと、ちょっと意地悪く考えなくもなかったが、よそよそしい返事ばかりしていたので、すうっと消えていったのかもしれないと思うことにした。


森の写真を送った時に、どの辺の森にいるの?と聞いてきたことがあった。具体的な通りの名前を出してきた時もあった。森に通りの名前なんてあるものなのか、それぐらいにしか思わず、本気で相手にしていなかった。


夕陽がやわらかく包み込むような森の写真に、森でちっとも会わないけれど、森の散策は最高に楽しいよ、と送って見る。


暫くして返事がくる。「ちゃんと森の散歩に一緒に行っているよ。ハリネズミのように、姿が見えないだけなんだよ。」


うーん。確かに、我が家の庭のハリネズミ君も、滅多にお目見えしない。夜トンカが庭に出た際、けたたましく吠えるので外に出てみると、相手がハリネズミ君だったりする。そうか。ハリネズミ君の仲間だったのか。まあ、元気なら一安心。忙しいということなのだろう。そのうちに、今度こそ本当に森の散策に誘おう。秋がどんどん深まってきている森に。



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2022年10月23日日曜日

自然の声

 





森は今秋真っ盛りで、色とりどりのキノコ群はもちろん、どんぐり、毬栗が、ところによってはぎっしりと地面を覆っている。ばらばらと小気味よく頭上多角から落下してくるどんぐりの音は爽快で、思わずスキップをしたくなってしまう程。


マロニエは都会の木といえるのか。街路樹として使われていることが多いからだろう。森の中ではお目見えしないが、通りではマロニエの実がごろごろと落ちている。胡桃の木は、小川沿いの森の手前の日当たりのよい場所に散見する。


胡桃といえば、トンカが、友達のコリーのスパイク、ラブラドールのラムセスと遊んでいた時のこと。スパイクの飼い主が胡桃を拾っては袋に入れていた。それを見たラムセスの飼い主が、まさかスパイクが食べるわけじゃないわよね、と聞く。にっこりと笑って、スパイクも好きなんだよ、と返答。


彼らの会話は続く。


「へえ、スパイクって胡桃を食べるの?驚いたわ。」

「ちゃんと胡桃の殻を割ってあげるんだよ。喜んでいるよ。」


え?


彼らの会話に混ざろうかと思って、やめてしまった。スパイクはご主人様が割ってくれた胡桃の実を食べるのか、と、しみじみ思ってしまう。


トンカ、スパイク、ラムセス。三匹とも楽しそうに駆けまわている。そこにメスのラブラドールのトゥピーが仲間に入って来た。相変わらずキャンキャンと鳴いている。可愛い子なのだけど、なぜか遊んでいる時にけたたましく鳴く癖がある。


すると、のラムセスの飼い主がすかさず「やきもちを焼いているのよ。ほら、トンカがメスでしょう。他は皆オスだからね。」と発する。


見ていると、確かにオス連中は皆トンカの後を追って、はしゃいでいる。いや、それって、ただトンカがすばしっこいだけなのではないかしら。新入りのトンカに対して、やきもちってこと?いやあ、ないない。トゥピーはトンカと遊んでいる時も、しきりに鳴いている。トゥピーの癖で、いつかちゃんと原因を究明して治してあげた方がいいだろうと思われる。


しかし先入観とは恐いもの。胡桃だって、緑の実の時には放っておいて、しばらくして周りが黒くなってきたら、ごろごろとして黒い皮を剥いて、硬い殻の実になってから、かりりと割って美味しい実にありつくってこと、トンカは自然と知っている。


田舎の犬と都会の犬の違いということだろうか。トンカはちょっと野生過ぎるのかしら。基本的に、命に別状なければ好きにさせている。人間の子供ではないだけに、いや、私が犬ではないだけに、子犬のトンカの躾、教育は難しい。


私自身にもある沢山の先入観を取り払い、精神を研ぎ澄ませ、自然の声に耳を傾ける。かくありたいものかな。



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2022年10月21日金曜日

思わぬ展開

 





え、そこ?


敬愛する師匠のポメラニアンが大型犬に噛み千切られた話には続きがある。


事件当時、師匠は大型犬のプードルを連れており、一人で大怪我をしたポメラニアンを救出することに必死だった。しばらくして、謝りもせず、ふてぶてしく笑みさえ浮かべて去って行った飼い主を憎々しく思う気持ちが沸々と湧いてきてもおかしくはない。


不敵に笑う飼い主の隣で何食わぬ顔で正に仁王立ちの格好の大型犬の写真を、怪我の状況と、手術後のポメラニアン君のお腹の画像をつけて、事件が起こった場所、時間を記載し、愛犬に怪我を負わせた獰猛な犬を探しており、何か情報があれば知らせて欲しい旨のチラシを作成し、犬仲間たちに、警戒の知らせも込めてシェアをした。


私も、事件現場が徒歩圏ではないとは言え、他人ごととは思えずに、近所の犬仲間のグループにシェアをした。


さすが犬仲間。早速皆が同情の声、驚嘆の声、悲痛な声、様々な声を寄せてくれた。


「ポメラニアンの命が助かったこと自体が奇跡であり、守護神がこれからも彼を見守り続けてくれますように。」「警察には行ったの?」「 20㎏以上の大型犬が3Kg未満の小型犬を襲ったのに、警察はただの犬の喧嘩として片付けるの?あきれたわ。」


最初はそんな声ばかりだったが、そのうちに一人が、それで具体的に我々に何をして欲しいのかしら?と聞いてきた。


できれば飼い主を突きとめ、飼い犬が如何にひどい仕打ちをしたか、現実を突きつけ、反省してもらいたいのよ。


うーん、それが賢明なことか、分からないわね。飼い主は普通の神経を持っていない、自覚がないあんぽんたんだと思えるのよ。だから、こういった犬には気を付けてね、との知らせ以外に、できることは限られているんじゃないかしら。


それは違うと思うわ。こんな無責任な飼い主の下にいたら、この犬はきっとこれから問題を起こし、いずれはどんな運命が待っているか、想像がつくわよね。だから、きちっと飼い主を探し出して話し合いをし、責任を持って飼い犬を教育するように説得しなければダメよ。


そんな声が上がると、ここぞとばかりに、大勢が賛成の意を表明する。


確かに、このグループの大半は保護された犬を引き取って飼っている人々が多い。


会話は思わぬ方向に走ってしまう。なんだか今回被害を与えた犬が、飼い主の怠慢により、ちゃんとした教育を受けさせてもらえず、今回の事件を起こしてしまい、可哀想な犬として位置づけられてしまっていることに、驚きを隠せない。同情の声まで聞こえてくる。


そうなのか?どうしてそうなる?


なんだか、例の暗殺事件と重なる。


そこなの?え?ちょっと皆、おかしくない?


憎むべきは行為であって、その行為者ではないと?


ひたすら、ポメラニアン君の回復を心より祈るのみ。辛い、本当に辛い。




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回復祈願

 






ソファーで若い頃のBrad Pittのラブロマンスをのほほんと観ていたところ、トンカともども大いにお世話になっている犬の師匠からメッセージが入る。何か画像を送ってきてくれている模様。


彼女が夜に画像を送ってくるなんて、かなり異例なことだったので、何事かと慌てて確認をする。と、衝撃的なショットが携帯の画面に映し出された。


師匠の二匹の愛犬のうち、小型犬のお腹が鍵の形で縫い合わされているではないか。生々しく、そして痛々しい。次の画像は、ふわふわの黒い毛の大型犬の隣で「doigt d'honneur」つまり名誉の指を立てている悪趣味なデザインのTシャツを着た男が、ふてぶてしく笑っていてるもの。


夕方の公園での散歩の際に、突然大型犬に襲われ、口で振り回され、噛み千切られたとのこと。


名誉の指とはフランスらしい皮肉なネーミングで、相手を罵倒する時に使う、中指を立てる仕草のこと。正直、本気で使った人を見たことはないし、ありがたいことに、そんな死闘が繰り広げられる場所に遭遇したこともない。


そんな絵柄のTシャツを大の大人が着ている時点でお里が知れるというものだろう。友人の話によれば、悪びれる様子もなく、不敵に笑って去って行ったとのこと。連絡先ももらえず、お詫びの言葉もなかったという。慌てて写真を撮ることしかできず、今思っても腸煮えくりかえる程の怒りで震えているというではないか。


こんな酷いことがまかり通るのだろうか。獣医に連れて行き、すぐに縫合手術がなされ、一命を取り留めたが、危機一髪だったという。


警察に相談に行ったが、申し訳ない顔で、犬同士の喧嘩に警察が関与することは出来ないと言われてしまったらしい。いや、犬同士の喧嘩ではないだろう。相手による狂犬の管理不行き届きではあるまいか。今回怪我をしたのは犬だったが、公園なら子供だっているだろうし、いつ狂犬が子供に襲い掛かるかもしれないではないか。


友人の犬君の回復を祈るばかり。彼女の怒りがこちらまで伝わってきて、トンカの熱い鼻面を膝に感じながら、何かできることはあるまいかと思案する。



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2022年10月19日水曜日

今にも泣きそうな夕焼け空





 


雨の日も土日も関係なく森を闊歩するのは、犬とその仲間達だけではない。夕方、日が暮れかける頃に出会う、ロマンスグレーの紳士もそのうちの一人。山歩きにぴったりの出で立ちで、颯爽としている。特に編み上げの靴が眩しい。


始めの頃はすれ違う時に簡単に挨拶をする程度であった。トンカは面白いことに、森の中で出会う人間に対しては、我関せずの態度を一貫して取る。犬仲間には、どうしても挨拶をしないと気が済まず、鹿や狐に至っては、追いかけずにはいられないのに、不思議なものである。


従い、くだんの紳士に対しても、ちらりとも見ずに通り過ぎてしまう。紳士も紳士で、にこりともせず、トンカに目を向けるでもなく、歩くリズムを全く変えずに真っすぐ前を向いて歩き去る。


それでも冷たい態度ということは全くなく、すれ違い様にトンカにふわりと手を差し伸べた時が一度ならずとあったし、醸し出す雰囲気が上品で、こちらも自然と背筋を伸ばして挨拶をしてしまう。


先月末には暖房を入れねばと思う程の寒さだったのに、今は逆に季節にしては穏やかで、やもすると暑い程の日が続いている。それでも小雨は降るし、森の中は秋色に染まっている。どんぐりはばらばらと楽し気に地面をたたくし、栗のイガも容赦なく降ってくる。


そんな秋深まる夕刻、紳士が森の奥から現われた。すれ違い様、ボンジュール、ムッシューと声を掛けた瞬間、いや、それよりもほんの一呼吸前に、ベレー帽をさっと取り、ボンジュール、マダム、と渋い声の挨拶が響いた。


夕空が今にも泣きそうな色をし始めた。森の秋はますます深まる。



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2022年10月18日火曜日

悲願のガトーバスク

 







どの分野にも、何故か上手くいかないというものがあるのではなかろうか。私にとって、ガトーバスクが数ある中のひとつ。


まだバッタ達が幼くて、パパも揃ってパリに住んでいた頃のこと。フランスではよくあることで、長女バッタが通っていた地元の幼稚園は公立の小学校に属していて、年長組だけは小学校の年末行事のお祭り、kermessケレメスに参加することになっていた。


その日は小学校の校庭にテーブルと机が所狭しと並べられ、各クラスは子供たちの展示会場となり、コーラスがあったり、マキアージュのコーナーがあったりと、それはそれはにぎやかになる。


各家族はそれぞれにアペロ用の一皿、肉料理、魚料理、キッシュ、パイ、サラダ、ケーキ、など好きなものを持ってきて、食堂コーナーに並べる。それを事前に購入しておいた食券で皆で好きなものを選んで、特設ダイニングテーブルでいただく、といったシステムになっていた。


なぜ、あの時、ガトーバスクを作ろうと思ったのか。ちらし寿司や手毬寿司など作って持って行ったら、大人気になったかもしれない。まだまだ新米ママで、三人のバッタ達の子育てと仕事でてんやわんやしていた時代。それこそ、末娘バッタは二歳になっていなかったのではなかろうか。


それでも憧れのレシピ本を数冊持っていて、その中で選んでしまったのが「ガトーバスク」。バスク地方に行ったことがあるわけでもなく、実際に食べたことがあったのか、なかったのか。


結果たるや惨憺たるもの。当時、何故、近くのパン屋さんで美味しいケーキを買って、それを持っていくという発想をしなかったのか。とにかく時間に押され、情けない様子のガトーバスクなるものを袋に入れ、バッタ達を引き連れ、パパも一緒に皆で繰り出した。


長女バッタの仲良しの友達と、その家族と一緒に席を確保し、さあ、何を食べようか、と皆でわいわいと食べ物を選びにいく。あなたは何を持ってきたの?と、当然のことながらママ達は囁き合う。


子供達の人気はなんといってもチョコレートケーキ。皆の元気な手が競って選んでいく片隅で、誰からも見向きもされない、恐らく誰もガトーバスクだとは思わない、「自称ガトーバスク」がぽつんと残っている。


そうだよね。そうだよね。


長女バッタの親友のママが、それであなたのケーキはどこ?と。既に失敗してしまったことを告げていたが、失敗したと言っても意外と思ったほどには悪くはないものよ、と励ましてくれて、無理しなくていいのに、とお願いしても、いいから、いいから、と半ば強制され、仕方なく「自称ガトーバスク」を指さし、彼女はそれを手に取ってしまった。


ああ。穴があったら入りたいとは、正にこういう時のこと。


当然私自身も手持ちのデザートの食券で、「自称ガトーバスク」を一切れ手にし、食べてみたが、ああ、本当に悲しい程に、そして、「ガトーバスク」の名前に申し訳ない程に、大失敗であった。


あれから何度か本場物の「ガトーバスク」を食べる機会もあったが、あの時の「自称ガトーバスク」とは似ても似つかない美味しさ。レシピに問題があったとは思えない。私の作り方に問題があったのだろうし、恐らくプロには当然のことが私には分かっておらず、何かを見落としたのに違いあるまい。


もう一度、と試してみる気も起らない程の大失敗だったし、長女バッタの親友のママの、ちょっと驚いた顔が脳裏にこびりついてしまい、こればかりはどうしても作ることができないもののカテゴリーに収めてしまった。


そんな苦い思い出のあるガトーバスク。今回、とても分かりやすく丁寧に説明している動画を発見し、チャレンジしてみることに。


中身はクリームではなく、無花果の実を入れて、ちょっとアレンジ。


正直満足できるものではないが、次に向けての改善点が見えた。いつか悲願の手作りガトーバスクなるものが手に入るだろうか。日々是精進。努力しかあるまい。



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2022年10月16日日曜日

灯台下暗しとなるか





 



お天気の良い週末ともなれば、森は栗拾い、キノコ狩りの家族やカップルでにぎわっている。トンカと散策しながら、それとなく目を配ってみるものの、素人にはちっとも見つからない。


それでも、おとぎ話に出てきそうな、いかにも毒がありますよオーラを発散している、ふっくらとした真っ赤な傘に、黄色い丸い斑点がついているものは、否が応でも目に入る。ひょろひょろとした白い柄に、真っ黒な傘のキノコも、幾つも見つけた。


食用キノコはどこじゃ。そう思いながら歩いていると、ふと足元にぬらぬらとしたキノコ群が目に入った。これは、まさか、なめこ様ではあるまいか。さすがに、それはないよな、と思いつつもシャッターを切る。


そもそも、キノコの知識がないのだから、どれが食用でどれが毒性のものかなど、分かる筈がない。頼みの綱のトンカは、珍しいことにキノコには目もくれない。


それが、ある朝、勝手口から外に出た時、何気なく花壇に目をやると、キノコ様がおはしますではないですか。しかも、なんだか無害だよオーラを発散している。慌ててシャッターを切り、キノコに詳しい友人たちに送って見てもらう。


トンカと森で遊んでいる時に、返事が入る。どうやら食用キノコらしいと皆が口を揃える。それでも、傘の裏側がスポンジっぽいのか、ひだひだがあるのか、確認すべしとのこと。友人の一人の旦那は薬剤師の資格を持っていて、うん十年前だろうが、昔取った杵柄、判断できるという。さあ、急いで家に帰って見てもらおう。


食用キノコだとしたら、これこそ、灯台下暗し。我が家の庭に生えていたなんて!


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2022年10月15日土曜日

トンカがおばあさんを食べた狼のお腹になるの巻

 




夜明けを探して、いつもの暗闇早朝散歩をしていた。朝露に濡れた下草が心地よく、ひんやりとした空気は爽快。鼻の先が冷たくなり、指先が凍るような日々が数日続いていたが、ここに来て、不思議なことにぬくくなってきている。雨が降る度に秋が深まるはずなのに、とぼんやりと思っていた。


と、トンカが茂みに入って行く様子が感じられた。基本、道路以外ではトンカのリードは外している。好き勝手に茂みに入り込んだり、草原を駆け回ることは日常茶飯事なので、横目で見て、いつもの道を歩いていった。変に待つと、待ってくれるものだとばかりに、調子に乗っていつまでも出てこないことになり兼ねない。


いつもなら、慌てたトンカの小気味よい足音が聞こえてくるのに、いつまでたっても後ろから気配は一切しない。口笛で呼んでも、ちっとも手ごたえがない。まさか別の道を通って森に入ってしまったのだろうか。訝しく思いながら、不本意とはいえ暗闇のこともあり、今来た道を戻り、最後に確認した茂みの入り口まで行ってみた。


いつも通っている道の脇にある茂みだが、これまで一度もトンカは興味を示したこともなく、一体どんな茂みなのかよく見たこともなかったが、入り口は茨でがんじがらめになっていて、かなり奥まで深みがある様子だった。まさか、茨に足を取られたのだろうか?


トンカの名前を呼んでも、茂みからは誰も出てこないし、ひっそり閑としている。と、ちょっと荒い息遣いが聞こえてくる。トンカ、いるのね。体を低くして、携帯の明かりで茂みの中を照らしてみる。暗闇がこんなに恨めしく思ったことは無い。本当に何も見えないのだから。しかし、がさごそとした動きが感じられるので、トンカの存在は半ば確認でき、少しはほっとしてもいた。


一体何に嵌ってしまったのだろうか。考えられうることは、考えたくもないことだが、糞尿の類、食品・食料の廃棄物、動物の死体。


ぐっと体を低くし、這いつくばって茂みの中を覗くと、奥の方でトンカが横になっている様子が見えた。トンちゃん、そんなところでくつろがないで、出ておいでよ。一体何をしているの。


前日に仲良しの成犬ベルと絡み合いながら遊んだ際、どうやら脚をやられたようで、その後びっこをひきながら歩き、終いには蹲ってしまったことを思い出した。やはり足をとられたのだろうか。


と、今度は荒い息遣いが聞こえ、嘔吐、そして、バリバリと何かを食べる音。


最悪のケースなのか、ましな方なのか。


なんとかして別の方法で茂みに入ることはできまいかと周りを良くみてみると、今まで全く気が付かなかったが、そこは煉瓦の塀があることが何となくわかった。煉瓦の塀からトンカがいるところを覗いてみると、バゲットの欠片が見える。誰かが食料廃棄物をここに投げ捨てたのだろうか。


時々、森の中でもボーイスカウトたちがキャンプをした後に、食べ残りのご飯や、手付かずのバゲット数本が放置されていることがある。そんな時には、どう頑張ってもトンカを引き離すことはできず、バゲットの時には急いでザックに詰め込んでしまう。


今、この暗闇で茂みの中へのアクセスが難しく、トンカを残飯から引き離すことは至難の業で、食べ尽くすか、食べ飽きるかを待つしか方法はなくなってしまっていた。こんな時のトンカは、愛らしさなど皆無で、まさに獣となってしまう。


それでも、茂みの入り口に顔をのぞかせ始めたので、その瞬間をとらえ這う這うの体で茂みから連れ出すことに成功した。リードをしっかりと付け、家路を急ぐ。が、どうも足取りが重い。よく見れば、なんとトンカの細いはずの身体が妙に膨らんでいるではないか。いやあ、参った。おばあさんを飲み込んだオオカミのお腹を見る思い。カエルを飲み込んだ蛇、名無しの巨体。


案の定、家に帰っても、でんと床に転がり込むだけで、身動きがとれない模様。時々苦しそうな息遣いをする。得意の俊敏な動きは一切できない様子だった。そして、思い出したように水をかぶかぶと飲む。


トンカよ。気持ちは分からなくもないけれど、有害小動物駆除で毒が置かれている可能性だって皆無じゃないのよ。お願いだから、拾い食いの習慣は止めてね。


その日は、丸一日寝ては水を飲み、水を飲んでは寝ていたトンカ。夕方の散歩の頃には、少しは足取りが軽くはなってきている様子だったが、夕食は控えた方がいいのではなかろうか。


そんな親心を分かるはずもなく、散歩から帰って来て、先ずは掃除をし、それから栗の皮むきなんかを始めた私に、一向に夕食にならないからと、ご飯の時間ですよ!忘れているでしょう!とガンガンと吠えて催促をする。


さあ、トンカは夕食にありついたのでしょうか。それとも散歩の後の心地よい疲れで、大人しく寝入ったのでしょうか。皆さんのご想像にお任せいたします。


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2022年10月12日水曜日

錦秋の饗宴へのお誘い

 





いにしへの 秋の夕べの 恋しきに 

今はと見えし あけぐれの夢



今年に入ってから、ずっと連絡が途絶えていた友人から、このところ頻繁にメッセージが届く。何か相談事があるわけでも、知らせたいニュースがあるわけでもなさそうである。人の温もりが恋しい季節、ということだろうか。


確かに、先日思いもよらずに友人と10分だけながら直接会って、話をしたが、思いもよらず心浮きたち、大いに楽しかった。メールやメッセージの交信だけで済ませてしまいがちだが、相手の顔を見て話をすることは、こうまでも人を高揚させるのかと改めて感激してしまった。


なんだか、久しぶりに友人たちと会いたくなり、急遽、「錦秋の饗宴」を開催することに。ただ、我が家はトンカがいるし、友人達を迎えるサロン・ダイニングはトンカのアジトでもある。絨毯は外してしまったし、ソファーはあちこちが噛み千切られ、ぼろぼろ。


トンカが愛しいから許せる汚れも、他人にとっては不快感をもよおす汚れに違いない。


犬好きばかりとも限らないし、初めて会った人には両足で飛びついて歓喜を表明することが歓迎の仕方と思い込んでいるトンカに、面食らう人は多いだろう。


まあ、いいではないか。15人に声をかけて、2、3人が集まったら御の字としよう。これがきっかけとなり、他にも集う機会が訪れるかもしれない。先ずは案内メールをしたためようか。


皆様、お久しぶりです。

小春日和の穏やかな日が続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか。

秋の夜長を美味しいものを食し、楽しいおしゃべりをして過ごせたらと、女子会のご案内です!



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2022年10月10日月曜日

秋の味覚の続編

 





ご近所さんへの秋の味覚のお裾分けのには、続編がある。


先ずはお向かいのマダムに差し入れに行った際、呼び鈴を鳴らすも返答がないので、キッチンの窓が大きく放たれていたから、恐らく裏の庭で作業をしているのかもしれないと、秋の味覚が詰まった小さなガラスの瓶を紙袋に入れて、そっと門の隙間から手を差し入れ、門の開閉に邪魔にならないような場所に置いておいた。


次に、栗拾いに誘ってくれた友人宅に向かった。彼女も渋皮煮を作ったが、どうも渋皮の渋さが残ってしまい、苦戦していると言ってきていたので、良かったら味見をしてみてよ、と伝えてあった。歩きながら彼女の携帯を鳴らし、本人が出たようなのだが音声が聞こえてこない。郵便受けには入りそうになかったので、秋の味覚が詰まった小さなガラス瓶が入った紙袋を、門の取っ手にひっかけて、「秋の味覚をお楽しみください」とのメッセージと共に写メを送っておいた。


考えてみると普通の家庭であればお昼ご飯が終わって、のんびりとくつろいでいる時間帯。或いは、遅いお昼であったなら、デザートに移行したところだろうか。携帯電話など常にチェックしていることもあるまいし、マナーモードにしているのかもしれない。


次の友人宅では、連絡もせず、呼び鈴も鳴らさずに、郵便受けの上のスペースに、秋の味覚が詰まった小さなガラス瓶が入った紙袋をそっと置き、「秋の味覚をお楽しみください」とのメッセージと共に写メを送った。


最後の友人宅まではちょっと歩く。ちょうど彼女の誕生日が数日前だったので、誕生祝も兼ねて大きめのガラス瓶に栗の渋皮煮を詰めていた。道端に真っ赤に色付いた葉を見つけると、数枚失敬し、可愛らしい緑のドングリを見つけると、やはり数個失敬し、歩きながら、彼女へのピンクの紙袋に、秋を添えていった。


彼女の家は鉄の柵で囲まれていて、腰辺りの高さまでが煉瓦の塀となっている。煉瓦の塀の上にちょこんと、ピンク色の紙袋を置くと、やはり「秋の味覚をお楽しみください」とのメッセージと共に写メを送っておいた。


トンカと一緒だったこともあり、小春日和の穏やかな日差しを楽しみながら、森で遊んでいるだろう幼い子供連れの家族に遠慮していたが、トンカを連れて森に散歩に出ようかと思いつつ、大きめの迂回をしながら家に帰り着いた。


マダムの家は、相変わらずキッチンの窓が大きく開け放たれていたが、紙袋の存在に気が付いてくれたか、分かりかねた。次に訪れた友人からは、既にお礼のメッセージが届いていて、翌日以降が食べごろと伝えていたにも関わらず、一つ味見をしてみて、本当に渋くない!レシピを教えて!とある。にんまり。


と、最後に行った友人から、「今メッセージを確認しました。慌てて外に出てみましたが、ピンクの紙袋が見当たりません。誰かに取られたようです。呼び鈴をならしてくれればよかったのに!残念。」との驚くべきメッセージが。


え?まじ?


あの通りは一方通行なので、もともと人通りが少なく、私とトンカが行った時、昼下がりとのこともあり人っ子一人いずに、ひっそり閑としていたのに!私が彼女にメッセージを送ってから、彼女が外に出るまで20分間のみ。その間に、誰かが彼女の門の脇に置いてあった紙袋を取っていったことになる。俄かには信じがたい。


それよりも、せっかくのちょっとした誕生日のお祝いのサプライズにケチがついてしまったことが、ひどく残念に思えた。可愛い蓋の小洒落たガラスの瓶に入れて、紙袋も兎がデザインされているピンクの華やかなものにしたのに。しかも、生の栗、ドングリ、真っ赤な葉っぱが入っていて、小さな秋を喜んでもらえるように演出してあったのに。


いや、そんなことより、そういった気持ちが彼女に届かないことをもどかしく思った。


彼女は彼女で、家にいたのに、何故呼び鈴を鳴らしてくれなかったのかと、大いに不満気で、確かに彼女の言う通りであった。


車で行こうと思っていた友人向けの小瓶が一つ残っていた。栗はまだ200個以上残っている。渋皮煮はまた作ればいい。そう思い直し、ちょうど手ごろな大きさの紙袋を探すと、「神宮」と記載されている真っ白な紙袋が出てきた。神宮、つまり伊勢神宮の紙袋。これは霊験あらたかで、今回こそは間違いはあるまい。彼女も喜んでくれるに違いない。


さあ、気を取り直し、今度は真っすぐ彼女の家に向かう。先日拾った栗のイガイガ丸ごと2個を伊勢神宮の紙袋に入れ、道端で真っ赤になった葉を数枚失敬し、傘のついたドングリを見つけ、幾つか拾い、駐車場の脇の藪で見つけた小さな丸い濃い紫の実がついた房を一つだけ、そっと頂戴し、紙袋に入れて秋を揃える。


今度はちゃんと呼び鈴を鳴らすと、友人がすぐに家から出てきてくれ、鉄の門を開けてくれた。彼女と会うのは1年ぶりになるのかもしれない。どうしても終えなければならない仕事を一つ抱えているという事だったので、会って手渡しするだけで十分だったのに、10分だけ、とトンカと一緒に森の散歩に付き合ってくれた。


10分だけだったけれど、彼女の笑顔に触れ、おしゃべりができ、とてもとても貴重な時間となった。なんだか、最初の紙袋がなくなって、かえって良かったのじゃないかしらと思える程。


願わくば、持ち去った人が紙袋を開けてみて、赤く燃える葉やドングリや栗をみつけて、なんだ子供騙しじゃないかと捨ててしまわずに、秋を堪能し、小瓶を開けて、栗の渋皮煮を味わって、美味しいじゃないか、と、喜んでくれますように!


もしも、あのピンクの紙袋が誰かを喜ばせることができたのであれば、これ程嬉しいことはあるまい。


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2022年10月9日日曜日

秋の味覚をしっとりと味わう栗の渋皮煮

 





「栗拾いに行かない?」

近所の散歩友達からお誘いを受ける。二つ返事で快諾し、彼女が先日見つけたという粒が大きい見事な栗の木目指して森の中を勇み足で進む。


ここ数日寒い日が続いていたことが嘘のように晴れ上がり、陽射しは暖かい。森の中は栗やキノコ狩りの人々で、ひっそりながらも賑わっている。すれ違う人の袋の様子をちらりと横目で見て、出遅れたのではあるまいかと焦ってしまう。


しかし、森は大きく、栗の木はそこら中にあり、地面はイガイガがゴロゴロと転がっていて、ふっくらとした割れ目から赤茶色の粒がのぞいていて、秋の日につやつやと輝いている。飛び跳ねた栗の粒もあちこちに散らばっていて、ついつい足を止めて拾ってしまう。


栗拾い歴が長く、今シーズンになって既に3回は森に入っている友達は、小さい粒には目もくれず、大股で森の奥へと入って行く。その後をちょこちょこと追いながら、時々立ち止まっては栗を拾っていく。


突然彼女が歩みを緩め、かがんで栗を拾い、つぶらに観察している。どうやら遂に彼女が目指していた栗の木にたどり着いた模様。その後は、お互い黙々と栗拾い。確かにこれまでの栗よりも粒が大きいし、しっかりしている。出遅れたと思っていたが、栗の木は大きく、森の中にも沢山あって、秋を楽しむ人々に潤沢に栗の粒は分け与えられている。なんて幸せなことなのか。


つやつやの栗で袋をずしりと重くし、ご満悦で帰宅。さて、どう味わおうか。粒の大きさで仕分けすると300個程度拾っていたことが分かった。先ずは最初の100個。これはオーソドックスに栗の渋皮煮としよう。


鬼皮を剥いて渋皮だけにし、何度もあく抜きをしながらのんびりと煮て、漸く真っ黒な水が透明なワイン色になった頃に、キビ砂糖で甘みをつける。コトコト煮含め、ゆっくりと冷ます。


渋皮は最早渋さがなくなり、その薄い皮に守られた栗の実はとろけんばかりで、やさしい甘みがほんのりとつき、なかなかの一品となる。そうなると、日頃お世話になっている友人、知人にお裾分けしたくなるのは人情。


手元に合った小さなガラス瓶を幾つも煮沸消毒し、しっかりと冷めてしっとりとした色合いの栗を丁寧に詰める。とろりとした煮汁も一緒に入れて、ぴっちりと蓋をする。


どうぞ秋の味覚をお味見ください。明日以降からが食べごろで、是非一週間で食べ切ってください。


そう伝えるのだが、大抵皆さん早速一粒味見をして、歓喜のメッセージを送ってくれる。ご近所さんなので、トンカを連れて近所を一回りし、我が家に戻って一心地ついていると、キッチンでガッシャンと何やらにぎやかな音がする。


なんだなんだと行ってみれば、レンジの近くでトンカがきょとんと佇んでいて、後でのんびりと味わおうと取っておいた栗3粒を入れていたタッパーのケースが、トンカの足元に転がっている。


驚いたことに、煮汁が床に零れている形跡はなく、当然のことながら栗も見当たらない。


おお、一瞬にしてぺろりとしましたか。お見事!でもね、トンちゃん、これはゆっくりと優雅に味わうものなのですよ。不思議なことに、狙っていたのか、と、むしろ笑いが込み上げてきてしまう。


これでは示しがつかず、躾も何もあったものではないが、仕方あるまい。


トンカよ、どう?美味しかった?ふふふ。秋は楽しいよね。


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2022年10月8日土曜日

気まぐれなスポットライト

 





夕暮れ時に森を散歩していると、薄暗い森の中のところどころにスポットライトが当たっていて、まるで映画の一シーンのように感じることがある。


枯れ葉の絨毯が、その部分だけ切り取られたように輝きを放っていて、その様は神々しいまで。スポットライトの形は丸い時もあれば、楕円やいびつの時もあり、一筋の光線となって走っていることもある。時には、枝葉のほんの一部が、燃えるように輝いていることもある。


その中をトンカが走り抜けると、トンカの胡桃色の毛がスポットライトを浴びて、正に黄金に輝く。そんな時、トンカにゴールデンの血が流れていることを改めて認識させられる。


スポットライトを浴びた瞬間、草木、花や実、そして枯れ葉までもが生き生きと我が役割を演じ切るのだから大したものである。スポットライトは気まぐれで、いつ当てられるのか、その時にならないと分からないのだから。


なんだか人生と同じではないか、と、悟りの様な不思議な思いに捕らわれながら、どんどんと暗くなる森を後にする。



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2022年10月5日水曜日

秋の午後のひと時に、マスカルポーネのチーズケーキ

 





どんな経緯があったか、すっかり忘れてしまったのだが、遠い昔、友人がバッタ達にとピザをテイクアウトしてくれたことがあった。仕事帰りで遅くなってしまったのか、或いはバッタ達の誕生日が近かったからか、その辺は本当に覚えていない。


ピザが焼き上がるまで、ちょっとしたカウンターで待っていたのだが、気の利く友人が一品をオーダーしてくれた。それがゴルゴンゾーラとマスカルポーネのサンド。こんがりと焼き上がるピザの香りと、釜の熱気やレストランの喧噪がちょうど良く相まって、お皿の上でとろりととろけんばかりのチーズは、得も言われぬ美味しさだった。


ひとくち、ふたくちと食べながら、これはまずいと思い始めていた。カロリーが高いだろうことは百も承知ながら、ピリリと辛いゴルゴンゾーラとまったりとした味わいのマスカルポーネのコンビネーションが素晴らしく、恐ろしい程に夢のような気分にさせてくれる。


あれから怖くてオーダーをしたことはない。あの味わいを時々思い出すことがあるが、今回はふと買い物をしている時で、気がついたらマスカルポーネを一パック買ってしまっていた。さあ、これで何をしようか。


以前だったら、マスカルポーネときたらティラミスに決まっていた。ただ、バッタ達もいないし、友人宅に差し入れをする程のこともないし、それに正直、ティラミスを作りたいとの意欲が湧いてこない。さて、どうしたものか。


軽くチーズケーキを焼こうか。


マスカルポーネ 230グラム

卵 2個

キビ砂糖 40グラム

生クリーム 50㏄

牛乳 50㏄

小麦粉 30グラム


オーブンを190℃に熱しておく。

マスカルポーネを室温に戻し、撹拌しクリーミーにする。そこにキビ砂糖を入れ、しっかりと混ぜる。卵を一つずつ割入れ、毎回しっかりと混ぜる。生クリームと牛乳を、少しずつチーズの生地に入れて、混ぜ合わせる。最後に篩にかけた小麦粉をさっくりと入れ、しっかりと混ぜる。


一度くちゃくちゃにしたオーブンシートを型に載せ、その上にケーキの生地を流し込み、温度を180℃に下げたオーブンで40分焼き上げる。


ふんわりと膨らみ、こんがりと焼き色がつく頃には、キッチンが幸せな香りで満ちてきて、オーブンから出すと、その幸せの香りをしっかりと収めるかのごとく、膨らみは落ち着く。


せっかくだからと、未だ温かいうちに一切れ味見用に失敬し、一切れなくなり笑っているような形になったケーキは一晩冷やしておく。


翌日、しっかりと冷えたケーキに、お向かいのマダムから頂いた無花果で飾りをつけて完成。


一晩置くと、味も落ち着くのか、温かいうちに食べた時とは比べ物にならない程の美味しさで、思わず唸ってしまう。ベークドチーズケーキは冷やして食べるのが正解。秋の午後のティータイムにぴったりの一品、いかがでしょう。



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2022年10月3日月曜日

ジャーマンシェパードのツキとの出会い

 






随分前を飛び跳ねるように軽快に歩いていたトンカが急に立ち止まった。耳をピンと立てている様子からして、恐らく仲間が近くにいるに違いない。案の定、人影が見え始めた。家族の散歩らしいが、父親がリードを持っているので、犬を伴っているのであろう。両親と高校生ぐらいの少女の後ろから、ゆったりと構えた大きなジャーマンシェパードが現われた。


シェパードはトンカの3倍はあろうと思われる体躯で、トンカが飲み込まれそうに思われたが、意外に二匹は鼻で先ず軽く挨拶をすると、猛スピードでの追いかけっこをし始めた。シェパードの威力は圧倒的ながら、俊敏さにかけては引けを取らないトンカ、なかなかの見物であった。


飼い主のムッシューがにこにこと、未だ10ヶ月なんですよ、と教えてくれる。なんと、トンカとほぼ同い年。マダムがトンカの名前を聞いてくるので、シェパード君の名前を聞くと「TSUKI」と教えてくれた。「ツキ?」


ええ、そうです。「月」を意味するのです。


ええっ?日本語の名前を付けたのですか?


娘が日本の文化が大好きで、娘が選んだのです。


まあ、そうなのですか。びっくりしました。日本のアニメが好きなのかしら。


日本の文化全体に興味があるのです。お料理もするのですよ。海苔巻きも上手に作りますよ。そうそう、先日もお菓子を作ってくれました。


そうなのですか。それはすごい。お菓子って、何を作ったのかしら?


それまでちっとも会話に入ってこないで、知らんぷりしていた少女に声を掛けると、ちょっと頬を赤くして、「名前、ど忘れしちゃいましたけど、小豆で作るペーストです。でも、失敗しちゃいました。」「餡子を作ったの?すごいわねえ。」


マダムが「すごく甘いのですよね。」と言うので、塩を一つまみ入れて、砂糖の量を控えめにできることを伝える。塩を入れるなんて書いていなかったとびっくりする少女に、どんなレシピにも隠し味や敢えて書かない秘密があるものなのよ、とウインクする。


隣ではツキとトンカが、ノンストップの駆けっこを止め、地べたにへたばって休息のポーズを取り始めた。


それでは、またお会いしましょうね。そう言って、我々は彼らが来た方向に進み、彼らは我々が来た方向に進み、別れた。


こんな森の中で、小豆から餡を作る少女に出会うなんて、なんて奇遇なのだろう。我が家のバッタ達でさえ、餡は作ったことがないのではなかろうか。どんなレシピを使っているのだろう。大福にしたのかしら。餡だけで食したのでは、確かに甘過ぎるだろうけど、餡パンにしても美味しいし、フルーツにもぴったりなんだけどな。


そんな思いを巡らしながら、自分よりも三倍も大きなツキに引けを取らず、一緒に駆け回って遊び、ご満悦の様子で威風堂々と歩いているトンカに目をやる。なんだか随分と頼もしくなってきたではないか。にんまりと思わず笑みがもれる。



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2022年10月2日日曜日

アミューズブッシュ

 







太るから、もうデザートの差し入れはしないでよ、と笑って言っていたお向かいのマダム。健康上ダイエットをしているとのことだったので、協力しなくてはと思って暫く差し入れを控えていた。それでも、一度庭の林檎で作った自然の甘みを活かしたコンポートのパイを差し入れしたら、いたく喜んでくれたので、ほっとしたものだった。


今回も、ほんの一口ばかりの、正にアミューズブッシュをお届けする。バニラビーンズの香りを活かした、口でとろけんばかりの優しい甘みの一品。小さな白い花を添える。


マダムは大層喜んでくれて、庭の無花果を採っていってと誘ってくれた。我が家の庭からは置いてきぼりを食ったトンカの悲痛な声が聞こえる。マダムは笑って、犬も一緒に連れていらっしゃいよ、と言ってくれた。


トンカよ、悪さをしないでおくれね。そう声を掛けた筈なのに、一直線にマダムの玄関から家に入ってしまう。あら、あら、あら。慌てて追いかける。マダムのキッチンで嬉しそうにしているトンカを発見。まだいたずらはしていない様子に安心するが、今度はマダムの部屋に飛び込んで、ベッドの上に乗ってしまう。だめだよ、トン。


大急ぎでトンカを部屋から出して、庭に連れ出す。マダムは怒るどころか嬉しそうに笑っているので、一安心するが、今度は嬉しそうなマダムに向かって飛び上がっての挨拶をしたがってしまう。トンちゃん、ちょっとマナーが出来ていないなあ。これも日頃、甘やかしすぎているからか。


ぽってりとした無花果をたくさん頂き、我が家に戻る。その日の我が家のアミューズブッシュは無花果が添えられたことは言うまでもない。マダム、ありがとうございます!



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2022年10月1日土曜日

受け継がれし猟犬の血

 





随分と前からYoutubeにしろTwitterにしろInstagramにしろ、とにかくストーカーに合っているかの如く、私の関心が高そうなテーマの記事、動画を知らせてくる。AIによるものだとは分かっているが、気味が悪いし、賛同する内容のニュースしか見ないことになり、非常に偏った情報に埋もれてしまうとの懸念もある。


が、嫌なことばかりではないから、それこそ嫌になってしまう。


そのお陰で発見、発掘した情報も少なくない。その中の一つに犬の動画があり、ついついでれでれと幾つもの動画を見続けてしまう。暫くして、一つの疑惑が次第に確信にと変わっていっている。


トンカの血統についてである。勿論、母親は純白のゴールデンレトリバーであることは分かっている。父親についての情報が皆無で、森の精だと冗談で言ってはいたが、常に頭の片隅に気になることとして残っていた。


別にどんな血統であろうと、トンカはトンカに違いはないのだが、何せちっとも母親に似ていないし、身体のサイズも、ゴールデンにしては小さめで、筋肉質。最近川に足を入れて水を飲むようにはなったが、水浴びがそんなに好きな様子ではない。


犬らしい愛らしさを持ち、あけっぴろげな甘え方をするものの、べたべたした関係は歓迎しない。他の犬と挨拶する時には、カンガルーの様に跳び上がる。小川は水浴びするためではなく、飛び越えるためと言わんがばかり、すばしっこく対岸から対岸へと飛び回る。


時々、肩を上げて獲物を狙うかのような格好で様子をひっそりと窺っていることがある。鹿や兎、雉など、見かけた途端に追いかける。急斜面な崖でも平気で、走り上っていく。


そう、トンカには猟犬の血が流れているに違いない。


今まで出会ったどの犬よりも速く走るし、すばしっこい。猟犬としての特徴をたくさん持ち合わせているではないか。ひょっとしたら障害物競走などに出たら、一等賞になるのではないか。


それでも、トンカは猟はしないし(させないし)、障害物競争などにも出ない。それで、いいよね、トンカ。我が家のメンバーとして、我が相棒として、大いに幸せであって欲しい、ひたすらそう願うのみ。


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