2015年12月13日日曜日

最後の言葉




もうこれからは何も言わないと思う。
だから、最後だと思って聞いてね。

さっきの態度は何なの。マリ(バイオリン教師)に何を聞かれても、ろくな返事もしない。親として恥ずかしかった。ママだって大変な思いをして金曜の夜は会社から帰ってきて、あなた達をレッスンに連れて行くのよ。先生だって、金曜の夜は夕食も食べないでレッスンをしてくれているって知っているでしょう。それが先生の仕事で、それで報酬を得ていることは確か。でも、それでもああいった態度をされると、さすがの先生も「やる気がないなら帰ってください。」となるよ。

あなたにとっては、もはやバイオリンは楽しみでもなくて、自分のやりたいことの障害でしかない。宿題ができない、友達と会えない、スポーツの試合に行けない、とにかく、バイオリンをしたい気持ちがなくなってしまっている。

それならそれで、いいのかもしれない。もうやめればいいのだと思う。

でも、本当にそれでいいの?

音楽は宇宙の秩序を表現している。

あんなにやる気がなさそうにしていても、一旦弓を持って弦を弾くと、宇宙まで届く音の粒が流れ出すじゃない。あんなことママにはできない。きっとそれができるあなたにとって、バイオリンを弾くことは、すごいことなんだと思う。今は気が付かなくても、あなたの人間形成上、何か大切なことがあるんだと思う。

だから、あなたの態度がひどくても、連れて行っていた。けど、それを自覚してね。本当にあの態度はないよ。もう16歳。親がどうのと言う年齢ではない。自分の人生をしっかりと歩み始めているのだから。だから、自分の態度にも責任を持って、その影響もしっかりと受け止めるのよ。
さあ、これがママからあなたへの最後の言葉。


大きな溜息が聞こえる。

もしかしたら、これから最後の最後の最後と続くのかもしれない。けれど、最後の一つであることは確か。もしかしたら、じゃあ、バイオリンを止める、と言うかもしれない。それも彼の人生。自覚をしなくてはならないのは、私の方か。


いつもより温かな冬の空を仰ぐ。








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