2012年9月26日水曜日

雨の日にはサングラスを




どんよりとした雲が立ち込めていた空から
遂に冷たい粒が降りしきる。

9月も最後の週に入ってしまい、そろそろ夏時間も終わろうとしていることに気がつく。
秋分の日が過ぎてから、朝、家を出る時に車のヘッドライトが必要になっていた。

夕闇が迫っているのか、銀の粒はどんなに降り注いでも、空は一向に明るくならない。
ワイパーのスポンジが古くなってきたのか、フロントグラスを軋みながら雨粒を弾き出している。
こんな日は、道路は混み勝ち。
それでも、トンネルに入ってから、車の流れの勢いは変わらず、
ちょっとしたスピードまで出しながら、トンネルの向こうに光が見え始める。

と、後方から迫る車が目に入る。
キラリとしたヘッドライトに、白い車体。
ひょっとしたら、との思いが過ぎる。
ナンバープレートを確認しようにも、やや遠過ぎる。
いや、番号を見たところで、実は、確認のしようがない。

エンブレムが見え、
思い描いていた車である可能性が濃厚であることが判明する。

トンネルを抜けると、他から入ってくる車線との合流地点にさしかかり、
勢いスピードダウン。

サングラスに、白いシャツ。

どんぴしゃり。

バックミラーに台湾の妹から贈られた犬のお守りをかざす。
サングラスの口元から白い歯がこぼれる。

どんぴしゃり。

車が流れ出すと、
激しく雨が降りしきり、
銀色の世界が広がる中、
見失わないように、バックミラーで確認しつつ、
流れに沿って走る。

まぶしい銀の雨の世界は、光の反射で見えにくい。
サングラスをかけてみると、
落ち着いた色彩が戻ってくる。

雨にはサングラスが一番。

暫くすると、国道に出て、信号の赤で並ぶ。
ゆっくりと窓を開け、サングラス同士で挨拶。

見上げると、銀の世界が開け、青空に虹。



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