2021年4月19日月曜日

至福の時間

 




末娘バッタが一人奮闘する田舎の街に、週末激励のために息子バッタと訪れる。たっぷりの新鮮な野菜でリフレッシュし、美味しいご馳走でエネルギーを蓄え、いざという時の瞬発力につながればと終日料理に勤しむ。

既に二年前に違う条件ながらも同じ試験をかいくぐっった息子バッタ。自分の好きな道に進学したとは言え、夜中まで宿題に励み、週末も暇さえあれば分厚いテキストを出し、ノートに何かを書き留めている。かと思えば、ラップトップに超高速で何やら打ち込んでいる。こんなに勉強するものなのか、と感心してしまう程。

ちょっと息抜きをしようよ、となり、久しぶりに一緒にのんびりと散歩する。

先週末既に訪れたはずなのに、息子バッタから教えてもらうことが多く、二人で笑ってしまう。とにかく彼の情報収集力は桁違い。いや、私の能力が低いだけなのか。建造物の歴史にしろ、買い物情報にしろ、とにかく発見ばかりで何やら新鮮。あとから末娘バッタにも教えてあげよう。試験会場の歴史的情報などは、彼女のインセンティブアップにつながるに違いない。

ぶらぶら歩いていると、「本屋さんだ」、息子バッタがつぶやく。小さな店舗のフロントはガラス張りになっていて、近づくと、驚いたことに読みたいと願っていた本が目に飛び込んできた。

異次元にでも入ったかのような空間は新刊書もあれば思想や芸術の本もあり、児童書コーナーもあったりで、書店のオーナーの趣味の良さが心地よい。息子バッタも読みたい本を選びだした模様。こんな田舎の街で本屋に入り、好きな書に出会う幸運にうっとりとしてしまう。そして、本屋に立ち寄る習慣を持つ息子バッタを愛しく思う。

次の週末は何時頃に来ようかと末娘バッタに相談すると、自分のためにそこまでしてくれなくていいし、すごく申し訳ない、といった曖昧な反応をされる。ママが来ることが負担になるなら、ママは来ないわよ、と返事をするものの、なんだか釈然としない。

朝8時から夕方18時まで、毎日繰り広げられる闘いに向け、ちょっと値が張るけれどエネルギーバーや眠気覚ましの発奮剤は必要だと、息子バッタが教えてくれる。そんなことに気が回っていなかったので大いに感謝すると、二年前の彼の時はパパが買ってくれたとつぶやく。そうだったのか。パパへの感謝の気持ちが、こじれた関係を少しは補正してくれればとひっそりと願う。

夕方、お醤油がきれたからと買い物に出て戻ってくると、カウンターで息子バッタがラップトップで何やら作業をしており、ソファーでは末娘バッタがフランス語のテキストを読んでいた。そのままキッチンに立ち、生姜を刻みながら、予想もしていなかった充実した豊かな時間に心震える。

週末に来るのは、ママの為でもあるのよ。こんなに心豊かな時間を過ごせる状況を作ってくれたことに、感謝しているのよ。ありがとう。

そう言って、末娘バッタを抱きしめる。
至福の時間をありがとう。来週末は長女バッタと来るからね。

最高の笑顔が返ってきた。
彼女の挑戦に幸多からんことを。



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