2022年9月7日水曜日

初めてのお留守番

 





9月に入ってから一日中家を開ける時も、トンカに一人で留守番をしてもらわねばならなくなった。比較的仕事場に拘らない頼みの綱であった研究職の長女バッタから、トンカがいる家では仕事にならないと、半泣き状態で断られてしまったので、諦めるしかなかった。


トンカが赤ちゃんの時には、長女バッタが難しい時には、友人に頼んで日中だけでも彼女の家に連れて行ってもらったり、それが難しくても散歩に連れ出してもらったりしたが、なんだか彼女の犬好きと、困っている人がいたら放っておけない優しい性格に付け込んでいるようで、よほどのことがない限りはお願いしないでおこうと思い始めていた。


相手が断りにくいことをお願いしてはいけない。まったくその通りではないか。しかし、どうしようか。


変なもので、我が子であるバッタ達の時には、彼らが3か月になって産休期間が終わると、ベビーシッターのヌヌに早朝から家に来てもらい、当然のように会社に行ったものだった。同じように、トンカだってもう9ヶ月になるのだから、一人で留守番ぐらいしてもらわねばなるまい。そう自分に何度も言い聞かせ、トンカとうまく共存していくためには、お互い少しずつ譲り合わねばならないこともある、と結論付けるも、まだ悶々と悩んでいた。


庭で放し飼いにしておくことも考えたが、何せ私がずぼらな性格なので、我が家の門や塀は非常に簡易で簡素なものである。トンカがちょいと本気を出せば、問題なく乗り越えて道路に行けるだろうし、いたずらな子供たちがひょいと門を開けることだってあり得る。押し売りが誰もいないのかと、ずけずけと庭に入ってくることだって大いに考えられる。


毎日たっぷりと散歩をしているので、トンカに逃走癖はなさそうだが、とにかく好奇心の塊なので、門が開いていたり、外でにぎやかな音がしたり、お仲間が通ったりしたら、ひょいひょいと外に出て行ってしまい、車にはねられてしまうことだって大いに考えられる。


と、なると、我が家で一番広いスペースであるリビングに一人で留守番をしてもらうことが最善策であると思うに至った。


朝から家を空ける日は、6時に起きて30分の散歩に出ることにした。フランスの9月は日の出が7時以降なので、未だ星が瞬いている中、トンカといつもの散歩コースの最短版に出ることになる。朝靄が出ていたり、真っ暗な場所があったりと、いつもとは様子は違うが、トンカは早朝の冷たい空気が大好きなので、足取り軽く散歩を楽しんでくれるだろう。


散歩から戻ってトンカが気分よく大好きなソファーでくつろいでいるところを見定めて、そっと出掛けてしまおう。バッタ達の時もそうだったが、変に別れの挨拶はしないことにしている。実は私自身が頭の切り替えをする必要があることが最大の理由。変な後ろめたさを引きずっていては、せっかくの一日が始まらない。


そっと大好物のヤクのチーズを置いておくことと、インターフォンのスイッチを切っておくことは忘れないようにしよう。


こうして10時間後に、転がるように帰ってくると、チーズの塊を口に咥え、もう自分でもどうして良いのか分からないぐらい興奮して、張り倒されんばかりの勢いで大歓迎を受けた。慌てて外に出してあげて、目一杯褒めて、可愛がってあげる。


そそくさと木陰に走り込み、用を足し始めた頃に、そっと家に戻り状況を確認。


そして、驚いて立ちすくんでしまう。朝家を出た時と何もかもがすっかり同じではないか。ソファーも齧られた形跡はないし、マットも最初に置いてあった場所から移動していない。テーブルの上の何かをひっくり返したり、本棚から本を引っ張り出したり、パイナップルの植木を穿った形跡は一切ない。そして何より、室内でまったく用を足していない。


とすると、家で仕事をしている時に、本を齧ったり、ソファーをひっくり返したり、カーペットを齧ったりするのは、私がいるからなのか。観衆がいないと、一人、静かに昼寝をしているのだろうか。これには本当に驚いてしまった。


ここであんまり褒めないことにしよう。下手に褒めて、次は全く違った結果になりかねない。それにしても、期待以上にお利口だったトンカに、おみそれしました、と頭を下げねばなるまい。トンカの大好きな干芋スティックをあげよう。とにかく、着替えて早く散歩に連れ出してあげよう。


ありがとう、トンカ!君はすごいよ!



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