2012年5月6日日曜日

コマドリ~ルージュゴージュ(紅い喉)~と戯れて




一晩中降っていた雨で土草はぐっしょりとし、
一向に晴れやかな朝を迎えないままに
今にも泣き出しそうな
どんよりとした低い空を背に感じつつも、
運動靴を履き、
作業用革手袋をし、
伸びきっている芝に立ち向かう。
いや、雑草か。

いつもなら、草を刈る時の特有の
青臭ささと爽やかさが混合した香りを放つのに、
今日は濡れそぼった芝草が
むしりとられる格好になるからか、
時々モーターが止まり、刃の周りにびっしりと固まった濡れた草葉の塊を除く作業が必要で、
香りなど、ちっとも立ち込めてこない。

ぐっしょりとした根を刈り取って、
土までも掘り起こしてしまうよりは、
むしろ手で、一本一本の雑草を抜いた方が
すっきりといく。

それでも、大きなビニール袋に二つは、
刈った草が積みあがり、
気がつくとじんわりと背中に汗を感じる。

友人の7歳になるお子さんが、
先日、事故にあって入院したとの知らせが入る。
その友人は緊急メールにさえ返事ができず、申し訳なかった、としている。
漸く落ち着いたので、これから溜まっている仕事に取り掛かる、と結んでいる。
事故といえば、咄嗟に交通事故、と思うが、どうやらそうではないらしい。
それならば、交通事故、と明記するであろう。

暫くして、
私のお見舞いメールに、
もう2週間もすれば、息子も歩けるようになるだろうし、峠を越したよ、
と返事が返ってくる。

そんなに酷い怪我だったのか。
確か3つになるお子さんもいるはず。
家族全員、どんなに大変であったろう。

そう思っていると、知り合いから新たな情報が入ってくる。

どうやら、芝刈り機が事故の原因らしく、
足の筋を切ってしまったとか。

芝刈り機を扱っていたのは、友人か。
いや、彼の若い妻か。
或いは、20歳になっている彼の息子か。
それとも、本人か。

いずれにしろ、どんなに衝撃的であり、どんなに大変であったろう。

昔、息子バッタと末娘バッタが二人仲良く芝刈りをしてくれ、
芝刈り機で電線を切ってしまったことを思い出す。

事故。

身震いのする思い。

芝刈り機の手を止めて、
そんな思いに耽っていると、
目の前をオレンジの喉をしたコマドリが遊んでいる。
掘り起こされた土の香りに誘われたのか、
全くの警戒心なく、
ミミズをついばんでいる。

ルージュゴージュ(紅い喉)。

芝刈り機は危ないのよ。
気をつけなさいね。

そう言ってやるが、
相手はちっとも気にせずに、
相変わらず芝を刈る私の傍を離れない。
危険ともなれば、
その羽で飛んでいけば良いのだけど、
身を危険に晒していると思った時には、
もう、遅い。

なんだか、ルージュゴージュが友人の息子さんに思えてきてしまう。

取り敢えずは、今日の芝刈りは終わりとしようか。
可憐なさえずりに
私の口笛が混じる。

弱弱しくも太陽の光。


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3 件のコメント:

  1. あかうな6/5/12 17:42

    クッカバラさんこんにちは。怖いですね。このお話は。お友達のお子様がどうぞ元気に回復されますように。お祈りさせてください。私も自動車を運転する時、うんと気をつけます。事故はどこに転がっているか分からないですね。バッタ君たちも気を付けて草刈してくださいね。あ、クッカバラさんも!

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  2. あかうなさん。
    有難うございます。元気が一番ですよね。あかうなさんも、お子さん達も今日も息災でありますように!

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  3. あかうな8/5/12 05:43

    ありがとうございます。

    返信削除