さくらんぼの白い花が枝にこんもりと咲き誇り、
地面は可憐な草花が咲き乱れ、
一気にリラの蕾が形を成し、
チューリップが一斉に固い蕾の色づいた先から、どんどんと開き始め、
春が駆け足に過ぎていこうかの勢い。
太っちょの鳩たちが毎日の様に足を運び、
枝を折らないかとの、こちらの心配を余所に
思った以上に空高く、枝から枝へと飛ぶ。
我が家の庭に、何があるのか。
様々な鳥たちが、
自分達の時間をきっちりと守って舞い降り、
土を啄ばみ、
仲間と遊ぶ。
鳥のけたたましい囀りが
駆け足で過ぎ去らんばかりの春を謳っているかのよう。
いつもなら心地よい春なのに、
一人だけ取り残されてしまいそうな、
そんな焦りに押し潰されてしまいそうな、
息苦しさを覚える。
真っ白な塊のさくらんぼの花に埋まれ、
息さえできない心地になる。
寝付かれぬ夜。
窓がやけに明るい。
誘われて外を見れば、
煌々とした月。
昔からの知り合いに会ったような思いに囚われ、
思わず身を乗り出してビズを投げる。

にほんブログ村
↑ クリックして応援いただけると嬉しいです
皆さんからのコメントを楽しみにしています
0 件のコメント:
コメントを投稿