2013年6月16日日曜日

午前1時半



聞き覚えのない機械音。
目覚ましでもない。
受信音であることに気が付いた時点で、
もう電話に出ていた。

『ママ、ごめんね。』
長女バッタの半泣きの声が届く。
そうか、
やっぱり電話が来たか。

高校一年最後の登校日。
夜は友達の家でパーティー。
夕方、わざわざ遠くに住む別の友達の家に集まって、
仲良しの女の子数人で準備をするとかで、
何度も着替えた結果、黒の超ミニとブルーのTシャツに身を包み、
ハイヒールを履いた彼女を送って行っていた。

帰りは、夜中過ぎるという。
別の友人と乗り合わせて帰るので、ママは先に寝ていてね、
と言われていた。

その、別の友人の名前を聞くや、
彼女の親御さんが夜中に車を出すとはどうしても思えず、
いや、とても過保護なぐらい娘を溺愛しているとみられるが、
どうも教育方針が我が家のものとは違って、
若いうちに、なんでも経験、をモットーとしていることは、
常々感じており、
長女バッタには、大丈夫なのかしら、と言ってみた。

友人を疑われたことを心外に思って、
興奮しながら反論する長女バッタ。

さすがに、
こういったパーティーにはアルコール、ドラッグ、時にはセックスまでもが
オプションであると聞いているので、
同い年の娘を持つ親として、
彼らだって、夜中過ぎに、必死で娘を迎えにいくのであろう、と思われた。

ところが、である。
その肝心の彼女が、パーティーもお開きとなり、
これから別の場所に移る仲間たち、
その場で泊まる仲間たち、
乗り合わせて帰る仲間たちに分かれ始め、
騒然とし始めると、
返事もあいまいとなり、
どこか友達の家に泊まりにいくらしいことを告げたという。
慌てて、他の友達に助けを求めるも、
皆、ぎゅうぎゅう詰めで車に乗り合って帰ることになっており、
ネズミの入る隙間もないらしい。
どうやら100人近い参加者の大パーティーながら、
同じ方向に乗せて行ってくれる車は見つからず、
困り果てた長女バッタは、
仕方なく、母親に助けを求める電話を掛けることにしたらしい。

午前1時半。

外に出ると、
思ったよりも暖かく、
空は満天の星空。

車に近づくと、
それでも窓ガラスは結露しており、
温度計は9度を示している。

バカだなぁ。
友達を見る目がないんだから。
そう思うも、こんな時に裏切られて、情けなく、悲しい思いをしているだろうと、
思わずアクセルを踏む足に力が入る。
大人の仲間入りしているつもりでも、
やっぱり未だ子供。
自分を守るのは、自分なのよ。

お説教をしたら、せっかくの楽しいパーティーの後味が悪くなるだろうし、
切ない思いをしているのは、長女バッタなのだろうし、
ここは、
無言で迎えようか。

帰る手段は、人に頼らずに自分でなんとかすべき。
当たり前のことながら、これまで自分に課していたルール。
長女バッタにも伝えねばなるまい。

大豪邸らしき家の前に近づくと、
路肩にぎっしりと真っ赤なテールランプが並んでいる。
確かに、我が子を守ることも親の責任。

携帯で長女バッタに着いたことを知らせる。




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