2013年6月19日水曜日

30度の炎天下で



「ママ、ちょっと窓を閉めて。」
えっ?
この炎天下を?30度もあるのに?
それでも、慌ててスイッチを押す。
外からの、ぬるいながらも空気の流れが止まる。
冷房をかけようか。
いや、喧騒をシャットアウトするために窓を閉めたのだから、
冷房の騒音だって、気になるだろう。
むっとした空気の中、ヘンデルのソナタ第一番イ長調が流れる。
彼は気にならないのだろうか。
じっとして聴き入っている。

「銀行に寄らないの?」
えっ?
ああ、先ずはスーパーでちょこっと買い物と思ったのだけど。
スーパーの駐車場がもう目の前。銀行なら遠回り。
「銀行までの時間、聴いていられると思ったんだけど。」
そ、そうか。
駐車場を素通りして、銀行に向かう。
第一楽章から第四楽章まで、
ソナタは長い。

バイオリンを止めると宣言した息子バッタ。

ところが、先日のレッスンの時に、ヘンデルのソナタ第三番を終えた息子バッタに、
今度は、ヘンデルの第一番と第四番、どちらにする?好きな方を選んで頂戴、と先生から告げられ、第四番は未だ良く聴いたことがないので選べないから、CDを買おうとの展開になっていた。

ここまで手塩にかけて育てた弟子。これからのコンサートの強力なメンバーなのに、簡単には止めさせないわよ。
その後、バイオリンの先生がにんまりと笑って、こっそり私にウィンク。

不思議な思いで、頭がぼーっとし始める中、ヘンデルに聴き入る。
突然、バロックの音が弾け出す。
バッハのバイオリンコンチェルト第一番。
以前、遊びに行った台湾の甥が毎日、泣きながら練習していた曲。
先生がレッスンの最後に通して弾いてくれて、さながらミニコンサートとなり、
心酔した曲。
台湾の蒸し暑さが思い出され、シチュエーションはぴったり。

息子バッタは何を考えているのだろう。
何を思っているのだろう。

「バッハの曲は、ヨーヨーマには敵わないよね。」
無伴奏協奏曲ジーグ。
これは、チェロのための曲だものね。

これから、まだまだ、どう変わるか分からない、ローティーン。
ドアを開けて、爽やかな空気の中に飛び出す。



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