2013年7月29日月曜日

ブルターニュの風





のんびりとホームメードのクエッチカクテルを楽しんでいると、
携帯が震える。
長女バッタからの着信音でもなく、
デフォルトで設定されているもの。

見れば、ブルターニュの島でバカンスをバッタ達と送っている筈の彼らの父親から。

斜め読みをすると、悲痛、怒り、石、息子、などといった物騒な単語が目に飛び込んでくる。
慌てて、姿勢を正し、じっくりと読む。
二度読み、三度読み、ため息が漏れる。

どうやら、息子バッタと喧嘩をしたらしい。
息子バッタが友人宅へ夕食に行った帰り、彼の自転車の片付けを巡って父親と口論になったと思われる。これは、勿論、父親バージョンではあるが、近所に響き渡る大声で父親を罵倒し、揚句、石で脅し、荷物をまとめて、母親のもとに帰ると居直ったとか。先ずは謝るべき話であって、バカンスを途中で勝手に終えて帰ることは罷りならない、とすごい剣幕。これが僕たちの息子なんだよ。と締めくくっている。

やれやれ。『僕たち』ときたか。
そりゃあ、僕たちの息子であることは確か。しかし、彼が石で父親を脅すなんてこと、考えられない。一体全体何があったのか。

「ちょっと驚いているわ。信じられない話だけれど、大変そうね。大丈夫?彼と話そうか?」
そう書き送る。
息子バッタのバージョンも聞かねばなるまい。そして、長女バッタは一体何をしているのか。彼女にも「パパたち、喧嘩?どうした?」と書き送る。

すぐに長女バッタから電話が入る。
友達の家にいるけど、とにかく帰って様子を見るという。

今度は、父親から電話。

外から帰ってきた息子バッタが、自転車を家の中にいれたがるので、家の中は困る、自転車は家の裏に置くか、近所のパピー、マミー(祖父母)の家の物置に置くか、どちらかだと告げると、息子バッタが自分の好きにすると、激怒。
庭に回って、自転車にビーチタオルをかけているところに、父親が怒って出ていくと、
足元の石を拾って威嚇したとか。
「警察を呼ぶところだったよ。」
そういう彼に、こちらが驚く。
それから、荷造りをして、ママのところに戻ると宣言し、部屋にこもっているらしい。

先ずは、石について確認。
彼は投げていない。
自分の図体が大きくなっていることに気が付かず、
父親の剣幕に対して、怒りを発散するために、足元の石を手にしたに違いない。

興奮している父親の話をじっくりと聞き、
それから、ティーンの特徴を指摘。
大人のような身体。
大人として扱われる場合がある一方で、子供として求められる行動もあり、
それに対する反抗がどうしても出てきてしまう。
そして、自分をコントロールする精神がまだ育っていない。

そう告げると、
「君の時も、そうなの?君に対しても、こんな態度をとることがあるの?」

「そりゃあそうよ。そんなこともあるわよ。その時には、しっかりと伝えてあげるの。怒らないで話しかけるのよ。」

そう言いながら、実は息子バッタとは、滅多に、いや一度も口論していないことを思う。
慌てて、長女バッタとは何度も口論に至り、大変なこともあると伝える。

「そうか。僕は彼女とはうまくいっているよ。」

ちょっと落ち着いてきた様子。
いかに彼がパパとのバカンスを楽しみにしてきたか、パパのことを尊敬しているか、について伝える。

「だったら、なぜこんな。。。」

だから、素直になれないところがティーンなのよ。
怒らないで、静かに、どんなにパパが驚いて傷ついたかを伝えてみてよ。
彼の方も、パパの気持ちまで考えられていなくて、でも、辛くて悲しい思いをしていると思うよ。

そうして、慌てて加える。
何かパパと問題があれば、ママのところに帰ろうとするって考えは、いただけないわよね。

それを聞いて安心したことが音波に乗って無言で伝わってくる。
今、外から電話をしているけど、雨が激しく降ってきたから、とにかく、家に戻る、と言って、電話が切れる。

彼がひと月借りた家の大きさも、庭があるのかも、そんなことは分からない。
自転車を雨から守る、そんな息子バッタの思いは、私には分かる。
でも、借りた家の玄関に入れることは駄目だとの父親の判断も分かる。

一人、部屋で泣きじゃくっているだろう息子バッタを思う。
長女バッタが話を聞いてあげられればいいが、きっと喧嘩になるんじゃないかと思われる。

息子と問題があるたびに、
途方にくれて母親の私に連絡をする父親。

息子バッタに言ってあげたい。
しっかりと抱きしめて。

ママは、すぐにも迎えに行ってあげたいよ。
でも、それって、今あることから目を背けることになるよ。
先ずは、パパと話をしないと。
パパはいつだって命令口調で指示をする。
それが嫌だってこと、分かっているよ。ママも嫌よ。
でもね、
それがパパ、なの。
そういった相手と、上手にやりあうことも、していかないと。

息子バッタに携帯を持たせていないことに、
初めて、ちょっとだけ後悔。
でも、
きっと、彼なら分かってくれる。

開け放たれた窓から
暗闇の世界から涼やかな夜の風が届く。。。



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