2021年12月2日木曜日

冬の朝

 





咲き終えた薔薇の花殻を切りながら、今年はこれが最後かもしれないと思う。そう思い続けて師走になってしまった。早朝に車を出すこともなくなってしまったが、道を歩いているとフロントガラスの霜を削る音が聞こえてくるようになった。それでも、薔薇の蕾が膨らんでいる様子に、なんだかいつもとは違う生命の輝きを見るように思う。


朝日に照らされ、深紅の色合いが更に深みを増す。燃え尽きる前の炎と言おうか。


同じ現象でも、見る側の心情の違いで印象が大きく違うのだろうか。薔薇のように、この命尽きる前に、もう一度、大きく咲き誇ろうか。


冬の朝。真っ白な息を胸に気持ちよく吸い込み、一日が始まる。



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