2022年12月8日木曜日

無農薬国産大豆の糸引く自家製納豆









バッタ達が幼い頃、夏の長いバカンスを利用して、6月、7月と日本の学校に体験入学をしていたことがある。日本の実家から歩いて通える地元の学校、つまり、私が幼少時代に通った幼稚園、小学校、そして中学校に母が掛け合ってお願いをしてくれた。実現できたのは、何よりもひとえに母がバッタ達を引き受けてくれたからで、二ヶ月も仕事を休めない私にとって、本当にありがたいことであった。


帰りのリュックの中身は、バッタ達の大好物の日本の食べ物でぎっしりとなることが多かったが、その中でも一番驚いたものは納豆だった。あれは確か末娘バッタのリュックサックだったと思う。納豆のパックがぱんぱんに詰められていた様子に、先ずはあっけにとられ、そして大笑いしてしまった。


バッタ達の伯父、つまり私の一つ上の兄の大好物が納豆で、夕食のデザートとして、お茶碗にこんもりと納豆を食べる程である。その伯父の食べっぷりを見てか、日本のお米が大好きで、お醤油の味が大好きなことが由来してか、バッタ達は3人とも大の納豆好き。


フランスで納豆が入手できないこともない。パリの日本食料品店に行けば、冷凍納豆が当然ながら日本に比べれば高い値段とはなるが購入することが出来るし、南仏で大豆を生産している農家が納豆を作っていて、予め予約を入れておけば小包で配達してくれる。


しかし、先日日本の実家に戻った際、母が手作りをしている無農薬の国産大豆の納豆を食べた際。艶もさることながら、お味がとにかく美味しくて、心の底から感動してしまっていた。そうだ、納豆を手作りをしよう。


フランスに帰ってくると、早速ヨーグルトメーカーを通販で購入した。なんだか「安物買いの銭失い」の感が拭えないが、とにかくシンプルイズベスト、ということで、40℃で保温できるものにした。大豆は、これも通販で無農薬のBIOのものとした。フランスではとにかく大豆を食用とする習慣がないので、スーパーでも無農薬の八百屋でも販売していない。納豆菌は大切に日本から持ってきた、選りすぐりの国産大豆の納豆のパックを使うこととした。


茹でた大豆を味見をしてみると、とても美味しかったし、茹でたお湯も薄味の豆乳のようで美味しくて、これはいいぞ、とほくそ笑んでいた。あとは、ヨーグルトメーカーにお任せなので、正直何もすることがないのだが、大いに期待をして出来上がった納豆を食べてみて、何かが違うな、と思ってしまった。


豆が硬かったので、茹で時間を多めにすることにしてみたが、あまり改善しなかった。バッタ達が帰宅した土日などに味わってもらったが、大喜びはするものの、興奮が冷めやると、どうもいつもの糸が引かないと、トーンがすっかりと冷えてしまった。糸が引かないのは、保温時間が少ないのに違いないと、いつも以上に保温時間を長くしてみるが、今度は匂いがきつくなってしまった。


そんな様子を日本の母に報告したところ、大豆が違うのかもしれないわね、と日本から国産大豆を送ってくれた。最近漸く日仏間での郵便配達サービスが再開したが、なにせ燃料費高、物価高とかで、大豆に支払ったお金の数倍も郵便料金に取られてしまった様子に、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。それに輪をかけるように、フランス側で受け取る際に、これまた母が支払った郵便料金の半分は税金として徴収されてしまった。そんなこんなで、黄色いダイヤの座を数の子から奪う勢いの超高級大豆様が2キロ程手に入った。


こんな貴重な大豆様をむやみやたらに使ってはなるまい。そう思い、丁度日本に一時帰国するという友人に、納豆菌なるものを日本から持ってきてもらうことにした。粉末なので、ほんの栞程度の重さのパックのものを通販で購入し、彼女の実家に送っておいた。


彼女の帰宅と同時に納豆菌をゲットし、カップ1杯分の大豆を水に一晩漬けて膨らませ、十分柔らかくなるまで圧力なべで煮て、熱々のところをソーサーに入れて、予め水に戻して置いた納豆菌を振りかけ、ヨーグルトメーカーにセットし、保温を開始した。


さあさあ、お立合い、お立合い!


先ずは、うっすらと納豆独特の香りが、嫌味ではなく、さらりと流れる。そして、おおっ!糸がしっかりと引いているではないか!ぐるぐるとかき混ぜ、どんどんと強い糸を絡ませ、お醤油をしゅっと掛けて味見をしてみたところ、嗚呼、弾力ありながらも十分に柔らかく、お味も嬉しくなる程に美味しい。遂に、美味しい手作り納豆にたどり着くことができたか。感無量。


手作り納豆は難し過ぎると、諦めかけていただけに、本当に嬉しい。考えてみれば、納豆菌が成功の鍵を握っていたことになるが、当たり前のことだろう。


納豆をお椀に移す際に大喜びで慌ててしまったからか、キッチンの作業台に二粒ほど納豆が残ってしまった。と、トンカがすかさず飛び上がってペロリ。え。ちょっ。とんちゃん、納豆食べるの?健康には良いだろうけど、これは余りに貴重だから、そうそうあげられないのよ。



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5 件のコメント:

  1.  こんにちは クッカバラさん

    手作り納豆美味しそうと思いながらときめきました。二回で納豆作り成功するのもすごいです。
    私の実家では納豆が食事でもでることがなかったので食事で納豆がある食事が夢でした。自分で食べたいものをおかずにできるようになってから節約ではなく毎日のように納豆ご飯を食べてた二十代、1日一食で足りてたスタイルバッグンを思い出しました(笑 
    玉子、からし、小ネギに醤油を入れ炊きたてのご飯に大粒の納豆を飽きずに食べてました(笑 ある時、節約のためもあって当時付き合っていた彼と一緒に住んだときは彼が外泊する日が至福の納豆デーでした。彼が納豆のにおいが駄目で(笑 足のにおい?とか彼も言ってましたが、私自身足がくさくなく、くさい足の人のにおいを嗅いだことがないのでよくわかりません。クッカバラさんは足のくさい人に会ったことありますか。


    豆腐もですが、近年はなかなか美味しいものにであいません。値段に関係なく乳製品やパンなども下手なもの食べるとかえりがこわい。。日本はきれいな食べ物が少ない現状でJAも。。
    クッカバラさん実家の手作り大豆ものすごい貴重ですね。むちゃくちゃ  羨ましい!!!!!今や日本国産の大豆は今では少ないですから。
    二粒とはいっても残せない!!



    つい最近でのグルテンフリーのお菓子欄ですが、さつまいもで真似てみようかと思いました。ようかんを作る予定でしたが、お菓子作りが得意ではない私でも失敗せずできるかもと思いながら(笑) さつまいもの甘味をひきだすために特殊な熱の入れ方をした芋なので栗のような感じでブログを読みながらすでに芋のペーストがちょうどあるので(笑)生クリーム買いにいってきます。



    保険屋が金儲けのために標準体重ですからね(笑 毎日あほとばかにできるだけでくわさないようにしたいですね(笑 

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  2. 匿名さん、

    楽しいコメントありがとうございます!
    幼少時代に納豆が食卓にのぼらないとは、西日本のご出身でしょうか。

    それより「足のくさい人」って、足が蒸れてくさくなってしまった人、ということでしょうか。夏に靴下を履かずに、運動靴を履いて運動でもしてみてください。「足のくさい人」いっちょできあがり!ふふふ。

    バッタ達が中高時代、サッカーの練習後や陸上クラブの練習後の子供達を車で4人ピックアップした時、男女問わず、窓全開にしても鼻が曲がるような思いで車を運転していました。友達大勢呼んでのディナなど、玄関に散らばった(いえ、ちゃんとお行儀よく並んでいても)何足もの運動靴からも、ティーンの苦悩の香りが漂っていました(;^_^A

    匿名さん、日本にいらっしゃるのでしたら、美味しいお豆腐、簡単に入手可能なのかとばかり思っていました。そうそう。お芋で作ったケーキ、お味はいかがでしたか?想像しただけでも美味しそう💛 でも、そのまま熱々に蒸したところをいただいても、美味しそうな薩摩芋さんみたいですね💞

    こちら、今朝雪が降っていました。匿名さんも年末の何かと忙しい時期、どうぞお身体大切になさってください。

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  3.  こんにちは
    クッカバラさんのこの欄をみた頃、納豆こうじをつくる前だったので手作り納豆にテンションがあがりまくりでしたが、今日はトマト麹を作ろうトマトを買ってきました。
    バッタちゃん達のリック中身のお話はもちろん暑い時期°はありませんよね?発酵とはいっても腐っているかいなかいかは舌と腹次第(笑 リックに納豆がいっぱいなんて愛くるしいお子さん達です。

    因みに、私はあまり体臭がないので靴下が蒸れても臭い感じではありません。昔、職場の女性先輩が私は大抵革靴履いているから臭いだろうとごっそりこっそり私の靴を何度か嗅いだそうです。しかし、革の匂いしかせず、なんで足が臭くないのと真剣な顔で話された時はかなりどんびきでした。
    だんだん寒くなり((⛄))ですが、クッカバラさんも風邪などひかれないようにお過ごしください。

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  4. 匿名さん、

    トマト麹というものが、この世に存在することを知りませんでした。そもそも、麹は甘酒とか、べったら漬けとか、それこそ味噌ぐらいが身近で、今回初めて手にとって使ってみた次第で、全くの門外漢です。(おっと!自然に出て来た言葉ですが、構成漢字から由来を推察するに、あんまり使いたくない言葉のように思われます。)日本なら、もうちょっと楽に麹が手に入るのですが、色々とバリエーションを楽しむには、自分で麹を作ることから始めないと、と思っています。

    それより、匿名さんの昔の職場でのエピソード、かなり驚きました。私なら、どんなに臭くないと分かっていても、自分のは勿論、人の靴の臭いなんて嗅ぎたくないです。本当はそんなことしていないのに、先輩方に担がれたのではないでしょうか?それに、革靴は、最近の機能性抜群の運動靴は別にして、普通の運動靴に比べ通気性があるので、臭くなりにくいとの認識でした。

    体臭といえば、確かに一般的に日本人は体臭に関して無関心で、シャワーを浴びる時間がなかったとか、デオドラントをしてこなかったとか、同僚が真っ青になっている様子に、最初はかなり驚いたものです。ムダ毛処理に必死になっている女性陣にも同情しました。私がデオドラントをしないと聞いて、同僚の方が余計驚いていましたけれど。その意味で日本女性は随分と得をしていると思っていたのに、昨今では特に必要のない日本女性も、マーケティングに乗せられ、皆でムダ毛処理やらデオドラントに必死になっている様子、それこそ隔世の思いです。

    日本は各地大雪のようですね。今年はホワイトクリスマスでしょうか。匿名さんはクリスマスはどんなご予定でしょうか。どうぞ良い年末をお過ごしくださいませ。

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  5.  こんにちは クッカバラさん

    トマト麹?腐ってとか思いますが、何かしらの転換期を含んでいるかもと思いながら、そちらはさまざまな種類トマトがあるの書いてみました(笑

    靴、足?、?とかありますか、昔の職場先輩女性に居心地良く可愛がれていたので(幸笑)、先輩の悩み事も聞いたり、ツンツンしてました。私の靴を嗅いだ先輩、今も足の臭いが解消していたら良いけど(笑 理屈 、屁理屈ではないことを忘れてなければ(笑




    クッカバラさん 忙しい時期なのでコメント返し気にしないでください。

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