2014年10月12日日曜日

鍾乳洞の住人




ライムストーン。
やけに優しい響きではないか。
建築用石材で一番柔らかく、吸水性高く、柔らかな色調と暖かい質感が特徴。建造物に使われている。いわゆる、石灰岩。石灰岩の主成分である炭酸カルシウムは雨水に溶解するため、溶食によってドリーネや鍾乳洞を造り上げる。

ヨーロッパの水が硬質であることの要因にもなっている。濾過水を使用しても、いつの間にか鍋には白い線がついてしまう。カップに紅茶が残ってでもいようものなら、すぐに洗浄しないと、カップに色がついてしまう。洗濯機の調子が悪くなったり、洗濯しても綺麗にならなかったり、石灰が日常生活に及ぼす影響は計り知れない。

それが、ライムストーン。

この夏、我が家にキノコが生えてしまう事件が起きるが、実はこれもライムストーンが原因。配水管のジョイント部分に石灰が溜まり、水漏れが生じてしまっていた。特に気にしていなかったら、いつの間にかタイルの隙間から床下に漏れ、木のフローリングの一部を駄目にしてしまっていた。手ごわそうな水漏れと判断し、水道配管工に来てもらおうと思うも、足元を見られ、法外なる金額を請求された前回の失敗が忘れられず、困り果てていた。

こんな時は前の家のマダムに話してみるのが良い。案の定、彼女の家に知り合いの配管工が来ると言う。その際に我が家にも寄ってもらうことにした。生憎、週日の午後。学校が早く終わるという息子バッタに小切手を渡し、値段の交渉の時だけ電話をしてくるように指示しておいた。

さて、当日。夕方になっても連絡がないので、我が家に電話をすると、あまり要領の得ない返事が返ってくる。どうやら、何もしないでムッシューは帰って行ったらしい。原因は石灰であり、お酢を使って除去すれば、水漏れはなくなる、と。

そんものかと思ったり、呆れたり。一体、それで本当に何とかなるのか。
兎に角スーパーに飛んで行き、棚にある酢のボトルを買い占める。

それから二週間。いや、三週間か。それまでに何リットルのお酢を使ったか。我が家に酢の匂いが充満してしまった頃、問題の配水管を調べると、驚くことに動き始め、緩みを締めると、水漏れをしなくなったように思われる。

お酢のボトルを15本使ったとしても、せいぜい7ユーロ。これで水漏れが改善されたのなら、安い買い物ではないか。

すると今度は、温水器に問題があるらしい。最初はバッタ達の無駄遣いかと思っていたが、お湯がお風呂に十分な量がない。そして、温度も低く、これから寒い時期に差し掛かるにあたり、どうも心もとない。

恐らく、ライムストーンの仕業と思われる。タンクにびっちり石灰が溜まり、タンクの容量が少なくなったのではないかと睨んでいる。しかし、こればかりはお酢で処置するわけにもいくまい。いや、タンクにお酢を入れてみるか。。。

なんだか、我が家のフローリングもライムストーンに思えてくる。そうなると鍾乳洞に住んでいたということか。いやはや。






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