一人で散歩をするのも悪くない。久々の秋晴れに汗ばむほどで、木陰にリスの姿を見つけ思わず立ち止まってしまう。真っ赤な尻尾が楽し気に動いている。
夕陽に染まる大空を見たかった。
思った通り空は澄んでいて、あちこちで天使が舞い降りてきそうな雲と光の演出が楽しめる。日が落ちるには、それでももう少しある。ゆっくりと坂を下りていくと、そこはコスモス畑が広がっていた。
夢中になって写真を撮っていると、自転車で夕暮れ時の散歩を楽しんでいた初老の男性に声を掛けられる。
「いやに熱心に写真を撮っているようだけど、この花の名前はご存知か?」
「勿論です。コ、ス、モ、ス。コスモスです。」
「これは如何なることよ!ラテン語で宇宙のことではないか!」
確かに、コスモス、宇宙のことを指す。田舎で秋になれば、道端に咲いていたコスモスと、この地球をも包含する宇宙とを結び付けて考えることは、これまでなかった。
男性は、「コ、ス、モ、ス。いい名前だ。コ、ス、モ、ス。」と呟きながら、行ってしまった。
残されて、一人、宇宙の果てまで思いを馳せる。果て?そんなものはあるのか、ないのか。
目の前にあるのは、そろそろ夕陽色に染まってきた、可憐で儚い花びらをつけたコスモスの群れ。
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