2013年9月13日金曜日

緑の木漏れ日




「こんにちは。
お久しぶり。」

自分の声に、想像以上に緊張していることに、驚く。
相手は、じっと見つめ返し、いや、そんなに遠い昔ではない、と微笑む。

勧められ、椅子に座る。
緊張しているのが、相手には伝わるのだろうか。
リラックスして、とささやかれ、瞳が接近する。

金がところどころに鏤められた緑の瞳。
こんなに透明だったかしら、と思う間もなく、
たまらなく、眼をつぶってしまう。

つい、左手を挙げてしまい、
相手が動きを止める。
いや、まだ大丈夫。覚悟して来たのだもの。

その様子をちゃんと受け止めて、
「続けますよ。」緑の瞳が伝える。

目をつぶりながら、
緑の瞳を必要以上に感じ、
生い茂った緑と木漏れ日を思う。

「さあ、今日のところは、もうお終いです。」
ぱちり、と目を開ければ、
緑の瞳が見下ろしている。

慌てて、リクライニングシートが正常位置に戻る前に、
身体を滑らせて立ち上がる。

我慢できるなら、麻酔は極力止めようと思う反面、
痛いのなら、局部麻酔で凌ごうとも思っていた。
なんとか、我慢ができたかな。緑の木漏れ日に救われたかな。

さあ、次のアポイントを取らないと。
これで最後となるはず。
ゆっくりと、手帳をめくる。



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