2013年11月15日金曜日

ある朝の母娘の会話




ママぁ。

どうしたのだろう。すごく浮かない顔。
いつも元気で溌剌な末娘バッタにしては珍しい。
そういえば昨日は頭痛がすると言っていたっけ。寒くなって来たのに薄着をするから風邪でも引いたのだろうか。昨夜は寒いからと、息子バッタが使わなくなった蒲団を一つ余分に掛けている。

ぺったりと張り付いてくる。

特に熱はなさそう。咳もしていない。
あ、まさか。
今年のノエルはバッタ達がパパと過ごすことになるから、一人で惨めな思いをしないようにと、臺灣の妹のところに遊びに行こうと思い始めていた。息子バッタには、二週間丸々行ってくるといいよ、と言われていた。パパのところにいない時は、皆で家にいればいいし、ママはママで遊んできてよ、と。それも悪くないな、と思っていた。が、末娘バッタに同じ話をすると、戸惑った表情が返ってきてはいた。パパのところに行きたくないのかな。もう少し、先に彼女と話しておくべきだったかな。

ママが一人で臺灣に行っちゃうからなの?

えっ?
ぺったりと張り付いていた身体が跳ね起きる。

ママ、違うよぉ。
なんの準備もできていないのに、学校に行くことに気が重いの。
ほら、ママも一週間アルトの練習をしていなかった時に、先生のところに行きたくないでしょう?分かるよね。

おっと。これって、母娘逆の会話ではないか。

末娘バッタは弱弱しい声で続ける。
今日はラテン語、英語のテストがあって、何も準備していないの。漢字のテストは読みじゃなくって、書きのテストなんだけど、これも練習していない。このところ、社会のテストの準備ばかりしちゃっていたから。

そうか。

あのね。一日何もしなかったからって、これまでの力がなくなっちゃうわけじゃないのよ。一日食べなくても、元気はなくなるけど、死なないでしょう。これまでの蓄えがあるからだよね。勉強も同じ。昨日、漢字の練習をしなくて、今日テストで良い点を採れなくても、大丈夫。これまでの積み重ねがあるから、その後で、ちゃんと頑張れば追いつけるよ。今までの基礎があるから、次に進めるのだもの。
バイオリンもそうだよ。見てごらんよ、チャルダッシュ。今度のノエルのコンサートの曲になったからって、練習して上手になってきているでしょう。夏には弾けていた○○君(息子バッタ)は、秋は別の曲を弾いていたので、今になって皆が上手になったからって慌てて朝、晩、時間があれば練習しているよね。追いつこう、上手に弾こうと必死なのよ。

結局、人間にとって敵は我が身なんだよね。嫌だな、まずいな、できないな、と思うのって、自分の心なんだよね。自分の声に負けちゃっているんだよね。

そういうと、ちょっと眩しそうにする。

このところ、ほぼ全ての教科でクラスでトップの成績。それを続けることが如何に大変かということを知ることも大切。努力なしでは、やはり、何もできないということを、思い出すことは必要。

さて、明日にレッスンを控えて、先ずは爪切ろうか。深爪となって、指の先が痛くなるけど、バッタ達に言わせると、そんなことには慣れちゃうらしい。指先を慣れさせなきゃ、いけないらしい。そして、久々に練習をしようか。

親の背を見て子は育つとは言うけれど、子供は全くもって、しっかりと観察している。練習をしていない時に、レッスンに行きたがらない親の気持ちをちゃんと見抜いていたなんて。
思わず背筋を伸ばす。庭では今年最後の蕾となろうか、黄色の薔薇が揺れている。





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