2022年6月8日水曜日

お好み焼きの夕べ

 







ママ、あのね。


トンカを一日面倒を見てくれた末娘バッタが、夕食に彼女の大好きなトロロ芋を摺りながら、とつとつと話を始めた。


冷蔵庫には鶏のモモ肉、ダチョウの胸肉、前日の海老とキノコのリゾットが眠っていたが、お好み焼きが食べたいと言うリクエストに応え、もう暫くは眠ってもらうことにする。キャベツの千切りをし、意外に美味しい繋ぎとなるズッキーニを削る。卵は一つでいいかしら。


キッチンの小さな空間を一緒に肩を並べて、いや、彼女の方が頭一つ以上大きいのだが、Yuvuzela亭のアレンジで特別に美味しくなれとお好み焼きの準備を一緒にしながら、彼女の話を聞いた。


恐らくパパとママとでバカンスの期間を分けていたことに由来するのだろうか。ぎりぎりまで日本に行っていて、帰って来たその足でパパとブルターニュに行くこともあった。むしろ、それが当たり前の様に、ブルターニュから帰って来た翌朝にはイギリスに出発していたり、とにかく時間の有効利用と言えば言葉はよいが、ぱつんぱつんのスケジュールで走って来た。


だからか、末娘バッタはいつだって幾つもの予定を同時に抱えている。子供の頃も友達の誕生パーティーの梯子を提案したのも確か彼女だった。今はパーティーの梯子など、当然のことのようにしているのだろう。分刻みの生活。この間の私とのブルターニュ行きも、帰って来たその夜にはノルマンディーの友人とのキャンプに出掛けていた。そして戻ったかと思ったら、今度はトライアスロン大会にと出掛けて行き、そのまま新学期を迎えていた。


大学生活も、同時に別の大学で単位を取得し、ディプロムを獲得するように頑張ったり、そうかと思うと中学生に日本語を教えてみたり、自治会選挙に出たり、スポーツイベント企画をしたりと、いつ自分の机でしっかりと勉強をする時間があるのか、正直謎だった。


人間は平等に一日24時間しか与えられていない。


ふと、我が身を振り返り、似ているな、と苦笑してしまう。そんな生活が続くわけがなく、どこかで破綻してしまう。しかし、誰かに指摘されても、むしろ反発するだけで自覚しないことには改善できないので、質が悪い。


トンカと一日を過ごして、少しは落ち着いて考えることができたのだろうか。これまでのぱつんぱつんの夢計画の一つを少し考えなおしたい、と告げられた。そう焦らずとも、後二年後にチャレンジしても良いのかと思った、と。


親が自分の夢を子に託しているのではないか、そんな過ちを犯してはいないか、と自戒していたが、彼女は自分で考え、自分の言葉で、自分の夢として語ってくれていることに、心から嬉しく思う。


そうだよね、ママも賛成よ。


肩の荷が下りたのか、すっきりとした笑顔が戻って来た。そして、どんどんと強いエネルギーがあふれんばかりの笑顔にと広がっていく。その夜のお好み焼きが格別に美味しかったことは言うまでもない。



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