2012年7月6日金曜日

我流甘辛くて爽やかなグリーンパパイヤサラダ


非常に簡易なコンクリートのだだっ広い、さながら体育館のような建物に、
山の様に積まれたじゃが芋(泥つき、シンジャガ、大粒、小粒)から始まって、玉葱(白、茶色)、ニンニク、唐辛子(鷹の爪、ハナネーロ、細長いもの、太いもの、緑、しし唐)、
真っ白で太い大根、真っ黒で細めの大根、緑の葉っぱのついた人参の束、極太の人参の山、
ミント、パセリ、バジル、セルフィーユ、ディル、タイム、コリアンダー、フェンネル、ニラ、レモングラス、などの新鮮で香り高いハーブの山、
椎茸、シメジ、平茸、小粒や大粒のマッシュルーム、
インゲン、鞘インゲン、絹さや、モヤシ、グリーンピース、
大きな葉のほうれん草、細長いコージェット、丸い形のコージェット、
ぱんぱんに実の詰まった大きなナス、赤、オレンジ、黄色、緑のポワブロン、
ありとあらゆる種類のトマト、そして、ありとあらゆる種類のサラダ(レタス)、
でんと細長いキュウリの山、
真っ白でみっちりとしたカリフラワー、むっちりとしたブロッコリー、、、。
次の間に入ると、
スイカ、マンゴ、パイナップル、
白桃、桜桃、つぶれた桃、ネクタリン(白、黄の果肉)、
赤林檎、ピンク林檎、青林檎、
レモン、オレンジ、ミカン、グレープフルーツ、チェリー、杏、スモモ、
ラズベリー、苺、ブルーベリー、すぐり、
バナナ、マクワウリ、メロン(赤、青、白の果肉)、
生姜、パッションフルーツ、パパイヤ、ココナツ、、、。

ちょっとヒンヤリとした中で、
各所、各所、鮮やかな、時に甘く、時に爽やかな香りが立ち上ってくる。

この世界に足を踏み入れると、
我が家の冷蔵庫のキャパも忘れ、カートに山積みしてしまう。

それでも、ここに、グリーンパパイヤはない。

ないものねだりなのか。
ないから欲しいのか。
ないから拘るのか。

いつからだろう。
夏になると、グリーンパパイヤサラダが恋しくなる。

遠い昔、パパイヤの香りという、ベトナムの田舎の非常に穏やかで、それでいて香りたつ映画を観てからか、
どこかで、グリーンパパイヤへの憧れが心に植えつけられてしまったに違いない。

緑色をした固めのパパイヤをマルシェで見つけ、
これがグリーンパパイヤか、と一人ごちた、ある夏の日。
冷たくがっしりとした重みを抱え、
早速、ネットであらゆるレシピを調べ、
タイ人による、本格的作り方とやらをビデオで何度も確認し、
これは、と思う材料を揃え、
さあ、と、しっかりと研いだ包丁で、すぱりと切れば、
うっすらと淡いオレンジ色の果肉が覗く。

パパイヤは未だ熟しておらず、
それでも、野菜というよりは、果物に移行していると思われる。

それをどんどん細切りする。
しっとりとした千切りが上品にも出来上がると、
砕いたニンニク、細く切ったトウガラシ、ニョクマム、コリアンダーのソースに絡め、
細めの生インゲン、チェリートマトの4つ切りを混ぜ、
その上に沢山のライムを搾る。

ピーナツを砕いて混ぜることも忘れない。

とろりとしたパパイヤの甘さと、
パリリとしたインゲン、
香ばしいピーナツが、
ひりりと辛い、なんとも言えない深い味をともない、
口の中で弾ける。

これ!
そう、これこそが、私にとってのグリーンパパイヤサラダ。

ある時は、パパイヤが、見た目にも果物となっていたので、
大根の千切りを加えてみる。

爽やかな歯応えの良さと、
大根の独特な味が、ほの甘いパパイヤと、ニンニク、唐辛子のアクセントを伴い、
これまた、なんとも言えない味わいが出る。

一度は、未だ青い梨を使う。
青い梨の香りと、パリリとした食感が絶妙な味わいをもたらしてくれる。

こうして、
私の中で、グリーンパパイヤサラダは姿かたちを変えつつも、
しっかりと、存在感を持ったものとなってきている。

ひょっとしたら、
タイやベトナムで、グリーンパパイヤサラダなるものを食することになっても、
まったく違う味に、驚くかもしれない。

いつか、私のグリーンパパイヤサラダを喜んでくれる友人と一緒に、
本場モノを楽しんでみたい。
いや、これはグリーンパパイヤサラダじゃない、と、言うだろうか?

甘辛くて爽やかなグリーンパパイヤサラダ、
夏の大好物。

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