灼熱、涼風、情熱、一夏をまるごと抱えたような向日葵のブーケ。
環の周りにつけた黄色い花びらが爽快に笑い合う向日葵たちに、
小さな真珠の粒のような花房の列が空に向かって優雅さを添え、
薄紫の可憐な小花たちが優しさを、
薄紫の可憐な小花たちが優しさを、
細い緑の線が絡み合う葉が柔らかさを与えている。
早朝の爽やかさと、真昼の太陽の輝き、夕暮れの落ち着き、すべてを備えた両手にもあまるブーケ。
そんな花束を片手に軽々と持ち、庭の小道を通ってやってきた彼と、頬を寄せての挨拶。
グリーンの香りが舞う。
饗宴がお開きになった帰り際、
熱き頬を寄せての思いがけないしっかりとした抱擁。
あれは、夏の夜がもたらした一瞬なのか。
その一瞬だけが切り取られ、何度も何度も脳裏に甦っていることを、彼は知っているのか、知らないのか。
出来ることなら、
そう、出来ることなら、
両腕を彼の首に回し、
体中の全ての細胞で、彼の熱き抱擁を受け止めたかった。
そうして、
熱き頬を触れ合わせ、
その熱き唇に、そっと、
いや、乱暴に強く接吻し、
彼を感じたかった。
過去と現在と未来が入り乱れ、
私の中では
彼が両手で私の顔を掬い取り、
熱いキスの雨を落としている。
夏の夜のブーケがもたらした仄かなる一瞬。
それ以上でも、それ以下でもない。
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