2012年7月30日月曜日

カメレオン

 

閑散としたサロンの長テーブルの上に、
幾つかの袋の塊を目にし、
ふと中味を確認し凍りつく。

あんた達。。。

バッタ達は日本から帰ってきた翌日、
もうパパとブルターニュのバカンスに行ってしまっていた。

日本に行った同じスーツケースに、
多分、長女バッタはビキニを入れて、
息子バッタはサッカーのプロテクターを外して、
末娘バッタは学校の宿題を入れて
旅立っていった。

恐らく、日本の学校で使った本、ノートは置いていったと思われる。
どうも、パパとのバカンスとなると、準備の手伝いが億劫になり、
バッタ達にも通じるのか、彼らも一向に当てにしていないように思われ、
さっさと自分達で用意をしてしまっていた。

彼らが去ってから、
またもや、もぬけの殻と化した我が家のソファーには、
あんなに長女バッタが空港で欲しがって、
バイオリンを背負っての重い荷物に苦もせずに、
抱えて持って帰った八橋の箱が入った袋が、
無造作に置き忘れ去られていた。

一人で食べる気にもなれないし、
丁寧にラップで包む気も起きずに、
箱のまま、冷凍庫に突っ込んでしまった。

冷凍庫には、既に息子バッタが大切に持って帰った納豆が4パック入っている。

そうして、
今度は長テーブルの上に、
あんなに大騒ぎをして日本から持って帰ってきた、
日本の飴、柿ピー、おせんべ、など入った袋が、
これまた無造作に置かれていたのである。

そうか、あいつら。。。

日本で、地元の子供達の言い回しをすっかり身につけ、
方言のイントネーションも板につき
大いに笑わせてくれたものだが、
今頃は、すっかりフランス人となっているのだろう。

朝は太陽と一緒に目覚めていたのが、
今頃は、ブランチなぞと気取って楽しんでいるのかもしれない。

蝉が羽化するように。
いや、違う。
カメレオンのように、環境によって色を変え化けている。

そう思った瞬間、
裏切られたとの悲しみよりも、
もっと深く、
そういった環境をもたらし、
そういった環境に身を置かさせ、
カメレオンとさせてしまった事実に愕然とし、
心の奥底に激痛が走る。


 
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4 件のコメント:

  1. あかうな1/8/12 16:37

    ご無沙汰しております。あかうなです。家にヤモリの赤ちゃんが出現しました。蚊を食べてくれるそうで、そっとしておきました。家を守る、って昔からいいますし・・・。え?ヤモリじゃない?カメレオンだって?・・・。似てませんかねえ。

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  2. ぷふっ。あかうなさん。ありがとうございます。いつも救われています。

    ヤモリ、ですか。昔、お玉じゃくしが、ちょっと成長したものを捕まえたと、喜んで家に持ち帰ったところ、ヤモリだと言われ、外に戻しなさいと言われ、それまで、手で可愛がっていたのに、急に恐くて触れなくなり、ちょっと放っておいた間に、いなくなってしまい、家のどこかに隠れているのだろうと、ずううっと恐い状態が続いたことを思い出しました。ヤモリは、キー、キーと鳴くのですよね。カメレオンは、、、鳴き声、知らないです。

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  3. あかうな2/8/12 03:44

    え・・・。それって、イモリ、じゃないですか?

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  4. あ、あかうなさん、、、

    きゃーーーー。そうでした。
    アカハラ(赤腹)、でしたっけ。

    やもり、いもり、似ているようで違う。きゃああ。

    え?知らずに可愛がって家に持ち帰ったのは誰だって?きゃあっ!

    イモリ君にしても、良い迷惑だったでしょうね。

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