2021年6月1日火曜日

レイザーフィッシュ





レイザーフィッシュ。剃刀のような形だからの名称。フランス語でもナイフを意味するクト。日本語での名称がマテガイであり、鞘に収めた馬手差(刺刀)に近い形状からこの名がついたとされるので、そもそもの発祥地は日本なのかもしれない。


と、分かったように書いたが、もう少し調べてみると、色々あって、「マテ」は「真手」で、両手のこと。殻の両側から足と水管を出しているのが、左右の手のように見えるから「マテガイ」とした、と、へええと思わせるもののが出てきた。


もっとすごいのになると、「マテ」を股の母音交替形とするのまである。マテガイの殻は純白の内部が人の肌を思わせ、殻を左右に開いた姿が股に似ているため、とか。


ここは、馬手差を由来としたいところだが、この馬手差、「まてざし」ではなく「めてざし」と読むから訳が分からなくなる。まあ、「メテ」が「マテ」と訛ったと思えば、そんなものかとも思われる。


いや、レイザーフィッシュはレイザーフィッシュでなければなるまい。


もう10年程前の話。ロンドンはリバプールステーションの近くのスペイン料理店。仕事のアポイントは午前中だったが、これからオフィスの仲間とフライデーランチをするから一緒にどうかと誘われ、連れて行ってもらった。相手はお客様なのだが、何故か私がゲストとなってしまい、戸惑いながらも席に着くと、先ずは熱々のレイザーフィッシュがテーブルに並べられた。


ガーリックとパセリの香りが、ロンドンとパリでの一時間の時差も手伝ってか、緊張している筈の場で、大いに食欲を掻き立ててくれた。一つ口にすると、真っ青な空、エメラルドの海、真っ赤なブーゲンビリアがぐっと迫ってきて、思わずうっとり。その後の会話が大いに盛り上がったことは言うまでもない。


以前バルセロナに行った時に、興奮してレイザーフィッシュを頼んだが、どうも期待外れでがっかりしてしまった。パエリアは最高に美味しかったので、恐らく空腹とタイミングの問題だったのだろう。


数年前にはマルシェで束で売っていたので、思わず手に取って買っていた。オーブン焼きにしたが、どうも砂が残っていたらしく、じゃりじゃりと残念な結果となってしまっていた。


バッタ達は意外に庶民的で、魚屋に一緒に行くと「鰯」が食べたいとのリクエストが多い。ブルターニュのグロア島にルーツがあることを誇りにしているので、彼らの血がそうさせるのかもしれない。鰯の塩焼き、鰯の梅醬油煮など、美味しくいただけるし、まさか、ママのお財布を気にしてのことではあるまいが、もうちょっとご馳走してあげたい。


そこで、先日は鰯と一緒にレイザーフィッシュをゲット。見た目は綺麗だが、今回こそはちゃんと時間をかけて砂吐きをさせる。ざっとフライパンで蒸して、蓋を開けて、片方の殻を外し、オーブントレイに並べた殻付き貝に、ニンニクとパセリを練りこんだ塩バターを塗り、200℃のオーブンで2分、さっと焼き上げる。


さあさあ!熱いうちに召し上がれ!

夏はもうそこまで来ている。


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