2022年10月9日日曜日

秋の味覚をしっとりと味わう栗の渋皮煮

 





「栗拾いに行かない?」

近所の散歩友達からお誘いを受ける。二つ返事で快諾し、彼女が先日見つけたという粒が大きい見事な栗の木目指して森の中を勇み足で進む。


ここ数日寒い日が続いていたことが嘘のように晴れ上がり、陽射しは暖かい。森の中は栗やキノコ狩りの人々で、ひっそりながらも賑わっている。すれ違う人の袋の様子をちらりと横目で見て、出遅れたのではあるまいかと焦ってしまう。


しかし、森は大きく、栗の木はそこら中にあり、地面はイガイガがゴロゴロと転がっていて、ふっくらとした割れ目から赤茶色の粒がのぞいていて、秋の日につやつやと輝いている。飛び跳ねた栗の粒もあちこちに散らばっていて、ついつい足を止めて拾ってしまう。


栗拾い歴が長く、今シーズンになって既に3回は森に入っている友達は、小さい粒には目もくれず、大股で森の奥へと入って行く。その後をちょこちょこと追いながら、時々立ち止まっては栗を拾っていく。


突然彼女が歩みを緩め、かがんで栗を拾い、つぶらに観察している。どうやら遂に彼女が目指していた栗の木にたどり着いた模様。その後は、お互い黙々と栗拾い。確かにこれまでの栗よりも粒が大きいし、しっかりしている。出遅れたと思っていたが、栗の木は大きく、森の中にも沢山あって、秋を楽しむ人々に潤沢に栗の粒は分け与えられている。なんて幸せなことなのか。


つやつやの栗で袋をずしりと重くし、ご満悦で帰宅。さて、どう味わおうか。粒の大きさで仕分けすると300個程度拾っていたことが分かった。先ずは最初の100個。これはオーソドックスに栗の渋皮煮としよう。


鬼皮を剥いて渋皮だけにし、何度もあく抜きをしながらのんびりと煮て、漸く真っ黒な水が透明なワイン色になった頃に、キビ砂糖で甘みをつける。コトコト煮含め、ゆっくりと冷ます。


渋皮は最早渋さがなくなり、その薄い皮に守られた栗の実はとろけんばかりで、やさしい甘みがほんのりとつき、なかなかの一品となる。そうなると、日頃お世話になっている友人、知人にお裾分けしたくなるのは人情。


手元に合った小さなガラス瓶を幾つも煮沸消毒し、しっかりと冷めてしっとりとした色合いの栗を丁寧に詰める。とろりとした煮汁も一緒に入れて、ぴっちりと蓋をする。


どうぞ秋の味覚をお味見ください。明日以降からが食べごろで、是非一週間で食べ切ってください。


そう伝えるのだが、大抵皆さん早速一粒味見をして、歓喜のメッセージを送ってくれる。ご近所さんなので、トンカを連れて近所を一回りし、我が家に戻って一心地ついていると、キッチンでガッシャンと何やらにぎやかな音がする。


なんだなんだと行ってみれば、レンジの近くでトンカがきょとんと佇んでいて、後でのんびりと味わおうと取っておいた栗3粒を入れていたタッパーのケースが、トンカの足元に転がっている。


驚いたことに、煮汁が床に零れている形跡はなく、当然のことながら栗も見当たらない。


おお、一瞬にしてぺろりとしましたか。お見事!でもね、トンちゃん、これはゆっくりと優雅に味わうものなのですよ。不思議なことに、狙っていたのか、と、むしろ笑いが込み上げてきてしまう。


これでは示しがつかず、躾も何もあったものではないが、仕方あるまい。


トンカよ、どう?美味しかった?ふふふ。秋は楽しいよね。


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6 件のコメント:

  1. こんにちは クッカバラさん

    今年もあっという間で終わりそうな季節になりましたね。ブログからお元気な姿が伝わります。

    渋皮煮、私は甘いものが得意ではありませんが、作れます。クッカバラさんのきれいな渋皮煮をみてコメントしたくなりました。やはりクッカバラさんお菓子作りが上手いだけ仕上がりますね。ついこの前、友人のお母様から作り方を教えてほしいと言われレシピを教えました(笑)栗のかわむきも100金で買えるので挑戦されていました。

    キノコの話題これから読みますが、自然キノコ収穫は難しいですね。地面を掘ったらトリュフが採れたり?なんてありそうな、トンカちゃんそっちの方が得意だったりして(笑)猟犬の体つきで、顔はメスゴールデン
    理想的な林?森?散歩の画像にもうっとりです。

    話が変わりますが、フランスの運転免許試験ではどのような文章問題の特徴があるのかご存知ですか。日本はひっかけが多く、現代の日本語の使い方から行き過ぎると曖昧が行き過ぎた問題出題があります。
    中世の頃に東洋の思想がフランスにもあるので気になってしまいます。

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  2. 匿名さん、こんにちは。
    コメントありがとうございます💞

    匿名さんこそお料理お上手なのですね。ご友人のお母さまからレシピを聞かれるなんて、すごいことです。それよりも、栗の皮むきなるものが、100均ショップで手に入るのですね。ちょっとびっくりしました。包丁よりも使い勝手が良いのかしら。

    森散策の写真も喜んでいただけているご様子、嬉しい限りです。トンカは俊敏で兎に角駆け回ってばかりなので、トンカの写真撮影はかなり難しいのです。

    さて、お尋ねのフランスの運転免許の筆記試験のことですが、私自身が随分前に受けた時と今ではかなり違っているようです。当時は特にひねくれた問題はなく、画像や動画を駆使し、状況判断を促す問題が多かったように思います。とにかく過去問や問題集を解いて、回答例を頭に叩き込めば、怖いことなし、だったはずです。

    日本でも同じようなスタイルだったように感じましたが、今は違うのですね。せっかく日本で取得した運転免許でしたが、色々な事情でフランスでも運転免許を取得しなければならず、本当に大変な思いをしました。筆記は一度でパスしたのですが、路上での技能試験に随分と手こずりました。日本で、お子さんか甥っ子さんが運転免許にチャレンジ中なのでしょうか。健闘をお祈りします!

    日本の秋は深まってきているのでしょうね。どうぞお身体大切に、心豊かな秋をお過ごしくださいませ。

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  3.  こんにちは  クッカバラさん


    栗のかわむきですが、クッカバラさんの手さばき丁寧さをみたらまだまだ包丁の方をオススメします。栗のかわむきいろいろありますが、かなり簡単に剥けます。ネットで購入するときは若干割高だと確認しました。
    私は料理上手なのかはわかりません(笑
    栗の渋皮煮も様々なレシピがありますが、私はシンプルなレシピです。クッカバラのご友人はどの過程で渋味がでたのか検証してみたい気分になりました。


    クッカバラさんの話題を楽しく読ませていただきました。リスの仕業ではなく、こうのとり? 盗まれたことに対しては楽しく読んでいませんよ。隣の糂~隣の宝をの二桁で終わることが、どこかでクッカバラさんがネット上のことで最近言われていた思考がそのようなこだと思いいました。

    私、十代の友達?!!もいるので運転免許にふと思いました。かと思えば、自分より上の友達?!!もプライベートでいます。自分を若く感じたり感じなかったりさまざまです。

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  4. 匿名さん、こんにちは😊

    我が友人は、どうやら渋抜きの過程で、何回かお湯を替えるところを、水を入れてしまったので、栗が幾つか壊れてしまい、ワイン色になるまでお湯を交換することなく、渋味が残ったままで糖分を入れてしまったことが敗因だったようです。同じようにググってレシピを検索するのに、ありがたいことに、私は詳細な説明があるレシピにあたり、初めから特に失敗なく出来ました。私の場合は、初めて何かを作る時は、複数のレシピをざっと見て、ピンとくるものを選ぶのですが、友人がどうやって問題のレシピを見つけ出したのかまでは、聞いていません。お料理上手なので、今回に関しては何かピンとくるところが違ったのだと思います。

    盗人の正体は分からず仕舞いですが、コウノトリはこの辺にはいないので、リスかしらねえ。でもリスなら、生栗が好きだろうし。ふふふ。美味しく食べてもらえましたように!

    そうですか。10代の友人をお持ちとは素敵ですね。私は、10代の子供達との接点といえば、トンカの散歩で話したりするぐらいでしょうか。後は、バッタ達の友達となりますが、彼らは私の友達ではないですものね。一方、年上の友人なら多いです。なんと言っても、お向かいのマダムが88歳ですもの。

    気が付いたら、もう10月も最後の週ですね。お身体どうぞご自愛くださいませ。

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  5.  こんにちは クッカバラさん

    一年前にテレビで渋皮レシピをたまたま見かけ首を傾げました。おそらく、その他の情報源からご友人のレシピもその類いのレシピをご覧になられたように思われます。
    やっぱり料理が上手い人には料理も数学、物理(笑があるので付き合いが楽しいですね。

    私はおばあさん年齢八人の中にぽつりと入って味噌造りをしました。本当に美味しい野菜やもち米などを昼食に頂き幸せと感謝でした(笑 私たちのチームは栄養士がつくので毎回調理の早さに感心しながら秋の味覚を満喫しました。


    今日は自宅の夕飯に油味噌を手軽に作りした。熟した柿を試しに入れましたが(笑魔女ではありません。

    クッカバラさんのお隣さんは魔女ですね。クッカバラさんの冗談センスもばっちりおいしかったです。
    私の周りにも年齢関係なく魔女がいますが、私の本質には合いません(笑 
    クッカバラさんのお隣さんの年齢なら受け入れられますが(笑 可愛いお婆さん

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  6. 匿名さん、

    こんにちは!
    お味噌作りですか!素晴らしいです。幼少時代、近所のおばさんたちが大勢で、広場で味噌作りをしていたことを覚えています。大きな鍋に、にぎやかな声、声、声。田舎味噌、大好きです。あの時の広場はもうなく、あのように大勢で味噌作りはしなくなってしまったようです。そういえば、昔は梅干しも大勢で干して、紫蘇に漬けていたことを思い出しました。

    匿名さんは、ご近所のおばあさん達と楽しくお料理教室をなさっているのですね。ひょっとしてボランティア活動の一環なのかしら、と思いました。ふと、大学時代の大切な友人のことを思い出しました。彼女も、本を朗読して録音をするボランティアをしていると以前言っていました。人と人とのつながり、大切なことですよね。素敵なことをなさっていらっしゃいますね。

    熟した柿、ですか。いいですね。柿の白和え、食べたくなってしまいました。味噌に柿、なかなかお洒落なことをなさる。日本酒に合いそうです。

    他の記事にもコメントをいただいていました。そちらにもお返事いたします。いつも、本当にありがとうございます。嬉しいです。

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