2021年9月24日金曜日

ノワゼットのジェイ

 



玄関脇の庭に朝早く、羽の部分が青と黒の華麗なだんだら模様のマグパイ程の大きさの鳥が、ヘーゼルナッツの実を上手に嘴で挟んでひっそりと佇んでいた。

背と腹が上品な薄茶色で、頭部が白く、尾と羽の先が黒くすきっとしている。

こんな美しい鳥がいるのか、と惚れ惚れとしてしまう。

ヘーゼルナッツの木はすぐに周りに小枝が生い茂るし、枝はすこぶる簡単に成長し、いつの間にか庭に陰を作ってしまうので、毎年せっせと刈込をしなければならない。それでも我が家にリスやアオゲラ、こんな美しい鳥たちが遊びに来てくれるのもヘーゼルナッツ様様なのだろう。胡桃や松ぼっくり、杉ぼっくりだって彼らにとっては嬉しいご馳走なのに違いない。

ネットで検索して、朝の美しい鳥がカケスであることが判明する。カケスねえ。カケスという名前とこの美しい鳥が私の中ではどうも一致しない。カケスが出てくる小説かなにかを読んで、勝手に頭の中でカケスの姿を想像して、それを定着させてしまったからだろう。カケスという響きには、カラスに似た騒々しさを引き出してしまう何かがある気がしてならない。

カケス君には申し訳ないけれど、君には似つかわしくない名前だねえ。フランス語だと「geai des chênes」、樫のジェイ。これならどうだろう。英語では「Eurasien jay」、ユーロアジアのジェイ。鳴き声がジェイジェイとしわがれているから、とのことだけど、どうも鳴きまねが得意らしい。

それにしても、平安時代には樫の実を好んで食べることからカケスは樫鳥(かしどり)と呼ばれていて、江戸時代に懸巣(かけす)になったというから、驚いてしまう。日本では鳴き声こそ名前にしなかったが、好物の食べ物が名前の由来になるのは、世界共通なのかと微笑ましくなってしまう。

我が家のジェイはヘーゼルナッツのジェイ。フランス語で言えばノワゼットのジェイだろうか。彼の喉は優秀で、選んだ木の実を5、6個は蓄えることができ、木の割れ目や地中の秘密の隠し場所まで運んでくる。隠し場所は石などの目印で識別するというから驚いてしまう。ただ、目印の石を取り除かれると、分からなくなってしまうらしい。

秋にせっせとお宝を隠しておいて、春先に芽が出た木の実を食するというから、なんて健康コンシャスな鳥なのだろうと感心せざるを得ない。

我が家のノワゼットのジェイは一体どこにお宝を隠しているのだろう。そうなると、むやみに草刈りをしたり、石を払いのけたりできなくなってしまう。秋は始まったばかりで、これからドングリもノワゼットも胡桃もどんどんと実が膨らんでくるだろう。新たな楽しみが増えたことに、にんまりとしてしまう。


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