2022年5月13日金曜日

森を闊歩

 







森でも喜んで茂みに飛び跳ねて入り込み、そして飛び跳ねながら戻ってくるトンカ。最近は以前よりも恐怖心よりも好奇心が勝るのか、ガンガンと突進することが多い。状況把握の力も出てきているのかもしれない。先日は華麗なリスの尻尾の動きに見惚れていた。いやいや、そう過大評価するものではないことも重々承知している。何せ、森のスイーパーの綽名返上はまだまだ先の様に思われる。


森や道端に捨ててあるあらゆるゴミに興味を示し、鼻で正体を突き止めるだけでなく、どうしても味わってみないことには気が済まない性分。捨て煙草には、一度だけ鼻を突っ込んでからは、その後一度も興味を示さないのだから安堵しつつも驚いてしまう。


それにしても、ポイ捨てゴミの多いことよ。森では、恐らく子供が我慢できずに、といったことなのだろうと推測する。むろん、子供とは限らないのだが、隠れた木陰というよりは、道端なのだから厄介である。サイクリストの手から落ちたのか、マスクも散見する。ひょっとしたら鼻をかんだ後のティッシュかもしれない。


まあ、いかんせん、使い終わったティッシュが次々にトンカの胃の中に納まるのだから、たまったものではない。ダメ、と言っても、これが使命とばかりに譲らない。ダメ、ダメ、ばかり言っているのも、せっかくの散歩が台無しになってしまう。終いには根負けするわけだが、どうにかならないものか。


いっそ、散歩する一時間前に下見散歩をして、ゴミ拾いをしたいものだと本気で思ってしまう。


そんなこんなだから、散歩の途中、うっかりと道端の葉っぱに手をやられることが多い。泣く子も黙るオーティ(ortie)、イラクサ。恐らく、フランスの子供なら誰もが知っている草木ではあるまいか。タンポポやクローバーよりも、オーティを知らないと痛い目に合う。うっかりと触ると針で刺されたような痛みが指や手に走り、その後お風呂に入っても、翌朝目が覚めても痛みは続く。


息子バッタに、オーティにやられた話をして、手を見せると、ふふんと鼻で笑われ、上から触るから棘に刺さるので、下から触れば大丈夫なんだよ、と言われてしまう。うっかりと触ってしまったのだから、どうしようもない。お酢で洗うと痛みが和らぐ、なんてことも知っているのでびっくりしてしまう。


トンカはオーティにやられたことはないのだろうか。そんな痛みはへっちゃらなのだろうか。


オーティといえば、アンデルセンの「白鳥の王子」を思い出す。魔女に白鳥にされた11人の兄たちの魔法を解くために、イラクサを必死で編んで帷子を作るエリザ。イラクサの棘が手に刺さり、痛い思いをしつつも、無言で編み上げる。


幼いながらも、イラクサってどんな植物なのだろうと思っていた。田舎育ちではあるが、聞いたことも見たこともなかった。時々、山で漆にやられたと、手や腕を真っ赤に腫らせている友達がいたぐらい。


それがフランスに来て、草餅にする蓬ではないかと嬉々として触って、激しい痛みが指から手全体に走って驚き、遂にオーティの存在を知るに至った。その時、エリザの痛みを我が痛みとして感じることができ、幼い時の謎が解けた。


このオーティ、薬草効果もあるらしく、手袋をして葉を摘む人々を時々森で見かける。オーティスープなるものも、あるというので感心してしまう。棘があっても、食した最初の人は偉大だと思ってしまう。


きっとトンカも知らずにオーティを口にして、その薬草効果の恩恵を享受しているのかもしれない。


かくて、今日も元気に森を闊歩する。



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